Vienna acoustics HAYDN GRAND Symphony Edition Signature

今回はVienna acousticsからの新製品をレポートさせていただきます。

【Haydn(ハイドン)らしさは感じさせるも、もはや異なるモデルに変化。ネーミングはHandel(ヘンデル)とかでよかったような…。】

まずはじめに前モデルまでのHAYDNが長らく当店のリファレンスモニターであったので、今回のリニューアルに際しては「大きな期待が半分」「なんとも言えない不安が半分」といったところでした。
不安の一端を担ったのがリニューアルの速報で知った「バスレフポートの移動」であり、従来まではツイーターユニットの両サイドにポートが設けられ(エンクロージャー内の不要な残留・残響を排除して)いたことに対して、新作は一般的な背面からのバスレフポートに変更された点が挙げられます。
(※背面ポートは文字通り背後に音が抜けてしまうので(特に)当店のようなニアフィールド(小さな部屋での音出し)環境にはフィットしづらい可能性が上がります。)

そんな期待と不安を交じらせながらの初試聴となりましたが、新たなHaydnの辿り着いた先は…。

■Vienna acoustics [HAYDN SE Signature]
●まず一聴してすぐに感じられるのが、これまでののHaydnと比べると音の濃密さが向上した印象です。濃密と言っても重々しい感じではなく、いわゆる情報量が上がったような変化であり、従来と比べると落ち着いたサウンドになっています。
●帯域のレンジ感はより広くなっているように思いますが、やや重心が低音寄りにシフトしています。
●S/N感も良好で雑味のないサウンド傾向であることに変わりはありません。
●音の広がりは以前よりも向上しており、音場の解像度・解像感が高くなっていますが、サウンドステージの描き方は以前とまったく異なる様相となっています。
●具体的には(以前のHAYDNも前に前にガシガシ来るタイプでは決してありませんが)、1音1音が鋭く前に切り込んでくる傾向にはなく、ふわっと上下左右とスピーカー後方に広がるような傾向です。
●これらの影響もあって、スピード感・音の切れ・分解能は以前のHAYDNの方がより鋭敏に感じられ、Signatureモデルは旧HAYDNをやや穏やかに、落ち着かせたようなサウンドに変化しているように感じられます。
○やはりバスレフポートの影響か、全体的に(黒江としてはHAYDNの一番の持ち味と感じていた)スピード・キレ・シャープさがトレードオフされてしまったように感じられる面がありました。
○ただし、(中低域ユニットは以前のスパイダーコーンのままであり、今回は主にツイーターユニットのリプレースがメインであったので)全体的にはHaydnらしさ、Haydnぽさは残っており、まったく別のブランドになったような変化までには至っておりません。
黒江的好み度:A

…ということで、見出しの通り「Haydnとは命名せずにHandel(シューベルトでも、ヴィヴァルディでもいいのですが)とでも名付けていただきたかった」というのが本音ではあります。
ご周知の通り、ツイーターが丸ごと変更されたので(前面の1/2が変わったので)見た目も全然変わっており、いわゆるマイナーチェンジではなくメジャーチェンジ(この場合車などでもモデル名は変わらない)相当にはあたるかと思われますが、サウンドの印象がここまで変わってしまうと…なかなか難しいところです。

…と、色々と述べさせてはいただきましたが、僕の思うハイドンの音ではなくなったかな…というだけで、好み度で「A」を付けさせていただいているくらいですので高いクオリティ・ポテンシャルを持ったモニターであることには間違いがありません。
なお、この『HAYDN SE Signature』に合った鳴らし方も徐々に分かってきており、サウンドの詰めかた次第ではもっともっと良さを引き出せることも付け加えさせていただきます。

お問い合わせ等、気軽にお願いいたします。
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P.S.
結構前に限定数で販売された「Haydn Jubilee」(ジュビリー)について訊かれることがありますがJubileeはスパイダーコーンではない旧モデルであり、サウンドも正に旧モデルさながらといった傾向ですので個人的には食指を伸ばしませんでした。

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