Archive for 2月, 2010

First Watt J2 【静かなる佇まい。】

火曜日, 2月 23rd, 2010

大型パワーアンプで有名なPASS(Laboratories)の代表者であり設計者であるネルソン・パスが「もっと気軽に家庭で使えるアンプを作ってみたい」と考えたことに端を発する『First Watt』ブランドから、”J2”の試聴をしました。

【さらっと鳴ってる。ただそれだけなんだけど、とても存在感があるサウンド。】

…って、この短いコメントで終わり!にしたいくらい、本当にさらっとしたアンプです。
PASSのように厚みがあるわけでもなく、音に熱気があるわけでもなく、
芯がしっかりしているわけでも、か細い感じでもなく、
すごくエアリーってわけでもなく、どっしりと密度感が高いわけでもなく…と、延々とこんな感じで続いていきそうです。(笑)

でも、ニュートラルとか、フラットとか、そういう感じでもないんです。
繊細で、静かで、限りなく透明。だけど薄っぺくなくて…本当になかなか表現が難しいです。

あいまいなことばかり書いても何ですから、感じたことを具体的に。

●S/N感がとても高いです。
●「とても広大」ではないけれど広がりはある方です。
●スピード感は普通~ちょっと遅め。
●なので、ひゅっと吹き抜けていく感じではないけれど、「心地良い風が(ゆっくり、優しく)吹き抜けていく(頬を撫でる?)」といった印象。
●聴感上も、数値の上でもパワーがありませんので大音量は出せません。
●逆に、小さなボリュームでも(ノイズがとても少ないので)とても澄んで聴こえます。
●癖のある音ではありませんが、少しパステル調になる印象です。
●女性ボーカル(J-POPもR&Bもgood.)・室内楽・ボサノバあたりにフィットすると思います。

何と言いますか、ご自身のPASSもそうですが”俺の音を聴け!”みたいなアンプがミドルレンジ~ハイエンドには多い気がしますが、そういった風潮の真逆で「さりげなく、でもミドルレンジの高音質」という逆の主張?をしているようにも感じられました。
「PASSらしさ」みたいなものはあまり感じず(強いて言えば小音量時の粘りくらいで)、開発意図の通り「家庭で気軽に(きっとBGM的に)音楽を楽しんでもらいたい。」そんなアンプだと思います。

少量生産のわりにオーダーが続いているそうなので、お早めにお問い合わせください。

http://www.electori.co.jp/firstwatt.html

商品のお問い合わせ/ご注文/その他は黒江直通メールにてお願いします。
manager@digitalside.net

revolver Music 3 【ザ・ステレオ屋 独占販売開始!】

水曜日, 2月 17th, 2010

以前にご紹介した通り、revolver Music 1 【黒江イチオシ!】最近やたらとお気に入りの「revolver Music 1」なのですが、強いて言えば1点だけ気になることがありました。
それは…、いくら黒江が「『逆低域フェチ』で低域は必要最小限だけ出ていればよく、低域の出過ぎがなによりも嫌い。」だったとしてもちょっと低域が物足りないかな…、強いて言えばもう少しだけあったら完璧なのに!と思っていたことです。
(Music 1の低域量は必要最小限ギリギリだとは思います。)

そんな中、ふと本国revolverのHPを見た時にそいつが何となく「俺を聴いてみろ」とばかりに目に飛び込んできました。
そうです。Music1には兄貴(兄機)がいたのです!

スペックや解説を見たところMusic1には13cmのウーハーが搭載されていましたが、これがMusic3は16.5cmのウーハーに変わっているだけ?のように見えます。

「…………………………………………。」

しばらく考えた後に思い切って電話をしてみます。

「これってうちだけの為に取ってもらえますか?」(中略)

そして、とうとうザ・ステレオ屋にMusic3がやってきました!

【狙い(期待)通りの部分と、少し(予測と)異なった部分。】

狙い通りだったのは…
●Music1そのままにスパスパと切れの良いハイスピードサウンド。
●思った通り、低域のレンジ感がかなり良くなってる!
●とにかく明瞭・鮮明で、音の細かさ(分解能)が抜群です。
●深くなった低域はもちろんタイトでしっかりと輪郭が見えます。
●低域の量感に中高域が喰われることなく、非常にバランスや見通しが良いです。
●あとはMusic1と同じですので以前のレポートをご覧ください。↑

少し異なったのは…
●Music1はちょっとドライかなぁ…と思っていたのですが、Music3はちょっとウェットな感じです。
 情報量というか、密度感が上がった分でしょうか。
●バスレフタイプのモニターなのですが、密閉型?と思うようなタイトさ。
 もちろん悪いことではないのですが、Music1の方が開放的であっさりと鳴ってくれる印象です。
●Music1+低域=Music3になるかと思っていたのですが、そうはいかず、少しキャラクターの違いがあります。
●なので、Music3>Music1ということではなく、好みの差になるかと思います!
●Music1と比べて「高さ・幅・奥行き」がそれぞれ約5cmずつ大きくなっているのですが、2回りくらい大きく感じます。
 (以前の画像と今回の画像の奥にまったく同じスピーカー(HAYDN)が映っていますので見比べてみてください。)

…と、こんな感じでした。

黒江的には【ここ数年でもっとも好きなモニター】と言えるヤツに巡り合いました。
「こんなにメタルをビシビシ鳴らせるモニターはそうそうないでしょ!」

…と、いうことで『revolver Music 3』はザ・ステレオ屋にて独占販売させていただきます!

定価OPEN→157,500円(税込)
※原則的にダークチェリーのみの取り扱いで、ブラックとライトチェリーは応相談となります。
(試聴のご予約もお待ちしております。)

P.S.
このMusic3で聴くと当店の現リファレンスアンプ「TEAC AG-H600とDUSSUN T6」の個性の違いがものすごく感じられて面白かったので追加レポートをしたいと思います。

http://www.revolveraudio.co.uk/music.htm

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DUSSUN T6 【そのアンプ、凶暴につき】

火曜日, 2月 9th, 2010

久しぶりにアンプのヒットです!

中国に本拠地を構えるDUSSUN(ダッサン)の創業者でもある設計者は、オーディオアンプの設計者としてはあまりにも有名なMarkLevinson(マーク・レビンソン)が展開していたRED ROSE MUSIC(レッド・ローズ・ミュージック)のアンプの設計や製造などをしていたそうで、つまり「MarkLevinsonのお弟子さん」という感じだそうです。
(音を聴いた上で言われれば、なるほど確かに通ずる点があるように思えます。)

【バキバキの鋭さ、剛速球的なハイスピード。】

「鋭利なナイフ」といった鋭さ・切れ味ではなく、「チェーンソーやのこぎり」的とでも言いましょうか、そこら中を切り刻むような、なぎ倒すような感じの鋭さで、音のエッジがしっかりしているんだけど線がシャープではなく、音に骨(芯)と肉がしっかりとついているんだけど「贅肉的な感じの無い」タイトなサウンドです。

スピード感もスパッと抜けていくような、シャッと切れていくような快速球的ではなく、手元で球が伸びるような、ドライブ感の非常に高いハイスピードで、バスドラにビーターがヒットした瞬間・スネアの皮の張り・ギターバッキングの激しいピッキング音・ラウンド弦ベースの歪み…などなど、弾け飛ぶような音、アタック音などが非常にいい感じです。

ちょっと回りくどくなりましたが、簡潔に言うと…
●癖のないストレートなサウンドが基調。
●上記の通り強調が激しいわけではないが、パワフルでドライブ感の高い傾向。
●やや低音より。
●低音の解像度が非常に秀逸。(しっかりと出し、緩みがなく、芯も肉付きもある。)
●サウンドステージも広すぎず、狭すぎず、しっかりと描き出す。
●やや高域に不足感があり、華やかなサウンドではありません。
…と、こんな感じでしょうか。

黒江的には、このえぐる様な、ビシビシ・グングンと来る感じがとても気に入りました。
(このアンプを聴くと、TEAC AG-H600がまだ全然鮮やかな方だな…と。少し訂正レポート書くと思います。)
傾向的には「TEAC・PRIMARE」あたりに近く、雄々しいタイプのサウンドです。

出力は8Ωで100Wとありますが、ATCなどの比較的重めのスピーカーでもかなり鳴らせるので、(サウンド傾向とは違う意味で)パワーも十分。
電源オンの際に、(ボリュームが自動的に絞られて)自動ミュートするなど、ちょっとした小技も光る期待のルーキーだと思います!

ザ・ステレオ屋サウンドがお好きなら、絶対に自信を持ってお勧めできるアンプです!
しかも、この価格なので、初中級(ビギナー)ユーザーにも何とか手が届くのではないかと思います。

http://www.audiorefer.com/dussun/t6.html

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NuForce Icon AMP

火曜日, 2月 2nd, 2010

立て続きだったNuForceの製品紹介もとりあえずラストになるかと思いますが、有終の美を飾るのは一昨年の登場以来ヒットしている小型アンプの「Icon」の兄弟機となる「Icon AMP」です。

製品コンセプトは単純明快で「IconからUSB接続やヘッドホン出力を取り除いてスピーカーの駆動に徹した」というだけです。
…が、Iconだってちゃんとした(スピーカーを駆動できる)小型アンプだったワケですが、わざわざ”AMP”と強調しているところなどを見るとよほど自身があるようですし、まるで「Iconのアンプ(スピーカー駆動)はオマケだった」とでも言いたげな感じもします。

はたして、そのサウンド&クオリティは…

【(僕の思う)NuForceの正統な継承サウンド。】

はじめに断っておきますと、「27,300円のアンプが10万円クラスのアンプを凌駕した!」とか、そんなことではありません。
例えば同社のIA-7などと比べるとレンジも狭いですし、S/N感や音抜け、スピード感、情報量などなど、基本的な音質においてはそのすべてがランク下の感は否めません。

…ですが、何と言うか、その価格とコンパクトさを考えるととてもとても魅力的な製品なのです。

いつものように思いつきで挙げていきます。
●切れっ切れっのシャープ系、パワフルでダイナミックなメリハリ系、”というわけではないのですが”、
 エネルギー感、ドライブ感の高いハイスピードサウンド。
●ストレートな音調で、(そこらのアンプよりもよっぽど)純粋な増幅に徹している印象。
●元気があるというか、活きが良いというか、鮮度感の高いサウンドで、「アグレッシブ」という印象。
●音はクール系ではなく、熱めだけれど、ウォーム(暖色)系ではない。
●スピーカー出力が倍になった。(元祖Iconだとちょっとボリュームを上げたら音割れ(クリップ)していましたが、かなり改善しました。…が、やはり高出力時は音割れします。(音割れを起こすのは結構な音量なので実用範囲は大丈夫かと。))
…と、こんな感じです。

本当に初期のNuForceを聴いているような感覚で、V2~V3のパワー、S付きのプリと変わり続けているNuForceですが、(最後に出た)こいつで原点回帰か!(笑)…と、思ってしまったくらいです。
(スピード感は初期のIA-7 (V1)には劣るけど、IA-7 V3には勝ってるんじゃないかなぁ。)
もちろん、黒江的にはお気に入りの鳴り方です!

その他、前述の通り、ハーフサイズ~フルサイズのアンプには(出力面)とかでも劣りますし、決して「めちゃくちゃ音質が良い!」ってワケではないのですが、音質云々以上に惹かれるものがありますし、このサイズと価格でこのサウンドが手に入るのはとんでもなく魅力的だと思います。
(べた褒めしていないだけで、S/N感なんかはすごく良いですよ!)

パソコンをプレーヤーに見立てたデスクトップオーディオに、ベッドサイドとかのサブシステムに、とりあえず低予算からはじめてみたいビギナーオーディオに、ミニマムに、ミニマルに「Icon AMP」は活躍してくれると思います。
(「とりあえず」で使っておいて、ゆくゆくはサブにするのも良いですよね。)

ちなみに、元祖IconのACアダプターは25W、出力が倍のIcon AMPは15W、強化電源が使えるかは…多分使えます。

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