Archive for the ‘レポート:PC(USB)/ネットワーク系’ Category

VOXOA T50

木曜日, 2月 18th, 2016

VOXOA T50

今回ご紹介させていただくのは、昨今増加している(という)レコード(盤)ファンへのマストアイテムです。

【聴いて良し、録って良し、任せて良しの使い勝手抜群プレーヤー。】

(僕もはじめて知ったブランドでしたので)先にブランド・メーカーについてお話をすると、VOXOAはお隣の大国(大陸)のブランドのようでメーカーとしてのメインアイテムはDJ機器となっているようです。
(VOXOA(ヴォクソア)と読むようですが、本国での発音・イントネーションは不明です。)

DJ機器がメインのブランドですからメインのアナログプレーヤーは(いわゆるSL-1200 MK*的な)DJ用のターンテーブルがラインナップされていますが、この度日本国内で取り扱いがはじまったのは(DJ用ではなく)ベルトドライブのターンテーブルとなります。
DJ(プレイ)に特化したモデルではなく聴くこと(プレイ)に特化したモデルというわけですが、気になる音質等をレポートしたいと思います。

■VOXOA [T50]
●スピード感や音のキレ・抜けを高く感じさせる傾向ではありませんが、癖が無く、素直・ストレートな音色傾向です。
●帯域バランスも良好で、高音(域)・中音(域)・低音(域)など、どこかの帯域が出しゃばる様なことがなく、すっきりとした位置関係を描きます。
●低域はタイトめの傾向で、アナログにありがちな(量感は出てるけど)暴れ気味になるようなこともなく、解像度・解像感も上々です。
●厚めでしっかりとしたサウンドは「アナログらしい音」に分類される傾向なので、聴き疲れも少なそうな印象です。
●『オートプレイ機能』を搭載しており、(確実に盤の端に針を落とせるかの)精度・(ボタンを押してから再生するまでの)速度共に非常に良好です。
●内蔵フォノイコライザーを通したサウンドも(価格にしては)十分な音質と言え、アースも内部で処理されているため、(アース線を繋ぐ端子を持っていないような)デスクトップ型・コンパクト型や、ビギナー向けの(省装備な)アンプでも困らずに使用できるのも高評価できるポイントではないかと思います。
●カートリッジの交換ももちろん可能で、加えて内蔵のフォノイコをオフにすることも可能なので(徐々にステップアップさせていく前提でも)長く使っていただくことが出来ると思います。
●USB接続でレコードの音をWindows・Macに録音することができ、取り込んだ音源も上々の音質です。
○フォノイコが原因か(標準付属の)針・カートリッジに原因があるかは不明でしたが、ランク上の(他の)アナログプレーヤーと比べると少しノイズ感が多く、音のきめ細やかさに於いても少し粗めではあります。(比較対象の価格が倍以上であるため当然の結果でもありますし、CP的には十分な音質です。)
○設置時(にベルトを掛ける必要があるのですが)、慣れない方は少し苦労するかもしれません。

…といったところなのですが、雑感を(好き勝手に)述べさせていただくとしたら…
(昨今、CDショップ・量販店・雑貨屋さんなどで1~2万円の安価なプレーヤーが売れていて(少し流行ってきていて)、主だったものは大抵聴いてきてはいるのですが、正直「ただアナログが鳴らせるだけ」と思うようなものも多かったので)
VOXOA T50を聴いたときには「できればこのくらいの音質で(みなさんにも)聴いていただきたな」…と、思ってしまったのが本音です。
(アナログの雰囲気だけでも十分満たされるのは分かりますが、もう少しちゃんと鳴らしてあげるとアナログ盤も喜んでくれると思うのです。)

VOXOAはそう思わせてくれるくらい「まともな音」であり、接続の簡単さ、オートプレイ、USB録音と欲しいと思える機能が(すべて上々の質で)揃っているためビギナー~中級者あたりまで幅広くお勧めできる1台となりました。
(今年の当たり機種の候補には間違いなく入りそうです。)

アナログレコード再来と言われる今日この頃、“はじめまして”の1台にいかがでしょうか。

P.S.
Windows・Macに接続の際のドライバー(インストールなど)は不要ですが、USB録音できる音質は最大で24bit/48kHzとなります。

ONKYO DP-X1 vs Pioneer XDP-100R

木曜日, 2月 4th, 2016

今回は(話題沸騰中?の)Android型DAP(デジタル・オーディオ・プレーヤー)をご紹介いたします。

【優等生で何でもそつなくこなす兄(機)とちょっと尖っててスポーツ系の弟(機)。】
(何年も以前にどこか[当ブログ?連載等?]で書いたことのある様な見出しになっちゃいましたが。笑)

昨年に(大人の事情で)会社同士がくっついた関係で(腹違いの)兄弟となった両者から、それぞれのDAPが発表されましたが、(会社の統合に伴い)ほぼ同等の共通部品で作られた2機種を聴き比べてみました。
※(お約束)『vs』とは両者の「優劣」を決めることではありません。「比較・差異」を分析するレポートですので予めご理解ください。

■ONKYO [DP-X1] vs Pioneer [XDP-100R]
2機種に共通する点としては…
●S/N感・レンジ感・解像度などの基本的音質は(及第点以上にあることは間違いが無く、価格に見合った)合格点ラインに到達しているクオリティを持っています。
●CPU・メモリー・内蔵ストレージ量(32GB)などの(Android端末としての)ハードウェアスペックも十二分であり、操作性も良好です。(標準のプレーヤーアプリだとフリック時などにフェード効果が掛かるせいか、わずかにラグが生じるような操作感ですがアプリ次第ではないかと思います。)
○あくまで“ザ・ステレオ屋”的の結論ですが、当店では購入直後の初期状態ではなく、『DSPをオフ』にしたサウンドの方が評価が高くなる結果となっており、(むしろDSPを切らないと評価できないくらいでしたので)当店のユーザーさんにはぜひ「DSPオフ」でのご使用(試聴)をお勧めさせていただきます。(※初期状態はDSPがオンになっているので要注意です!)

そもそも『DSP』とは?
簡潔に言えばサウンド効果(サラウンド効果)のような文字通り“効果”(エフェクト)のことです。
音の世界でいう“お化粧”であり、素の音(録音された音)に様々な加工を施して「よりきれいに聴こえるように」調整等をしていますが、悪く言えば癖を付けられた音、余計なおせっかい…とも言えるものです。
更に言えば、お化粧(味付け)の好みが自分にピッタリと合えば素の音よりも気持ちよくなれますが、合わなければ“素のままでいいのに…”と感じてしまうことも…。
今回の両機種に於いては(おそらく)ソフトウェア側で処理しており、オンの時はハード(基盤・回路)から出力された音に後から(アプリのようなもので)2次加工をすることになり、オフにするとハードからの出力をそのまま聴くことができているはずです。

…といったところですが、ここからはそれぞれの印象を書き出していきます。
●DSPをオフにすると両者ともにすっきり感が増し、見通し、輪郭、粒立ちが(非常に)向上します。
●ザ・ステレオ屋的に言うところの『切れっ切れのハイスピード』『ゴリゴリのアグレッシブ』…というわけにはいきませんが、中庸なところを基準とすれば双方ともに、やや硬質気味・モニター調(解析的)・ややハイスピード・タイトな音像(1音1音)と言える傾向にあります。
●ハードの違いは(おそらく)ONKYOには2個ずつ載っているとある部分が、Pioneerは1個ずつとなっているだけで後はほぼ同じです。
●S/N感・解像度(解像感)・情報量はONKYOに軍配が挙がりますが、すっきり感(見通し≠S/N感)やキレ、スピード感はPioneerに軍配が挙がり、ザ・ステレオ屋的にはPioneerの方がより好みに近いサウンドと言えます。
黒江的好み度:A (ONKYO [DP-X1])
黒江的好み度:A+(~S-) (Pioneer [XDP-100R])

…ということで、
(最初は気が付かなかったので)DSPが掛かっている時は双方ともに“がっかり”といった感じでしたが、DSPを切れば満足のいくサウンドとなってくれました。

後はどちらを買うかが悩ましいところなのですが、1つ少しでもアドバイス?にでもなればいいかな…と思うところを述べさせていただきます。
★この製品は単なるDAPと思って買うのではなく、『携帯動画プレーヤー』&『そこそこ高スペックのAndroid端末』に高音質なDAPが搭載されていると思う方が自然です。(iPod touchのAndroid版の高音質モデルとも言えますね。)
(SDカードスロットがが2基ありますので200GB×2枚の最大400GBになり、HD画質の動画でも相当数を常に携帯することが可能です。加えて、現在最高峰とは言えないものの、かなりハイスペックであるためアプリなどがストレス無くスムーズに動作します。※カメラやGPSはありません。)
★部屋にCDプレーヤーなどのディスクプレーヤーが無い方も増えてきていると思いますが、“LINEアウトモード”が搭載されており(リファレンスのCDプレーヤーにはさすがに及ばないものの)、オーディオ用のプレーヤーの代用品にも(それなりにですが)なると思います。
(もちろん、CDは一度DAPに取り込んで…ということです。)

…これらを踏まえて。
☆色々なジャンルを均等に聴く方、基本的音質が少しでも高い方がいい方はONKYOの方をお勧めします。(バランスヘッドフォンに対応しています。※バランスヘッドフォンが=高音質ではありませんが…。)
☆アプリやゲームも楽しみたい方、メタルやロックがメインの方はPioneerの方をお勧めします。(ONKYOの方はスピーカーがありません。)

ただのDAP、ただのAndroid端末と思うと少々割高に感じますが、複合機であることを加味するとなかなかお値打ちの製品ではないかと思っております。

(デフォルトでDSPがオンだとは思わずに匙を投げかけましたが)ONKYO and Pioneerからの新製品、自信を持ってお勧めできるサウンドでした!

P.S.
DSPとかEQはデフォルトでオフにしてください…。^-^;

LUXMAN DA-250

月曜日, 12月 14th, 2015

今回はLUXMANの新モデルです。黒江的には絶賛のD-06u(レポートしてませんがD-05uも上々でした)の再来なるか…といった期待に混じり『ラックスらしさ』がどの程度感じられるか…と少々複雑な心持ちでの試聴となりましたが、感じたままにレポートさせていただきたいと思います。

【硬質・寒色、わずかにウェット、冷淡な鳴り。】

まず先に結論を述べますと、「(旧来の)ラックスらしさ、ラックストーンは(わずかに感じられる面はあるものの)卒業されたようです。」…と言いたくなるようなクリア系の音色傾向となっています。
ラックスサウンドと言えば「太めでコシのある、暖色傾向で重厚になりつつも、穏やか、上品でスムースに耳に入ってくる」(←ここまで言えるのは随分と以前のモデルではありますが)そんな印象でしたので、見出しのものとは“ほぼ正反対”と言えるようなサウンドです。
ですので、アンプも然りですが、D-06uに代表されるように昨今の音作りは間違いなく変化してきているので旧来のファンには受け入れ難くなってきているのかもしれません。

…が、音の傾向はともかくとして、名門ブランドに恥じないクオリティであることは間違いが無く、音質・機能・性能・不具合の少なさなど、品質には確信を持ってお勧めできるメーカーです。
…ということで(本当に卒業したのかはまだ分かりませんが)今回のDA-250は“新しいラックスサウンド”として新しいユーザーに向けて(いつも)のレポートを書かせていただきます。

■LUXMAN [DA-250]
●S/N感・解像度・ダイナミックレンジ・レンジ感(周波数帯域)などの基本的音質は十二分と言えるさすがの高音質です。
●(強めのエッジや、シャープネスというイメージを連想させる)シャープ…という言葉よりは、線が細めという表現がフィットするタイプの描写となっており、色濃く・力強くではない、ややパステル調で見通しの良いサウンドとなっています。(かと言って、薄い・淡い・か細いといった“水っぽい薄まったような音”ではなく、しっかりとした情報量も兼ね備えています。)
●(今までもっとも弱いと感じられていた)鋭さ・(特に立ち上がりの)キレ・ピーク感などもかなり鋭敏になっており、(痛々しいほどのものではないですが)キンキン・カンカンといった金属音や、ディストーションの粒子感、スネアやバスのインパクトなどなど硬質の音の表現(リアリティ)が増しています。
●“ピンッ”と張ったような緊張感の感じられるサウンドで、1音1音がタイト且つ反応(レスポンス)の早い傾向となっています。
○とは言え、超硬質・超キレッキレ・超ハイスピードのような振り切った感じではなく、わずかにウェット感があったり、どことなく抑えられた感があったりとなかなか絶妙なバランスでまとめられています。
○そのため、分解能も上々ではありますが、シャウト(ボーカル)が少し優しく聴こえるかな…といった印象には感じられました。
○また、(その手のサウンドを聴く上では)前に向かってくる、ビシバシと叩きつけてくる、アグレッシブなドライブ感の高いサウンドという要素はそれほど高くはありません。
○良くも悪くも優等生的な面がありますが、(色々なジャンルをこなせるので)重宝しやすいのではないかと感じました。
黒江的好み度:A+ (~S)

おそらくは、(やはりLUXMANなので)「本当にこんな音なのだろうか」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、気になる方はぜひ一度試聴をしていただけたらと思っております。
なお、(ご存知かと思いますが)当店の試聴はメタル・ロック・ポップスをメインとしたケースでのレポートとなっておりますので当該ジャンル以外での聴こえ方とは大きく異なることも考えれます。何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。

ちなみに、今年だけでもASUS Essence One MKII MUSES Edition・north star design Intensoと(レポート出来ていないのですが)CHORD Hugoもかなりいい感じの鳴り方(僕らが聴いた感じでは巷の分析とは異なる結果)でありましたので、DACに関しては豊作であったと思います。
(アンプは数年来の不作続きなので早く巡り合いたいですね。Pioneer A-50DAはなかなかの当たりでしたが。)

P.S.
試聴はハイがブーストされている状態をメインに行っております。(後日修正します。)

P.S.2
LUXMAN関係者より開発担当に関する情報を少し得ましたが、(色々と事情もあり)やはり高解像度・クリア系の傾向となっているのはメーカーとしても認識しているようです。(僕の耳が故障しているわけではなさそうなのでよかったです。^-^;)

ASUS Essence One MKII MUSES Edition

水曜日, 5月 20th, 2015

今回は「思わぬ(メーカーから)伏兵が表れた。」…と、一聴した感想から書かせていただきたいほどにイチオシ…いえ、『激オシ』したくなったDACを紹介させていただきます。

【“音楽の女神”が奏でるハイスピードサウンド。】

まず先にメーカーである『ASUS』さんについて述べざるを得ません。
台湾に本社を構えるASUSは(おそらく)PCのマザーボードメーカーとして産声をあげたブランドであり、少なくともつい最近までは音響機器とは(ほぼほぼ)無縁のメーカーであったと思います。
故に(僕がASUSを知ってずいぶんと経ちますが)今日このような形でDACのレポートを書かせていただくことになるとは夢にも思っていませんでしたが、ASUS自体は「Nexusシリーズ」などでこの数年来、非常に有名になっていると思われますので「聞いたこともないメーカーだな…」といった未知な存在ではなく、(僕は)比較的あっさりと受け入れてしまえました。
(なお、台湾のメーカーであり、○国とは全然異なります。当DAC製品も品質管理やパッケージのきれいさなどは非常にしっかりしています。ので、変な拒絶反応はしなくてもよいのではないかな…と個人的には思っております。)
ちなみに、読みは「エイスース」が公式の読み方(呼び方)です。(黒江はエーサスって読んでいました。笑)

…と、前置きはこの辺にして、Xonar Essence One MKII MUSES Editionを聴かせていただいた経緯を(サラッと)述べておきますと、(いつもとは真逆で)スペック(仕様)や使用パーツをリリースで拝見したことがきっかけです。
前述の通り、今まではオーディオと無縁のメーカーさんであったわけですから交流も無く、細部の仕様を確認せずに“先に聴く”ということができません。
…ので、止む無く先にリリースを見ることになったのですが「この仕様(内容)ならどうみてもウチに合ったサウンドが出そうだな…」と、リリースを見てすぐに思いが過ぎり、取扱い先を探してみるも見つからず、その後(どうしても一度聴いて答え合わせ(確認)してみたかったので)色々、諸々を経て実機を聴けることになった…という流れです。

よって、いつもとは逆に「こんな音が出るんだろうな」…と期待し?思いながらの答え合わせでしたが、いつものようにレポートしたいと思います。
(試聴時の比較対象はAura neoの内蔵DACがメインでneoからの同軸デジタル出力をXonar Essence One MKII MUSES Editionに入力しています。)

■ASUS [(Xonar) Essence One MKII MUSES Edition] (EONE MKII MUSES)
●(過去最速?の)neoと比較してもほぼ互角のスピード感で、タイプは(ガツン・ドカンと来る)攻撃的・暴力的なタイプでは“なく”、スッコーン・スッカーンといった突き抜ける系のハイスピードです。(「ほぼ」と付けたのは極々わずかにneoの方が早い印象だった為ですが、曲によってはそのごく僅かな差も感じられず、極めて「=」の(超)ハイスピードサウンドです。)
●1音1音・音像・音場いずれもクリアネスであり、明瞭なサウンドです。(ただし、仕様(測定値?)ではS/N比が120dBとなっていますが、そこまでの印象はありませんでした。…と言っても十分すぎる高S/N感には間違いありません。)
●キレ・立ち上がり・アタック音も非常に良好で、シャープ・タイトで俊敏・鋭敏に音が立ち上がり、スパッと切れよく収束します。
●高音~低音のバランスもフラットで高音が走って(突っ込んで)ジャリついたりすること無く、低音ももたつきや緩みが無く、ボンついたりすることがありません。
●強いて言えば“わずかなウェット感”があり、極々わずかながら(余計なヴェール感ではなく、音の余韻を帯びたような)“エンハンス感”があります。(←このエンハンス感を上手く伝えるのが難しそうなので、全体の文章を読んで察していただけたら…と思います。^-^;)
●よって、ジャリジャリのシャウトがほんの少し生気を帯びていたり、スネアのアタック音に皮の張り感やインパクトの躍動感がよりリアルであったり、ガリッガリのディストーションサウンドを描きつつも音色が失われなかったり…とシャープさを出しつつも高い情報量も感じられるサウンドとなっています。
●エッジ感はしっかりとした線がくっきりと見える(輪郭強調)タイプではなく、エッジ線自体は極々細いがしっかりと輪郭を描いている(シャープで明瞭)タイプです。
黒江的好み度:S

…と言うことで、neoと比較して「極々わずかなエンハンス感(から来るウェット感)」を帯びている印象以外は(neoと)大きな違いを感じない印象で、ザ・ステレオ屋(黒江)的には大ヒットな結果となりました。
(双方黒江が好きなDACチップですが、neoとはDACチップが異なるのに似たような音に聴こえるのが不思議でした…。)

DSD対応ということもあり、最新機種への買い替えにもお勧めしやすいのでぜひぜひご検討いただければと思います!
(個人的にはnorth star design Intensoとどちらにするか悩ましいところですね。)

お値段や試聴等、気軽にお問い合わせください。

P.S.
レポートはすべて「UPSAMPLING」はオフを前提に書いております。(オンの音はエンハンス感が強烈に高まってしまい、あまり評価していません…。←歌モノにはよいと思います。)
紹介しているのは「MUSES Edition」です。MUSESでないモデルとはまったくサウンドが異なりますのでご注意ください。(ザ・ステレオ屋では(少しの差でもありますし)圧倒的に「MUSES Edition」をお勧めしています。)

CEC TL5 (and CD5)

水曜日, 4月 22nd, 2015

今回は「そろそろ完全復活かな?」と思わせてくれそうなCECからのニューリリース機をレポートいたします。

【『CD5 – DAC = TL5』に非ず。】

先に述べておきますと昨年秋にCD5がリリースされておりましたが、(バタバタもあって)すっかりレポートをし忘れておりました…。(CECさんごめんなさい…。)
ですので、今回は2機種をセットでレポートさせていただきますが、見出しの通りの印象・結論となりましたので(セットで書く方が分かりやすく、伝わりやすく)結果オーライだったかな…と思っている次第です。

CDを回転させる部分に直接モーターを入れず、アナログレコード(プレーヤー)と同様にベルトを用いて回転させる『ベルトドライブCDプレーヤー』と言えば、世界的にも同社しか生産できないであろうCECの代名詞的製品です。
ダイレクトなモーター駆動とベルトドライブ、理論上では(CDから読み取るデータは回転のさせ方で変わることはないはずなので)同じ音が出るわけですが、その実はベルトドライブでしか得られないサウンドが確かに存在し、その傾向を好ましく感じられたユーザーにとっては他に代えられるものが無い存在であることは間違いがありません。

その傾向・特徴は「やはり(ダイレクト駆動に比べると)アナログチックな柔らかく濃い音」という傾向がとても際立ちます。
この傾向に関しては(前述で理論上では変わらないと述べていますが)モーターがCDの真下に無い分、モーターから発せられる磁力や電気的ノイズの影響ををDAC部分が受けにくい、(回転はより正確になるが)モーターの振動の影響が出やすいダイレクトに対してベルトドライブは振動の影響が(回り続けるDISCにも回路にも)出にくい…などなど「違いが生じてもおかしいとは思わない」要素は幾つか考えられると分析しています。
(ただ、そんな屁理屈をどうこう言うより、パッと聴いた時の同社のサウンドが「とにかくアナログチック」なのですから、難しいことは考えずに黒江は受け入れてしまっていますが。)

…と前置きが長くなりましたが、踏まえて2機種をレポートいたします。
(タイトルとは順序が逆で先にDAC内蔵のCD5、次にトランスポートのTL5です。)

■CEC [CD5]
●(今までの)「ザ・CECサウンド」といった印象のマイルドで濃密な、やはりアナログチックな印象を受けるサウンドとなっています。
●高S/Nで高解像度でクリアに広がり、抜けがいい…といった方向性では『なく』、聴き疲れのしない滑らかでスムーズな傾向であり、“音色”をしっかりと聴かせてくれるタイプの音作りになっています。
●…かと言って、S/N感や解像度に難があるといったことではなく、十分な透明感を確保しつつも情報量を最大限に引き上げたような印象を持ちます。
●暖色でウェットなテイストがありますが、ウェットと言っても「瑞々しく冷たい水っぽさではなく」、「ほんのり湿度・湿気を帯びた暖かい方のウェット感」を持っています。
○キレやスピード感には乏しく、やや鈍足の傾向ですが、丁寧な描き出しで音の実像感がぼやけるような「緩々のサウンド」ではありません。
○(特に高域の)ややレンジ感には欠ける印象で、「キーン」と言った突き抜けるような高音が「ピーン」と少し先丸になるなど、アナログっぽさの副作用が良くも悪くも少し感じられます。

■CEC [TL5]
●CD5のレポートに加えて“CEC”“ベルドライブ”のイメージを合わせれば、こちらもさぞ暖かくて柔らかめのサウンドが出るのであろう…と思っておりましたが、(見出しの通り)CD5からDACを抜いたものが=TL5ということではなさそうです。
●音色のある少し先丸なサウンド、スムースなサウンド、キツさや硬さのない印象はある程度のベルトドライブらしさ、アナログチックを踏襲していますが、TL5は高いS/N感からくるクリアさを併せ持っているサウンドになっています。
●CD5同様にウェット感もありますが、こちらは温い暖色のウェット感ではなく「瑞々しさの感じられるウェット感(かと言って冷たいわけではありません)」。
●キレやスピード感も「ある」とはお世辞にも言えないものの、「中速」程度のスピード感は出せており、緩さや鈍足さを感じるサウンドではありません。
●高いS/N感からの相乗効果か、レンジ感もあり、見通しや抜けの良さも「ある程度」あって上々で、低音がボンついたりモコモコするようなこともないのでポップス系などは歌・オケ共に相性が良くバランスの良いサウンドであると思いました。
○いずれにしても「非常に○○が高い」と言える要素は無く、悪く言えば「器用貧乏」「優等生タイプ」な傾向のプレーヤーとなっています。

…と、なかなか意外でもあり、興味深くもある印象となりました。
双方に通じることは「聴き疲れのするような硬質傾向ではないこと、温度感は異なるがウェット感があること、ハイスピード系ではないが情報量が高く、音の密度間が高い」といったことが挙げられます。
しかしながら、双方はまったく異なる傾向とも言える要素がありますので、一体型を検討するかトランスポートを検討するかの検討材料になれば幸いです。

個人的にはTL5の秀逸さには太鼓判です。(悪く言えば~の通り)突出したジャンルはありませんが、クラシック・ポップス・ロック・メタル(も「あー、これじゃ聴けない!(停止ボタン)とはならず」…とどんなジャンルでも聴けるのは何ものにも代え難いポイントだと思います。
(おそらく、ベルトドライブの利点を活かしつつも高いS/N感を両立したところに勝因があるのではないかと推察しています。)

なお、昨今の(小さな業界内ではありますが)PCオーディオブームで単体DACを所有されている方はかなりいらっしゃるかと推測します。
CDもそれなりに聴くし、それなりのプレーヤーが欲しいけど、DACの音には満足しているし(それなりの値段したし)、DACと同じくらいのCDプレーヤーを買うにはちょっと躊躇いがある…なんてことがある方にとってはTL5は非常にお勧めしやすい1台ではないかと思いました。(普通のCDしか再生できませんが。)

お値段や試聴等、気軽にお問い合わせください。

north star design Intenso

木曜日, 1月 22nd, 2015

2015年最初のレポートです。今年もよろしくお願い申し上げます。

【Essensioの正統後継機と謳わせてもらいたい隔世遺伝の末弟機!】

http://www.digitalside.net/?p=444
http://www.digitalside.net/?p=779

↑以前のレポートをご覧いただければ手っ取り早いのですが、メーカー公称(?)的にEssensioの後継とされていた“Impulso”は(当店の検証では)あまり純血感を感じられない結果となっておりました。
「やはりESS社のDAC(チップ)では難しいかな…」とほぼ諦め状態でいたのですが、(Impulsoが最下位エントリー機と伺っていたので)不意打ちで登場した“Intenso”が見事に良い意味で期待を裏切ってくれることに。(!)

久しぶりの(黒江的)大ヒット機なのでちょっと褒めちぎりなレポートになるかと思いますが、いつものように色々と述べさせていただこうと思います。

■north star design [Intenso]
●north star design社製品の音質や傾向ではもはや鉄板的なS/N感の良さ、音場のクリアさ、1音1音の淀み無さ…などなどは本機でも健在です。余計な音、ザワつき、付帯音などが感じられないすっきりとしたサウンド傾向です。
●目…ならぬ耳を惹くのが(黒江の大好きな)、かなりのハイスピードサウンドで、Essensioと同等のスピード感を誇ります。(おそらく現行機種の中では最上位を争うレベルではないかと…。)
●加えて(これまた大好きな)、高分解能なサウンドであり、ディストーションの歪み、シンバルのクラッシュ音、シャウトの擦れなどなど、音の粒の細かさと粒の量が精密且つピーキーに刺激的な音を正確に再現しています。
●低域はタイトでやや硬め、全体的(全帯域的)にも音像感の強い引き締まった傾向にあります。
●輪郭はEssensioに比べるとほんの少しくっきりしていますが、Essensioがかなりシャープなエッジ感でしたので「これくらいで丁度よくなった」と取れる感もあります。
●「完璧!」などと言うつもりはさらさらありませんが、ハイスピード傾向のEssensioに『アグレッシブさを持たせた』ような正に理想的な傾向となっており、この数年来のモデル中ではザ・ステレオ屋リファレンスの上位を争えるようなサウンドです。
○(やはりEssensioなどと同じく)音場は狭いタイプで、左右のスピーカーの間から正面にフィールド形成してくるイメージの鳴り方をします。
○前に向かってくるタイプのサウンドですので、あまり奥行き感を感じさせる傾向にはありません。
○低域も一般的なものよりはやや薄めであり、量感のあるタイプではありません。
○(後述しますが)ESS社のDACであるからなのか、(ロックやメタルを聴く上では)ほんのりしっとりで(自然ではありますが)ほんのり伸びのある印象です。(かえって好ましく思われる方も多いかもしれませんが…。)
(「ほんのり」というのは「ほぼほぼ気にしなくてもいいレベル」と言っても良いくらいですし、他のDACに比べれば全然しっとりもしていないし、伸びもないと思います。あくまでEssensioなどと比べると…という意です。)
黒江的好み度:S(~A+)

…といったところです。
黒江的には「久しぶりの大当たり!」といった会心作であり、当店で第1号であろう「DSD対応のイチオシモデル」がやっと登場してくれました。(^-^;)

…と、少し考察してみます。こちらの[Intenso]も(黒江が苦手な)ESS社のDAC(チップ)なのですが、これだけ印象の異なるサウンドを出してくれた理由が気になるところです。
もちろんDAC(チップ)なんて所詮デジタル信号をアナログ信号に変えるだけの作業(持ち場・役割)なので、その「取り出したアナログ信号を増幅する」アナログステージと呼ばれるところの影響(黒江にとっては恩恵)が大きいのだとは思います。

(特にnorth star design社のアナログステージは出来るだけ余計なことをせずにストレートに、原音(録音)に忠実な出力を心がけているそうです。)
(逆に言えばnorth star designでは「ESS社のDACに少し癖がある」と判断し、「今回のIntensoでは」その癖をキャンセルさせるアナログステージ作りをされたのでは…と勝手に思い込むことにしましたが。)
(ただし、その癖をキャンセルする中でほんのりESS風味が残っているような印象を受けることも…。↑の補足です。)

それと、以前のPioneer [U-05]のレポート「http://www.digitalside.net/?p=829」でも触れたように、IntensoではESSチップでもES9016を採用しているのが大きいようです。
ですので、黒江が苦手なESSチップは(巷ではもっとも高音質とされている…^-^;)「ES9018」に限られるようで、「ES9018」以下のチップであれば(料理の仕方によって)好みのサウンドに近くなることが分かりました。
(Pioneer N-70AもN-50Aも「ES9018」以下のチップですしね。)

ネットワークにこそ対応していませんがUSB DACが直接繋げるNASも今後増えてきそうですので(後日DELAもレポート予定)これからの購入で“ネットワークレスDAC”はまた熱いジャンルになるのではないかと思います。
ぜひご購入の参考にしていただければ幸いです。

お値段や試聴等、気軽にお問い合わせください。

P.S.
ちなみにEssensioは(Intensoがアグレッシブさを備えた分、わずかに厚め・濃いめにシフトしているので)すっきり感・シャープさ・切れ・細かさなどは少し優勢でした。
DSD対応や、よりハイレゾリューション化を進めたい方はEssensioからIntensoへのリプレースで失敗はないかと思います。
(ちなみにちなみにEssensioは虎の子の最後の1台を在庫しております!)

Pioneer N-70A

木曜日, 12月 11th, 2014

今回は表題のN-70Aをクローズアップしてレポートしたいと思います。

【そつなく、癖なく、隙なく、あらゆるジャンルを自然に鳴らす。】

サウンドレポートの前に発売日からこのN-70Aを聴いてきた雑感のようなものではあるのですが、黒江が記した前回の「vsレポート」然りで、これまでは何となく「N-50の後継がN-50AでN-50Aの音質をより高めたのがN-70A」のような概念を持っていました。

…が、最近ではこの3機種がまったく別物の3機種であるような考え、位置づけに代わってきており「N-50は最終プライスが非常にお得なベーシックモデル」「N-50AはDSDが再生できるエントリーモデル(N-50の経験値を活かしてはいるけど、N-50をベースにして造っているのではない(DACチップがまったくの別物ですしね…)。)」といった捉え方も色濃くなってきております。

そして、このN-70Aなのですが、前述の通りN-50A(の音質をより向上させて)との差別化を図ろうとしたしたモデルというよりは、marantzのNA-11S1(NA8005)やLUXMANのDA-06(DA-200)などを強く意識して設計・計画されたのではないかな…と勝手ながら推測してみたりしています。

もちろん、(価格も倍近く異なる)NA-11S1やDA-06にはそうそう簡単には及びませんが、後発の優位性である機能面やCP面ではなかなか良いところに付けていると思いますし、何より僕がはっきりと述べておきたいのは「豊潤で濃厚系」であったり「しっとりとした美音系」であったりする2機種とは異なるテイスト(味付けのないのが味)で勝負をしてきたと思われる(思いたい)ということです。

…ということで、こういったことを踏まえつつ、レポートしてみたいと思います。

■Pioneer [N-70A]
●N-50(無印)でも十分すぎるくらいのS/N感(特に同軸デジタル・USBメモリー・USB接続)だと感じていましたが、更にその上を行く透明感・明瞭感・静寂感を持っています。NA-11S1やDA-06と比べてもその差はわずかであり、高音質の基本要素として十二分なクオリティであると思います。
●解像度も高く、定位や音の位置関係、奥行きなども良好ですが、音の広がり(音場・サウンドステージ)はあまり広がらず(黒江的には適度)、広大なホール感を描き出す傾向ではありません。
●スピード感は「vs形式」でN-50Aよりも上回る表現をしていますが、もう少し具体的に言うと、1音1音の出音自体は(N-50AとN-70Aは)ほぼ同等のスピード感に感じられるところ、前述のS/N感の相乗効果で抜けや見通しが非常に良好であることからN-70Aの方が頭1つリードしている印象になるのだと考察しています。
●「切れっ切れで、鋭角でシャープで鋭い立ち上がり」とは“言えません”が、この辺(アタック音・エッジ感)も高いS/N感や解像度の恩恵でとても鮮明な音を描き出しています。以前の通り、強いて言えば少し音の切れは穏やかな傾向で、(N-50などと比較すれば)少し余韻型に寄っています。(…とは言え、スピード感・抜け・切れ・エッジなどの「ハイスピード&アグレッシブ要素」はNA-11S1やDA-06よりも高く、≒モニター調≒硬質拠り…とも言えます。)
●情報量や濃さ、ダイナミックレンジなども(NA-11S1やDA-06には及びませんが、N-50やN-50Aよりはグッと高まっており)上々なのでクラシックやアコースティック、ストリングスなどの音の質感の表現を求められるジャンルでも(モニター調ではないかと思いますが)無難にこなしてくれると思います。

●1音1音、音の造りは見出しの通り基本的に「無味無臭の味付けのないサウンド」の傾向で間違いありません。ソース(録音)に忠実であり、余計な脚色や味付けはほぼゼロです。強いて言えば、(前述の切れと)わずかに大人しい(ビシバシと叩きつけるようには飛んでこない)といった印象がある程度です。(←これも音がほぐれているからこそ感じられる要素なので一概にマイナスとも言えません。)

○良く言っても「優等生的」、悪く言っても「優等生的」とも言え、例えばあるジャンルに長けている方には「松ヤニの質感に少し難がある」とか「ラッパの乾いた金属音が…」とか「シャウトの擦れ具合が…」とか、“惜しいんだけどな”と思われることもありそうなのですが、黒江的には総じて何を聴いても“ちゃんと鳴らせてるな”と思う採点となっています。(前述の通り、「シャウトが惜しいな」とは思うのですが、十分にメタルもロックもポップスも鳴らせてると思います!)

…と、総評としては見出しのような印象になりました。
ので、図抜けてマッチしているジャンルがあるわけではないのですが、どのジャンルもかなりハイレベルで鳴らせてるということで良いと思います。
(強いて言えば、(色んなジャンルの要素が加わる)ポップスにはメチャクチャ強いと思っています。)

もう少し述べると、NA-11S1やDA-06は王道のオーディオ的で従来のオーディオファンをターゲットにしたモデルであり、N-70Aはモニター調で様々なジャンルを聴く幅広い音楽好きにターゲットがあるように思えました。
(メタルも好き、ポップスも好き、クラシックも聴くなんて方にはぜひお勧めします。)
ネットワーク機能があることもあって、家族や複数の人と音楽を楽しむタイプの方でしたら(それぞれが好きなジャンルが異なってもこなせる)N-70Aもきっと良い選択肢になるはずですので一度試聴等されてみてください。

お値段や試聴等、気軽にお問い合わせください。

Pioneer BDP-LX88 vs BDP-LX58

火曜日, 12月 2nd, 2014

このところ(新製品ラッシュということもあって)Pioneer製品ばかりがエントリーされていますが、間もなくnorth star designやその他のレポートも予定しておりますので今しばらくはご容赦くださいますようお願い申し上げます。(Pioneerから袖の下を貰ってるとか、優遇してもらってる…などなど、お好きに言ってやってください!笑)

…ということで、表題のブルーレイディスクプレーヤーをレポートさせていただくのですが、当店(ザ・“ステレオ”屋ですし)“画もの”には大して詳しくありません。
…が、OPPOの登場からネットワークプレーヤーであったりUSBメモリーの再生などに対応してきたこともあり、多くの方から「(CDなどを聴く)音質面ではどうなの?」といったお問い合わせも少なくなありません。
そこで、かつて(DVDが普及してきた頃)の“ユニバーサルプレイヤー”と同じく、音にクローズアップしてチェックして(レポートして)みるといった試みをしてみましたので、少しでも参考になれば幸いと思います。
(画もののプレーヤーでCDを聴くユニバーサルプレーヤーの先駆もPioneerのDV-AX10/DV-S10Aであったような記憶があります。「今また正に」といったところですね。)

【さすがの風格を感じさせるBDP-LX88にCPでは絶対的なBDP-LX58の存在感。】

いつものように「vs形式」ではありますが、「vs」とは「絶対的な優劣を決める」という意ではないので予めご理解ください。

試聴は基本的にすべて「DIRECT(ダイレクト)」モード、CDとNASのファイル、USBメモリーのWAVファイルを中心に聴いています。
(※映像の絡んだ音質面は“一切検証していない”ので予めご容赦ください。)

■Pioneer [BDP-LX88]
●同時季に(同様に兄弟機で)リリースされたN-70AとN-50Aでも同様の差別化が図られていましたが、筐体の作り、特に側面と天板部が圧倒的に上質な仕上げとなっており、質感や剛性による音質面への配慮が感じられます。(重量感もグッとあがっています。)
●情報量・S/N感・解像度・レンジ感はやはりLX88の方が圧倒的です。
●音の傾向はやや大人しく、ウェット感だったり、マイルド感だったり、ソフト感だったりといった印象も「ほんのり」持ち合わせていますが、基本的にはニュートラル系のサウンドであると言って差し支えないと思います。
●逆に、アグレッシブ・マッシブ・ハイスピードといったワードの印象もなく、言い換えれば特段に得意・不得意がないとも言え、Classicやボーカルものから何でも無難にこなしそうなユーティリティなサウンド傾向となっています。
●黒江の超個人的な見解では「大体14万円程度のCDプレーヤー」と匹敵する感じではないかと思っております。(※初回投稿時より訂正しています。)

■Pioneer [BDP-LX58]
●(前述の通り、兄機には及びませんが)基本的な音質面で顕著に不満を感じる(明らかに低音質と感じる)ことはありませんが、分解能・S/N感・レンジ感はもう少し欲しいかな…という印象です。(専用のCDプレーヤーと比べるとどうしても…。)
●音色はやや明るめのキャラクターですがドライではなく、どちらかと言えば、ほんのりウェット感がある印象でした。
●スピードは上々で、ほぼほぼハイスピードの部類に入れて問題はないと思います。
●切れ切れのスピード感ではなく、鳴りっぷりの良い、アグレッシブなスピード感を持っており、(当店で言うところのいわゆる)TEAC・プライマー(I21以前)路線の音傾向となっています。
●低域はタイトで、バシッと締まっています。量感も「ドンッ」と出せるけどボワつかず、ピタッと制動できている印象でした。
●黒江の超個人的な見解では「大体6万円強程度のCDプレーヤー」と匹敵する感じではないかと思っております。

…と思ったことをザッと書き出してみましたが、音色面において『LX88は大人しくて、LX58はアグレッシブ』と一目で捉えてしまう程には個性の差は大きくなく、ニュートラルなポジションからLX88は少しエレガント寄り、LX58はアグレッシブ寄りといった感じです。
ご推察の通り、黒江的にはBDP-LX58の方が好みですし、(CDなどを聴く上での)CP面でもLX58に軍配が挙がる感じですが、絶対的な音質はBDP-LX88がなかなか優秀で(おそらく映像も同様に基本面で1枚上手なので)なかなか悩ましいところではないかと思います。

「CDや音楽ファイルはたまにでいい」という方はぜひご検討いただければと思います。

P.S.
今回のようにユニバーサルプレーヤー(もとい、今だとマルチメディアプレーヤーでしょうか)で使用する上での難点は「アプリやリモコンだけでは思いのままに操作ができない」という点が挙げられます。
特にNASのファイル(DLNA)やUSBメモリーの再生は「ディスプレイ(テレビ)」にコントロール画面を映さないといけません。
(ダイレクトモードで音質を向上させたいけど、ディスプレイはオンにしなくてはいけない…みたいな矛盾は無い方が嬉しいです。)

本体のボタンも明らかに足りていないものが多く、黒江自身の考えですが『こういった機器類は基本的にすべて本体で操作できること、その上でアプリやリモコンがあると便利であったり、より直感的に操作できる』…といった考えがあるので、その点ではちょっとガッカリしてしまうような造りとなっていました…。
(Pioneerさん、ユーザーインタフェースの基本を今一度見つめ直してもらいたいな…と切に願っております!)

Pioneer N-50 vs N-50A vs N-70A

金曜日, 11月 21st, 2014

【速報】

昨日リリースされたPioneer新製品の2機種に旧型を加えた表題の3機種を早速スクランブルテスト(試聴)してみました。
個別のレポートが望ましいこととは思いますが、少しでも早く、端的・簡潔な感想をアウトプットした方が良さそうなのでエキスプレスでショートレポをしてみたいと思います!

■N-50
●「言わずもがな」の1台です。1つ前のレポートや、発売直後のレポートなどで網羅出来ていると思いますので、今一度ご覧いただけると幸いです。
●ザッとだけ書き出しますと、S/N感・分解能・切れ・スピード感に優れた(数10万円を凌駕する!…なんてことは言いませんが)ハイCPモデルであることには間違いがないと思います。
●特に同軸デジタル・USB経由(メモリー/iPhoneなど)・USB DACは非常に優秀な音質ですので、メインでもサブでも(DSD再生が不要であれば)活躍できるプレーヤーです。

新機種は「N-50」と比較した分析・考察をベースにレポートします。
■N-50A
●N-50と比べて、わずかに穏やかで上品な印象ではありますが、N-50と大きく異なった(まったく方向性・傾向を変えてきた)印象はなく、スピーディでバシッとした鳴り方です。
●N-50より情報量と広がりは向上しており、少しだけウェットな傾向に寄っています。

■N-70A
●さすがの(シリーズ中では)最上位機種といった印象で、S/N感や解像度が非常に向上しています。
●こちらもN-50と比べてわずかに上品なテイストですが、S/N感や解像度、レンジ感などの“基本的音質”の向上で見通しが良いため、アグレッシブなサウンドの再現も不得手にせず、スピード感もわずかにN-50に劣る程度といった印象です。
●強いて言えば、少しだけ“切れ”に欠けるところがありますが、逆を返せば「N-50がかなりのハイスピードで切れ切れサウンドだった」と言えるくらいのハイスピードさと切れは(N-70AもN-50Aも)持ち合わせています。

…と、あまり書いてしまうと後々書くことがなくなりそうなので(…^-^;)この辺りにしておきます。
(後日予定している)個別のレポートでも同じようなことを書きますので予めご容赦ください。

最後にパッと見で分かりやすい?『(超勝手)黒江的vsパラメーター』を掲載しておきますので、ご検討のわずかな足しにでもなれば幸いです。

□S/N感:N-70A >>> N-50 > N-50A
□スピード感:N-50 >> N-70A > N-50A
□解像度:N-70A >>> N-50A > N-50
□分解能:N-70A > N-50 = N-50A
□レンジ感(帯域の伸び):N-70A >> N-50 = N-50A
□ダイナミックレンジ:N-70A > N-50 = N-50A
□情報量:N-70A >= N-50A >> N-50
☆黒江的好み度:N-50(S(~A+)) >> N-70A(A+(~A)) > N-50A(A(~A-))
(※N-50は先日のレポートで付けたものです。)

P.S.
こうして見るとN-50Aがとても悪そうに見えますが、N-50とN-50Aは結構しっかりと比較試聴しないと(どっちがどっちか)分からないこともあったくらいですので、ご検討されている方は気にしないでいただいて大丈夫かと思います。(←DSDが必要だったら間違いなく買いです。)
ただ、黒江が(DSDが必要で)買うとしたら(がんばって)N-70Aを買ってしまうだろうな…とも思いました!

Pioneer N-50 『導入編』

水曜日, 11月 19th, 2014

kuroe_sys_n50
今回はちょっと趣向の異なるレポートです。
…と言いますのも、わたくし黒江が(買うよ買うよと言いながら)ようやくN-50を購入し(セッティングを終え)たので自宅での使用感や雑感などなど、思ったこと・感じたことを書いてみようかな…という程度なので、いつもに増してライトに読んでいただけたらと思っております。(って、導入したのは半年も前なんですが…。^-^;)

■導入の動機
兼ねてからのレポートの通り(基本的な)音質の良さはもちろんのこと、この数年ではおそらくベスト1に近い黒江の好みのサウンド傾向であることが何よりも大きいのですが、その実は「AirPlay(に対応したプレーヤー)が欲しかった」というものすごい単純な動機です。(笑)
(以前のレポートでは『黒江的好み度:A(~A-)』になっていますね…。結構シビアに採点していたからだとは思うのですが、今なら『黒江的好み度:S(~A+)』で間違いないと思います!)
ちなみに、自宅のリファレンスシステムへの導入ではなくリビングのサブシステムへの導入となりますので、この点も誤解の無きよう先に触れておきます。

■到着~開梱
普段から(嫌ってくらい?)扱っていますので梱包状態などには特別なことは感じません…。(意外と重いよな…くらいかな。)まずは普通に自宅にホイッと持って帰りました。
開梱と言いますか、開封です。これもそんなに特別なことは感じませんでしたが、昨年に購入したPanasonicのBDレコーダー(日本製)が異常にきれいな包装状態(埃ひとつ見当たらないといいますか、人の手が一切加わっていない?かのような不純物の無さ)があまりにもすごかったので、(N-50は中●製)まあ、こんなものかな…という印象を持ったような記憶があります。(中●製にしてはきれいだった…という意味です!)

■設置~音出し
当初の予定は(面倒なので)前述の「Panasonic製BDレコーダー(ラックの中で一番薄い)に(BDレコーダーを上にして)積み重ね置きしよう」「うん、それが一番手数が少なくて楽だ!」…なんて思っていたのですが、あと数mm足りずに収まりません…。 しかも、次に楽な位置を選ぶと(PCとの距離が遠くなるので背面から取りまわす)愛用しているUSBケーブルが(audioquest [Carbon])1.5mでもちょっと足りないかも…という始末です。 仕方なく、最小限の移動を検討しますが、結局はアンプ以外のすべてのコンポーネントを移動する羽目に…。

…と、こうなってしまうと逆に火が点いてしまい、各種ケーブルの見直しもついでにしてしまおうと意を決します。(これが後ほど結果オーライになるとは…。)

そもそも、このN-50は一口に言えばネットワークプレーヤーなのですが、ネットワーク関連では(僕の購入動機である)AirPlayやインターネットラジオに(言わずもがな)WindowsやMacとのUSB接続とiPhone/iPadのDOCKケーブル接続、そしてデジタル入力と多彩な入力を持ち合わせており、その実態は『デジタル・マルチ・ステーション(・プレーヤー)』とでも名付けたいくらいの豊富な入力(ソース)が魅力であるとも捉えてきましたし、(BURRN!や各方面でも述べてきたとおり)みなさんにはそう紹介してきました。

そして、前述の通り、位置の変更も配線もやり直さなくてはいけない現状…。なら、『デジタル・マルチ・ステーション(・プレーヤー)』として、その入力端子もできるだけ使ってしまおう!…と思い立ったのです。

当初はAirPlay(これは音源と本体を無線で繋ぐので接続無し)と背面のUSB接続によるPC/MacのUSB DAC用途で十分としておりましたが、配置・配線を見直すついでにBDレコーダーから光デジタル(OPTICAL)も接続、さらに当初は100%予定の無かったCDプレーヤーからN-50への同軸デジタル(COAXIAL[S/PDIF])接続を試みます。

■音出し~設置完了
…で、繋いでテスト再生も終わったので、ラックを元に戻して設置完了です。…とはいかないし、させないのが(一応)プロです。(笑)
もう、ここまで来ると色々と聴き比べたり、検証しないことには気が済みません。なので、早速まずはUSB DACから聴き比べてみることにしました。

『NuForce μDAC2 vs N-50』…μDACは初代と2代目を所有しており(リビング用なので)今まではこれで十分といった感じでしたが、せっかくなので両者(3者)を聴き比べて、もっとも高音質・好みの総合点が高かったものを採用することにしました。
μDAC2はさすがに今までの普段使いとあって、(特にCP面を加味すれば)十分すぎるサウンドです。クリアでシャープ、切れがあって、ハイスピードなので別段に(サブシステムなら)不満はありません。
そして、N-50です。さすがにクリア(S/N)感は1ベール、2ベール剥いだような透明感で、よりすっきりとした音場が広がります。 情報量はN-50の方がしっかりとしていますが、それでいて切れもあるしハイスピードなのでμDAC2を少しアップグレードした傾向です。(μDAC2は少ーし粗く聴こえます。) でも、「これだけのためにμDAC2から買い変えることなないかな」…といった感じであり、最終的にはμDAC2も聴けるように接続を残しておきました。

『CDプレーヤー(の内蔵DAC) vs N-50同軸デジタル』…次にオマケで聴いたのがCDでのDAC使用です。 …が(!)、これが予想外の結果になりました。
一言で言えば「CDプレーヤー買い変えたかな?!」というくらいに、メチャメチャ音質が上がったのです。 まず、S/N感がもっとも顕著で段違いに向上し、そのクリアさから音の見通しが飛躍的に良くなります。
分解能、1音1音の切れ、輪郭と定位感と基本的にどこを切り取ってもCDプレーヤーの内蔵DAC(←そんなに悪くない音質です。ので当初はそのままにするつもりだったので。)より、N-50経由の方が良くなりました。(←好みになりました。) これは嬉しい誤算と言いますか、「(配線苦があったおかげで)接続してみて良かった」…なんて、ちょっとお恥ずかしいくらいの結果です。
(その後は1人でキャーキャー言いながら、数少ない(メインから浮いていた)RCAケーブルや電源ケーブルで何とかギリギリ間に合うように配線をし、ようやくラックを元に戻しました。…疲れました。笑)

…と言うことで、結果的に僕の自宅ではCDプレーヤー/BDレコーダー/USB DAC/AirPlay/インターネットラジオ/(今はiTunesからのDLNA)NAS使用が接続または聴ける状態となり、N-50が正に『デジタル・マルチ・ステーション(・プレーヤー)』として活躍することになりました。←※つまりは、アンプとN-50だけを繋いでおけば良いので、RCAケーブルの温存(バーター)にも一役買ってくれました。

長くなってしまいましたが、黒江自宅でのドタバタ導入記でした。(&乱文にて恐縮です!)とにかく、同軸デジタルが予想以上に高音質だったので、お持ちの方、これから購入の方はぜひチェックしてください!
そして、まもなくN-50AとN-70Aがリリースされますが、DACの関係で初代N-50の方が黒江の好み度は高そうかな…と予想していますし、(DSD再生が不要なら)何よりお値段が半分程度となりますので、N-50をご検討されている方は急いだ方が良さそうです!

P.S.
■オートパワーオフ設定
以前から「30分放置でスタンバイモードになってしまい、アプリでは復帰できない!」(リモコン(使ってないので電池も入れていない)か、本体の電源を完全にオンオフして再起動(2分程度)させるのが)不便すぎる!と嘆いていましたが、『オートパワーオフ設定』でこの機能をオフにすることができると最近知りました…。パイオニアさんごめんなさい!^-^;