Archive for 2月, 2016

VOXOA T50

木曜日, 2月 18th, 2016

VOXOA T50

今回ご紹介させていただくのは、昨今増加している(という)レコード(盤)ファンへのマストアイテムです。

【聴いて良し、録って良し、任せて良しの使い勝手抜群プレーヤー。】

(僕もはじめて知ったブランドでしたので)先にブランド・メーカーについてお話をすると、VOXOAはお隣の大国(大陸)のブランドのようでメーカーとしてのメインアイテムはDJ機器となっているようです。
(VOXOA(ヴォクソア)と読むようですが、本国での発音・イントネーションは不明です。)

DJ機器がメインのブランドですからメインのアナログプレーヤーは(いわゆるSL-1200 MK*的な)DJ用のターンテーブルがラインナップされていますが、この度日本国内で取り扱いがはじまったのは(DJ用ではなく)ベルトドライブのターンテーブルとなります。
DJ(プレイ)に特化したモデルではなく聴くこと(プレイ)に特化したモデルというわけですが、気になる音質等をレポートしたいと思います。

■VOXOA [T50]
●スピード感や音のキレ・抜けを高く感じさせる傾向ではありませんが、癖が無く、素直・ストレートな音色傾向です。
●帯域バランスも良好で、高音(域)・中音(域)・低音(域)など、どこかの帯域が出しゃばる様なことがなく、すっきりとした位置関係を描きます。
●低域はタイトめの傾向で、アナログにありがちな(量感は出てるけど)暴れ気味になるようなこともなく、解像度・解像感も上々です。
●厚めでしっかりとしたサウンドは「アナログらしい音」に分類される傾向なので、聴き疲れも少なそうな印象です。
●『オートプレイ機能』を搭載しており、(確実に盤の端に針を落とせるかの)精度・(ボタンを押してから再生するまでの)速度共に非常に良好です。
●内蔵フォノイコライザーを通したサウンドも(価格にしては)十分な音質と言え、アースも内部で処理されているため、(アース線を繋ぐ端子を持っていないような)デスクトップ型・コンパクト型や、ビギナー向けの(省装備な)アンプでも困らずに使用できるのも高評価できるポイントではないかと思います。
●カートリッジの交換ももちろん可能で、加えて内蔵のフォノイコをオフにすることも可能なので(徐々にステップアップさせていく前提でも)長く使っていただくことが出来ると思います。
●USB接続でレコードの音をWindows・Macに録音することができ、取り込んだ音源も上々の音質です。
○フォノイコが原因か(標準付属の)針・カートリッジに原因があるかは不明でしたが、ランク上の(他の)アナログプレーヤーと比べると少しノイズ感が多く、音のきめ細やかさに於いても少し粗めではあります。(比較対象の価格が倍以上であるため当然の結果でもありますし、CP的には十分な音質です。)
○設置時(にベルトを掛ける必要があるのですが)、慣れない方は少し苦労するかもしれません。

…といったところなのですが、雑感を(好き勝手に)述べさせていただくとしたら…
(昨今、CDショップ・量販店・雑貨屋さんなどで1~2万円の安価なプレーヤーが売れていて(少し流行ってきていて)、主だったものは大抵聴いてきてはいるのですが、正直「ただアナログが鳴らせるだけ」と思うようなものも多かったので)
VOXOA T50を聴いたときには「できればこのくらいの音質で(みなさんにも)聴いていただきたな」…と、思ってしまったのが本音です。
(アナログの雰囲気だけでも十分満たされるのは分かりますが、もう少しちゃんと鳴らしてあげるとアナログ盤も喜んでくれると思うのです。)

VOXOAはそう思わせてくれるくらい「まともな音」であり、接続の簡単さ、オートプレイ、USB録音と欲しいと思える機能が(すべて上々の質で)揃っているためビギナー~中級者あたりまで幅広くお勧めできる1台となりました。
(今年の当たり機種の候補には間違いなく入りそうです。)

アナログレコード再来と言われる今日この頃、“はじめまして”の1台にいかがでしょうか。

P.S.
Windows・Macに接続の際のドライバー(インストールなど)は不要ですが、USB録音できる音質は最大で24bit/48kHzとなります。

ONKYO DP-X1 vs Pioneer XDP-100R

木曜日, 2月 4th, 2016

今回は(話題沸騰中?の)Android型DAP(デジタル・オーディオ・プレーヤー)をご紹介いたします。

【優等生で何でもそつなくこなす兄(機)とちょっと尖っててスポーツ系の弟(機)。】
(何年も以前にどこか[当ブログ?連載等?]で書いたことのある様な見出しになっちゃいましたが。笑)

昨年に(大人の事情で)会社同士がくっついた関係で(腹違いの)兄弟となった両者から、それぞれのDAPが発表されましたが、(会社の統合に伴い)ほぼ同等の共通部品で作られた2機種を聴き比べてみました。
※(お約束)『vs』とは両者の「優劣」を決めることではありません。「比較・差異」を分析するレポートですので予めご理解ください。

■ONKYO [DP-X1] vs Pioneer [XDP-100R]
2機種に共通する点としては…
●S/N感・レンジ感・解像度などの基本的音質は(及第点以上にあることは間違いが無く、価格に見合った)合格点ラインに到達しているクオリティを持っています。
●CPU・メモリー・内蔵ストレージ量(32GB)などの(Android端末としての)ハードウェアスペックも十二分であり、操作性も良好です。(標準のプレーヤーアプリだとフリック時などにフェード効果が掛かるせいか、わずかにラグが生じるような操作感ですがアプリ次第ではないかと思います。)
○あくまで“ザ・ステレオ屋”的の結論ですが、当店では購入直後の初期状態ではなく、『DSPをオフ』にしたサウンドの方が評価が高くなる結果となっており、(むしろDSPを切らないと評価できないくらいでしたので)当店のユーザーさんにはぜひ「DSPオフ」でのご使用(試聴)をお勧めさせていただきます。(※初期状態はDSPがオンになっているので要注意です!)

そもそも『DSP』とは?
簡潔に言えばサウンド効果(サラウンド効果)のような文字通り“効果”(エフェクト)のことです。
音の世界でいう“お化粧”であり、素の音(録音された音)に様々な加工を施して「よりきれいに聴こえるように」調整等をしていますが、悪く言えば癖を付けられた音、余計なおせっかい…とも言えるものです。
更に言えば、お化粧(味付け)の好みが自分にピッタリと合えば素の音よりも気持ちよくなれますが、合わなければ“素のままでいいのに…”と感じてしまうことも…。
今回の両機種に於いては(おそらく)ソフトウェア側で処理しており、オンの時はハード(基盤・回路)から出力された音に後から(アプリのようなもので)2次加工をすることになり、オフにするとハードからの出力をそのまま聴くことができているはずです。

…といったところですが、ここからはそれぞれの印象を書き出していきます。
●DSPをオフにすると両者ともにすっきり感が増し、見通し、輪郭、粒立ちが(非常に)向上します。
●ザ・ステレオ屋的に言うところの『切れっ切れのハイスピード』『ゴリゴリのアグレッシブ』…というわけにはいきませんが、中庸なところを基準とすれば双方ともに、やや硬質気味・モニター調(解析的)・ややハイスピード・タイトな音像(1音1音)と言える傾向にあります。
●ハードの違いは(おそらく)ONKYOには2個ずつ載っているとある部分が、Pioneerは1個ずつとなっているだけで後はほぼ同じです。
●S/N感・解像度(解像感)・情報量はONKYOに軍配が挙がりますが、すっきり感(見通し≠S/N感)やキレ、スピード感はPioneerに軍配が挙がり、ザ・ステレオ屋的にはPioneerの方がより好みに近いサウンドと言えます。
黒江的好み度:A (ONKYO [DP-X1])
黒江的好み度:A+(~S-) (Pioneer [XDP-100R])

…ということで、
(最初は気が付かなかったので)DSPが掛かっている時は双方ともに“がっかり”といった感じでしたが、DSPを切れば満足のいくサウンドとなってくれました。

後はどちらを買うかが悩ましいところなのですが、1つ少しでもアドバイス?にでもなればいいかな…と思うところを述べさせていただきます。
★この製品は単なるDAPと思って買うのではなく、『携帯動画プレーヤー』&『そこそこ高スペックのAndroid端末』に高音質なDAPが搭載されていると思う方が自然です。(iPod touchのAndroid版の高音質モデルとも言えますね。)
(SDカードスロットがが2基ありますので200GB×2枚の最大400GBになり、HD画質の動画でも相当数を常に携帯することが可能です。加えて、現在最高峰とは言えないものの、かなりハイスペックであるためアプリなどがストレス無くスムーズに動作します。※カメラやGPSはありません。)
★部屋にCDプレーヤーなどのディスクプレーヤーが無い方も増えてきていると思いますが、“LINEアウトモード”が搭載されており(リファレンスのCDプレーヤーにはさすがに及ばないものの)、オーディオ用のプレーヤーの代用品にも(それなりにですが)なると思います。
(もちろん、CDは一度DAPに取り込んで…ということです。)

…これらを踏まえて。
☆色々なジャンルを均等に聴く方、基本的音質が少しでも高い方がいい方はONKYOの方をお勧めします。(バランスヘッドフォンに対応しています。※バランスヘッドフォンが=高音質ではありませんが…。)
☆アプリやゲームも楽しみたい方、メタルやロックがメインの方はPioneerの方をお勧めします。(ONKYOの方はスピーカーがありません。)

ただのDAP、ただのAndroid端末と思うと少々割高に感じますが、複合機であることを加味するとなかなかお値打ちの製品ではないかと思っております。

(デフォルトでDSPがオンだとは思わずに匙を投げかけましたが)ONKYO and Pioneerからの新製品、自信を持ってお勧めできるサウンドでした!

P.S.
DSPとかEQはデフォルトでオフにしてください…。^-^;