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PMC DB1 Gold [postscript]

水曜日, 10月 24th, 2012

早速のお申し込み、お問い合わせありがとうございます。

前回に引き続き、PMC DB1 Goldについて捕捉させていただきます。

●ユニットの増し締めは必須です。
このスピーカーに限ったことではありませんが、数々のスピーカーと対面してきた経験上で意外に多く見受けられるのが「スピーカーユニット自体がしっかりと固定できていない(または固定が緩んでいる)」ということです。
(特に!)このPMCでは以前から顕著に見受けられ、当モデルDB1 Goldも同様の状態でした。
理由は幾つか考えられ、「輸送中に緩んでしまった」のかもしれませんし「ハナっから緩かった」のかもしれませんが、当店としては増し締めをオススメしたいところです。

締め方は…トルク調整できるドライバーなどを用いるのがベストではありますが、(普通はお持ち合わせでないことと思いますので)比較的簡単な調整方法を書いておきます。
『キュッときつく締めて、少し戻す。』一口に言えばこんなイメージでしょうか。
(締めすぎるとエンクロージャーにめり込むので)力いっぱいではなく、「これ以上は力を入れないと進まない」程度までまずは締めます。簡単にはビスが進まないところまで来たら、そこから少しだけ戻し(緩め)ます。緩める分量は大体30度~45度(時計の針の10分から15分くらい)です。
(大雑把に言えば)きつめに締めると音がタイトになりますが、締め過ぎると音がデッド(量感が落ちる・飛ばない・キレがない)になりますのでご注意ください。

これを(大抵のユニットは4ヶ所)すべてのビスに対して一定の力加減で行います。
厳密に言えば、(時計回り、反時計回りではなく、対角の順番で)4ヶ所をちょっとずつ締め、4ヶ所をちょっとずつ緩めるのが正解ですが、その辺は大らかでも良いかと思います。

なお、締め加減・緩め加減はやはり好みの世界です。
(前述の締め具合に関してはあくまで“締め過ぎない”ための参考です。)
『車やバイクで言うタイヤの空気圧・テニスのガットの張り・料理の塩加減、スパイスの効かせ具合』のようなものなので何度も聴き比べて(味見して)ベストな位置を決めていただけると幸いです。

また、スピーカーメーカーによっては「当社のスピーカーは厳密なトルク調整(トルクコントロール)をしております」といった謳い文句を掲げているところも少なくはありませんので、そういったメーカーの製品を安易にトルク調整してしまうと「そのメーカーのサウンドらしさを失う」ことにもなりかねません。
…が、やはり輸送中の緩みが生じることも少なくはありませんし(少なくともスピーカー自身が振動していますので)長期間の使用では必ず緩みが生ずるものですから、たまにはチェックしてあげると良いかもしれません。

●バイワイヤリング用の金具は必ず外してください。
PMCのジャンパー金具は“とにかく酷い音質”です。…ので、ケーブル(導体)を長く剥き出してHF/LFを貫通させるか、短く切ったスピーカーケーブルを金具代わりに使用してください。

●鳴らし立てのPMCの音はひどいので驚かれないようにお願いします。
(黒江は)スピーカーの初期的なエージングは3段階~4段階くらいに分かれていると考察しています。(初期的とあるのはエージング自体が永続的であるからです。)
初段のエージングは20時間から長いもので50時間くらいで、まずは粗さが取れ、良い意味でほぐれてきます。
2段階目は200時間~300時間(早いもので100時間強くらい、遅いもので500時間)くらいでしょうか、ツイーターとウーハーの繋がりが良くなってきます。(ツイーターとウーハーが別々に鳴っているように感じていたものから、(1つのユニットが鳴っているような)一体感の高いサウンドに変化してきます。
PMCは少なくともこの2段階目のエージングまで進まないと本領発揮とはいかないので到着後しばらくは我慢しつつも、たくさん鳴らしてあげてください。
なお、エージングを早く進めたくても「逆送接続で向い合せての再生」「エージングソフト」「普段聴かないソフト」でのエージングではなく、あくまで現時点でのベストな選曲で手なずけてやっていただければと思います。

●アンプやプレーヤー次第でお好みのサウンドに。
DB1 Goldは非常にレスポンスの良いモニターですので前回のレポートのようなサウンドのみに非ず、様々な鳴らし方に応えてくれることと思います。
例えば、真空管アンプにアナログ(らしい)プレーヤーなどと組み合わせれば、伸びのあるしっとりとした方向にもアプローチできるので様々な方にご検討いたければ幸いです。(とは言え、同じUKモニターだからと言ってHarbethのようには鳴りませんが…。)

●フィニッシュについて。
DB1 Goldはレギュラーモデルのシリーズとは異なり、本国では“Silk Black”と名付けられた仕上げとなっています。実機はシルクというようりはマッドブラックといった感じの仕上げであり、艶・光沢のほとんどないテイストになっています。
無垢材ではもちろんなく、基本はMDF材となり、レギュラーモデルの突板仕上げでもありませんのでその点はご注意ください。(正直なところ仕上げはやや安っぽいです。多少の塗りムラも見受けられますし…。)
(あと、独特な匂いがしばらくお部屋を漂います…。匂いが取れた頃が第2段階のエージング終了かもしれません。笑)

●プライスはお安めです。
DB1iに変わる前のDB1+が定価20万円強でしたのでお手頃なプライスとなっております。

●仕様などについて。
Googleなどで「DB1 Gold」と検索していただければPMCの発行した正規のpdfファイルが閲覧できます。
(なぜかPMCのオフィシャルには無く、よそ様のWEBサイトでしたのでリンクは割愛させていただきます。)

●DB1 Goldの悪い点。
前回は褒めてばかりでしたので端的に述べさせていただきます。
音場は狭く、上下左右の広がりも弱い傾向なのでいわゆる“箱庭的”な鳴りかたです。
また、「ハイスピードかアグレッシブかと訊かれたら…」のくだりの通り、音が目の前にビシビシと飛んでくるようなアタッカーぶりはそこまではありません。
(強烈なヤツが眉間くらいまで迫ってくるとすれば、DB1 Goldは眼前30cmくらいまでしか来ない感じです。それでも十分ですが…。)
黒江的にはもっとヤンチャでも良かったかな…と。(以前は感じなかった雑感なので組み合わせ次第で変わるかもしれません。&以前は防音室でもなかったですし。)

…と、軽い気持ちで書いてみたら長くなってしまいました…。(読破おつかれさまです。)

前回のレポートと合わせて、(ピンときたら)ぜひご検討ください。

PMC DB1 Gold

土曜日, 10月 20th, 2012

一気に寒くなってきた今日この頃ですがオーディオ業界では新製品の発表・発売が多くなる季節ですので、当店では(超高級機は除いて)様々な製品を毎日のようにチェックしております。
(この季節以外も年中してるかな…。笑)
そんな中、“何の前触れもなく”現れた1つのモニターを今日はレポートさせていただきます。

【ハイスピード系コンパクトモニターの(一つの)最終形。】

タイトルをご覧いただければ一目瞭然かとは思いますが、(数年以前の)黒江のマストアイテムであったDB1がこの度(限定モデルではありますが)復刻いたします!
(“何の前触れもなかった”のは限定数での生産であるため、限られたディーラーに案内されたからなのです。)

製品名は「DB1」となっておりますがツイーターがソフトドームであるため、ベースは「DB1+」となります。(本国にも確認済みです。)
かなり以前のコンテンツにメタルツイーターのDB1SMとDB1+を聴き比べたレポートがありますが(自身で読み返して「あれ?こんなくらいしか書いてなかったんだ…」と思ったくらい)、淡白なレポートですので少しおさらいもしつつ新たにレポートさせていただきます。

まず、初代DB1とDB1+は、やはりメタルツイーターとソフトツイーターの差に尽きると言っても過言ではありません。
メタルツイーターの方が冷たく硬質でややキンキンしていますが、「キーン」と張りつめた高音域は天井に向かって突き抜けるような伸びがあってこれはこれで魅力的であると思います。(人によってはこちらを選ぶかと思います。)
一方のソフトツイーターはS/N感と分解能が非常に高く、粗さの無い繊細な高音域となっていますが、反面で金属音に強かった初代に対してこちらはややドライな高音域となっているため金物(特に余韻)の響きに(ほんの)少し物足りなさを感じるかもしれません。
…と、要は“好み”の問題かもしれかせんが、黒江的には「DB1+の方が僅差で軍配」という結論でした。
(その後のDB1iは価格が高くなってしまったのであまりクローズアップしていませんでしたが、そのうちに改めて聴いてみようと思います。)

その上でいつものようにサウンドの傾向を書いてみたいと思います。
(かなり好きなサウンドなので“べた褒め”っぽくなっちゃうと思いますが、予めご容赦ください。)

■PMC [DB1 Gold]
●“キレのあるハイスピードサウンド”この一言だけで終わらせてしまいたいくらいの圧倒的なキレとスピード感です。
アグレッシブさも持ち合わせていますが、「アグレッシブかハイスピードか」と問われたら躊躇なく「ハイスピード」と答えると思います。
擦る音(バイオリンなど)や吹く音(フルート・クラリネット・ラッパなど)よりもアタック音が得意なタイプであり、ディストーションギターのガリガリ・ジャリジャリとした歪みの細かさ、粒立ちとエッジ感やスネア・バスの打音にシャウトボイスの立ち上がりやザラつきなどがとにかく秀逸です。

●PMC社の専売特許とも言える、(14cmウーハー)サイズからは想像できないくらいにしっかりとした低域が出力されます。
ベースの再現力に関しては(ウーハーサイズが大きい)Haydn Grand Symphony Editionよりも高く、ATC SCM7などにも引けを取らないレベル・クオリティでありながら、ボーカルやギターの前に重なってくるような(出しゃばった)出かたでもない“ちょうどいい”加減です。もちろん、ビシッとタイトに描かれていてボワつきやゴワつきなどは一切ありません。

●1音1音・各パート・音像とすべてが明瞭で、抜群の定位感は“とにかく秀逸”といった印象です。
強いて悪く言えば「輪郭の強めなサウンド」です。輪郭の強めということは、テレビなどの映像機器でいうところの“シャープネスを高めにした”状態であり、クッキリとハッキリと見える状態です。
極論を言えば(黒江が日頃から嫌っているような)「作った音」とも言えそうですが、輪郭線は細く、持ち前のスピードとキレで高速に1音1音が描かれるので輪郭を押し付けられるような印象はありません。(音の輪郭がもっと太いか鈍足であれば強調された感じを強く受けてしまっていたかもしれません。)

●全体的にはややドライな音色傾向です。
ドライと言えば「Klipsch」を思い出しますが少し傾向の異なる感じで、Klipschは金属感のある「カンカン」としたドライ、こちらは金属感のない「ザラザラ」としたドライです。
“ウェット感”を感じさせてくれることはまずないと思いますので、「しっとり・マイルド・軟らか」などの傾向が好ましい方は選択肢に入れないでください。

●Handcrafted In the UK
いわゆる“MADE IN UK”です。

黒江的好み度:S

言わずもがなとは思いますが、ハードロック・ヘヴィメタル系のリスナーさんはぜひ注目してやってください!

P.S.
(世界)限定販売ということですが、世界で200セット程度ということのようです。
そのうち日本では20セット程度だけの入荷とのこと。(当店ではその半分程度です。)
(限定品商法をするつもりは一切ないのですが、ピンと来た方はすぐにでもオーダーいただかないとSOLD OUTしちゃうと思いますので)ぜひお早めにお問い合わせください。
レギュラー品(DB1i)もありますからこれを逃してまだ手には入れられます。(音は少し違いますが。)
価格は(オープン価格の限定品と言うことで公に出来ませんが)13万円以下で提供させていただきます!