Pioneer N-70A

2014 年 12 月 11 日

今回は表題のN-70Aをクローズアップしてレポートしたいと思います。

【そつなく、癖なく、隙なく、あらゆるジャンルを自然に鳴らす。】

サウンドレポートの前に発売日からこのN-70Aを聴いてきた雑感のようなものではあるのですが、黒江が記した前回の「vsレポート」然りで、これまでは何となく「N-50の後継がN-50AでN-50Aの音質をより高めたのがN-70A」のような概念を持っていました。

…が、最近ではこの3機種がまったく別物の3機種であるような考え、位置づけに代わってきており「N-50は最終プライスが非常にお得なベーシックモデル」「N-50AはDSDが再生できるエントリーモデル(N-50の経験値を活かしてはいるけど、N-50をベースにして造っているのではない(DACチップがまったくの別物ですしね…)。)」といった捉え方も色濃くなってきております。

そして、このN-70Aなのですが、前述の通りN-50A(の音質をより向上させて)との差別化を図ろうとしたしたモデルというよりは、marantzのNA-11S1(NA8005)やLUXMANのDA-06(DA-200)などを強く意識して設計・計画されたのではないかな…と勝手ながら推測してみたりしています。

もちろん、(価格も倍近く異なる)NA-11S1やDA-06にはそうそう簡単には及びませんが、後発の優位性である機能面やCP面ではなかなか良いところに付けていると思いますし、何より僕がはっきりと述べておきたいのは「豊潤で濃厚系」であったり「しっとりとした美音系」であったりする2機種とは異なるテイスト(味付けのないのが味)で勝負をしてきたと思われる(思いたい)ということです。

…ということで、こういったことを踏まえつつ、レポートしてみたいと思います。

■Pioneer [N-70A]
●N-50(無印)でも十分すぎるくらいのS/N感(特に同軸デジタル・USBメモリー・USB接続)だと感じていましたが、更にその上を行く透明感・明瞭感・静寂感を持っています。NA-11S1やDA-06と比べてもその差はわずかであり、高音質の基本要素として十二分なクオリティであると思います。
●解像度も高く、定位や音の位置関係、奥行きなども良好ですが、音の広がり(音場・サウンドステージ)はあまり広がらず(黒江的には適度)、広大なホール感を描き出す傾向ではありません。
●スピード感は「vs形式」でN-50Aよりも上回る表現をしていますが、もう少し具体的に言うと、1音1音の出音自体は(N-50AとN-70Aは)ほぼ同等のスピード感に感じられるところ、前述のS/N感の相乗効果で抜けや見通しが非常に良好であることからN-70Aの方が頭1つリードしている印象になるのだと考察しています。
●「切れっ切れで、鋭角でシャープで鋭い立ち上がり」とは“言えません”が、この辺(アタック音・エッジ感)も高いS/N感や解像度の恩恵でとても鮮明な音を描き出しています。以前の通り、強いて言えば少し音の切れは穏やかな傾向で、(N-50などと比較すれば)少し余韻型に寄っています。(…とは言え、スピード感・抜け・切れ・エッジなどの「ハイスピード&アグレッシブ要素」はNA-11S1やDA-06よりも高く、≒モニター調≒硬質拠り…とも言えます。)
●情報量や濃さ、ダイナミックレンジなども(NA-11S1やDA-06には及びませんが、N-50やN-50Aよりはグッと高まっており)上々なのでクラシックやアコースティック、ストリングスなどの音の質感の表現を求められるジャンルでも(モニター調ではないかと思いますが)無難にこなしてくれると思います。

●1音1音、音の造りは見出しの通り基本的に「無味無臭の味付けのないサウンド」の傾向で間違いありません。ソース(録音)に忠実であり、余計な脚色や味付けはほぼゼロです。強いて言えば、(前述の切れと)わずかに大人しい(ビシバシと叩きつけるようには飛んでこない)といった印象がある程度です。(←これも音がほぐれているからこそ感じられる要素なので一概にマイナスとも言えません。)

○良く言っても「優等生的」、悪く言っても「優等生的」とも言え、例えばあるジャンルに長けている方には「松ヤニの質感に少し難がある」とか「ラッパの乾いた金属音が…」とか「シャウトの擦れ具合が…」とか、“惜しいんだけどな”と思われることもありそうなのですが、黒江的には総じて何を聴いても“ちゃんと鳴らせてるな”と思う採点となっています。(前述の通り、「シャウトが惜しいな」とは思うのですが、十分にメタルもロックもポップスも鳴らせてると思います!)

…と、総評としては見出しのような印象になりました。
ので、図抜けてマッチしているジャンルがあるわけではないのですが、どのジャンルもかなりハイレベルで鳴らせてるということで良いと思います。
(強いて言えば、(色んなジャンルの要素が加わる)ポップスにはメチャクチャ強いと思っています。)

もう少し述べると、NA-11S1やDA-06は王道のオーディオ的で従来のオーディオファンをターゲットにしたモデルであり、N-70Aはモニター調で様々なジャンルを聴く幅広い音楽好きにターゲットがあるように思えました。
(メタルも好き、ポップスも好き、クラシックも聴くなんて方にはぜひお勧めします。)
ネットワーク機能があることもあって、家族や複数の人と音楽を楽しむタイプの方でしたら(それぞれが好きなジャンルが異なってもこなせる)N-70Aもきっと良い選択肢になるはずですので一度試聴等されてみてください。

お値段や試聴等、気軽にお問い合わせください。

Pioneer BDP-LX88 vs BDP-LX58

2014 年 12 月 2 日

このところ(新製品ラッシュということもあって)Pioneer製品ばかりがエントリーされていますが、間もなくnorth star designやその他のレポートも予定しておりますので今しばらくはご容赦くださいますようお願い申し上げます。(Pioneerから袖の下を貰ってるとか、優遇してもらってる…などなど、お好きに言ってやってください!笑)

…ということで、表題のブルーレイディスクプレーヤーをレポートさせていただくのですが、当店(ザ・“ステレオ”屋ですし)“画もの”には大して詳しくありません。
…が、OPPOの登場からネットワークプレーヤーであったりUSBメモリーの再生などに対応してきたこともあり、多くの方から「(CDなどを聴く)音質面ではどうなの?」といったお問い合わせも少なくなありません。
そこで、かつて(DVDが普及してきた頃)の“ユニバーサルプレイヤー”と同じく、音にクローズアップしてチェックして(レポートして)みるといった試みをしてみましたので、少しでも参考になれば幸いと思います。
(画もののプレーヤーでCDを聴くユニバーサルプレーヤーの先駆もPioneerのDV-AX10/DV-S10Aであったような記憶があります。「今また正に」といったところですね。)

【さすがの風格を感じさせるBDP-LX88にCPでは絶対的なBDP-LX58の存在感。】

いつものように「vs形式」ではありますが、「vs」とは「絶対的な優劣を決める」という意ではないので予めご理解ください。

試聴は基本的にすべて「DIRECT(ダイレクト)」モード、CDとNASのファイル、USBメモリーのWAVファイルを中心に聴いています。
(※映像の絡んだ音質面は“一切検証していない”ので予めご容赦ください。)

■Pioneer [BDP-LX88]
●同時季に(同様に兄弟機で)リリースされたN-70AとN-50Aでも同様の差別化が図られていましたが、筐体の作り、特に側面と天板部が圧倒的に上質な仕上げとなっており、質感や剛性による音質面への配慮が感じられます。(重量感もグッとあがっています。)
●情報量・S/N感・解像度・レンジ感はやはりLX88の方が圧倒的です。
●音の傾向はやや大人しく、ウェット感だったり、マイルド感だったり、ソフト感だったりといった印象も「ほんのり」持ち合わせていますが、基本的にはニュートラル系のサウンドであると言って差し支えないと思います。
●逆に、アグレッシブ・マッシブ・ハイスピードといったワードの印象もなく、言い換えれば特段に得意・不得意がないとも言え、Classicやボーカルものから何でも無難にこなしそうなユーティリティなサウンド傾向となっています。
●黒江の超個人的な見解では「大体14万円程度のCDプレーヤー」と匹敵する感じではないかと思っております。(※初回投稿時より訂正しています。)

■Pioneer [BDP-LX58]
●(前述の通り、兄機には及びませんが)基本的な音質面で顕著に不満を感じる(明らかに低音質と感じる)ことはありませんが、分解能・S/N感・レンジ感はもう少し欲しいかな…という印象です。(専用のCDプレーヤーと比べるとどうしても…。)
●音色はやや明るめのキャラクターですがドライではなく、どちらかと言えば、ほんのりウェット感がある印象でした。
●スピードは上々で、ほぼほぼハイスピードの部類に入れて問題はないと思います。
●切れ切れのスピード感ではなく、鳴りっぷりの良い、アグレッシブなスピード感を持っており、(当店で言うところのいわゆる)TEAC・プライマー(I21以前)路線の音傾向となっています。
●低域はタイトで、バシッと締まっています。量感も「ドンッ」と出せるけどボワつかず、ピタッと制動できている印象でした。
●黒江の超個人的な見解では「大体6万円強程度のCDプレーヤー」と匹敵する感じではないかと思っております。

…と思ったことをザッと書き出してみましたが、音色面において『LX88は大人しくて、LX58はアグレッシブ』と一目で捉えてしまう程には個性の差は大きくなく、ニュートラルなポジションからLX88は少しエレガント寄り、LX58はアグレッシブ寄りといった感じです。
ご推察の通り、黒江的にはBDP-LX58の方が好みですし、(CDなどを聴く上での)CP面でもLX58に軍配が挙がる感じですが、絶対的な音質はBDP-LX88がなかなか優秀で(おそらく映像も同様に基本面で1枚上手なので)なかなか悩ましいところではないかと思います。

「CDや音楽ファイルはたまにでいい」という方はぜひご検討いただければと思います。

P.S.
今回のようにユニバーサルプレーヤー(もとい、今だとマルチメディアプレーヤーでしょうか)で使用する上での難点は「アプリやリモコンだけでは思いのままに操作ができない」という点が挙げられます。
特にNASのファイル(DLNA)やUSBメモリーの再生は「ディスプレイ(テレビ)」にコントロール画面を映さないといけません。
(ダイレクトモードで音質を向上させたいけど、ディスプレイはオンにしなくてはいけない…みたいな矛盾は無い方が嬉しいです。)

本体のボタンも明らかに足りていないものが多く、黒江自身の考えですが『こういった機器類は基本的にすべて本体で操作できること、その上でアプリやリモコンがあると便利であったり、より直感的に操作できる』…といった考えがあるので、その点ではちょっとガッカリしてしまうような造りとなっていました…。
(Pioneerさん、ユーザーインタフェースの基本を今一度見つめ直してもらいたいな…と切に願っております!)

Pioneer N-50 vs N-50A vs N-70A

2014 年 11 月 21 日

【速報】

昨日リリースされたPioneer新製品の2機種に旧型を加えた表題の3機種を早速スクランブルテスト(試聴)してみました。
個別のレポートが望ましいこととは思いますが、少しでも早く、端的・簡潔な感想をアウトプットした方が良さそうなのでエキスプレスでショートレポをしてみたいと思います!

■N-50
●「言わずもがな」の1台です。1つ前のレポートや、発売直後のレポートなどで網羅出来ていると思いますので、今一度ご覧いただけると幸いです。
●ザッとだけ書き出しますと、S/N感・分解能・切れ・スピード感に優れた(数10万円を凌駕する!…なんてことは言いませんが)ハイCPモデルであることには間違いがないと思います。
●特に同軸デジタル・USB経由(メモリー/iPhoneなど)・USB DACは非常に優秀な音質ですので、メインでもサブでも(DSD再生が不要であれば)活躍できるプレーヤーです。

新機種は「N-50」と比較した分析・考察をベースにレポートします。
■N-50A
●N-50と比べて、わずかに穏やかで上品な印象ではありますが、N-50と大きく異なった(まったく方向性・傾向を変えてきた)印象はなく、スピーディでバシッとした鳴り方です。
●N-50より情報量と広がりは向上しており、少しだけウェットな傾向に寄っています。

■N-70A
●さすがの(シリーズ中では)最上位機種といった印象で、S/N感や解像度が非常に向上しています。
●こちらもN-50と比べてわずかに上品なテイストですが、S/N感や解像度、レンジ感などの“基本的音質”の向上で見通しが良いため、アグレッシブなサウンドの再現も不得手にせず、スピード感もわずかにN-50に劣る程度といった印象です。
●強いて言えば、少しだけ“切れ”に欠けるところがありますが、逆を返せば「N-50がかなりのハイスピードで切れ切れサウンドだった」と言えるくらいのハイスピードさと切れは(N-70AもN-50Aも)持ち合わせています。

…と、あまり書いてしまうと後々書くことがなくなりそうなので(…^-^;)この辺りにしておきます。
(後日予定している)個別のレポートでも同じようなことを書きますので予めご容赦ください。

最後にパッと見で分かりやすい?『(超勝手)黒江的vsパラメーター』を掲載しておきますので、ご検討のわずかな足しにでもなれば幸いです。

□S/N感:N-70A >>> N-50 > N-50A
□スピード感:N-50 >> N-70A > N-50A
□解像度:N-70A >>> N-50A > N-50
□分解能:N-70A > N-50 = N-50A
□レンジ感(帯域の伸び):N-70A >> N-50 = N-50A
□ダイナミックレンジ:N-70A > N-50 = N-50A
□情報量:N-70A >= N-50A >> N-50
☆黒江的好み度:N-50(S(~A+)) >> N-70A(A+(~A)) > N-50A(A(~A-))
(※N-50は先日のレポートで付けたものです。)

P.S.
こうして見るとN-50Aがとても悪そうに見えますが、N-50とN-50Aは結構しっかりと比較試聴しないと(どっちがどっちか)分からないこともあったくらいですので、ご検討されている方は気にしないでいただいて大丈夫かと思います。(←DSDが必要だったら間違いなく買いです。)
ただ、黒江が(DSDが必要で)買うとしたら(がんばって)N-70Aを買ってしまうだろうな…とも思いました!

Pioneer N-50 『導入編』

2014 年 11 月 19 日

kuroe_sys_n50
今回はちょっと趣向の異なるレポートです。
…と言いますのも、わたくし黒江が(買うよ買うよと言いながら)ようやくN-50を購入し(セッティングを終え)たので自宅での使用感や雑感などなど、思ったこと・感じたことを書いてみようかな…という程度なので、いつもに増してライトに読んでいただけたらと思っております。(って、導入したのは半年も前なんですが…。^-^;)

■導入の動機
兼ねてからのレポートの通り(基本的な)音質の良さはもちろんのこと、この数年ではおそらくベスト1に近い黒江の好みのサウンド傾向であることが何よりも大きいのですが、その実は「AirPlay(に対応したプレーヤー)が欲しかった」というものすごい単純な動機です。(笑)
(以前のレポートでは『黒江的好み度:A(~A-)』になっていますね…。結構シビアに採点していたからだとは思うのですが、今なら『黒江的好み度:S(~A+)』で間違いないと思います!)
ちなみに、自宅のリファレンスシステムへの導入ではなくリビングのサブシステムへの導入となりますので、この点も誤解の無きよう先に触れておきます。

■到着~開梱
普段から(嫌ってくらい?)扱っていますので梱包状態などには特別なことは感じません…。(意外と重いよな…くらいかな。)まずは普通に自宅にホイッと持って帰りました。
開梱と言いますか、開封です。これもそんなに特別なことは感じませんでしたが、昨年に購入したPanasonicのBDレコーダー(日本製)が異常にきれいな包装状態(埃ひとつ見当たらないといいますか、人の手が一切加わっていない?かのような不純物の無さ)があまりにもすごかったので、(N-50は中●製)まあ、こんなものかな…という印象を持ったような記憶があります。(中●製にしてはきれいだった…という意味です!)

■設置~音出し
当初の予定は(面倒なので)前述の「Panasonic製BDレコーダー(ラックの中で一番薄い)に(BDレコーダーを上にして)積み重ね置きしよう」「うん、それが一番手数が少なくて楽だ!」…なんて思っていたのですが、あと数mm足りずに収まりません…。 しかも、次に楽な位置を選ぶと(PCとの距離が遠くなるので背面から取りまわす)愛用しているUSBケーブルが(audioquest [Carbon])1.5mでもちょっと足りないかも…という始末です。 仕方なく、最小限の移動を検討しますが、結局はアンプ以外のすべてのコンポーネントを移動する羽目に…。

…と、こうなってしまうと逆に火が点いてしまい、各種ケーブルの見直しもついでにしてしまおうと意を決します。(これが後ほど結果オーライになるとは…。)

そもそも、このN-50は一口に言えばネットワークプレーヤーなのですが、ネットワーク関連では(僕の購入動機である)AirPlayやインターネットラジオに(言わずもがな)WindowsやMacとのUSB接続とiPhone/iPadのDOCKケーブル接続、そしてデジタル入力と多彩な入力を持ち合わせており、その実態は『デジタル・マルチ・ステーション(・プレーヤー)』とでも名付けたいくらいの豊富な入力(ソース)が魅力であるとも捉えてきましたし、(BURRN!や各方面でも述べてきたとおり)みなさんにはそう紹介してきました。

そして、前述の通り、位置の変更も配線もやり直さなくてはいけない現状…。なら、『デジタル・マルチ・ステーション(・プレーヤー)』として、その入力端子もできるだけ使ってしまおう!…と思い立ったのです。

当初はAirPlay(これは音源と本体を無線で繋ぐので接続無し)と背面のUSB接続によるPC/MacのUSB DAC用途で十分としておりましたが、配置・配線を見直すついでにBDレコーダーから光デジタル(OPTICAL)も接続、さらに当初は100%予定の無かったCDプレーヤーからN-50への同軸デジタル(COAXIAL[S/PDIF])接続を試みます。

■音出し~設置完了
…で、繋いでテスト再生も終わったので、ラックを元に戻して設置完了です。…とはいかないし、させないのが(一応)プロです。(笑)
もう、ここまで来ると色々と聴き比べたり、検証しないことには気が済みません。なので、早速まずはUSB DACから聴き比べてみることにしました。

『NuForce μDAC2 vs N-50』…μDACは初代と2代目を所有しており(リビング用なので)今まではこれで十分といった感じでしたが、せっかくなので両者(3者)を聴き比べて、もっとも高音質・好みの総合点が高かったものを採用することにしました。
μDAC2はさすがに今までの普段使いとあって、(特にCP面を加味すれば)十分すぎるサウンドです。クリアでシャープ、切れがあって、ハイスピードなので別段に(サブシステムなら)不満はありません。
そして、N-50です。さすがにクリア(S/N)感は1ベール、2ベール剥いだような透明感で、よりすっきりとした音場が広がります。 情報量はN-50の方がしっかりとしていますが、それでいて切れもあるしハイスピードなのでμDAC2を少しアップグレードした傾向です。(μDAC2は少ーし粗く聴こえます。) でも、「これだけのためにμDAC2から買い変えることなないかな」…といった感じであり、最終的にはμDAC2も聴けるように接続を残しておきました。

『CDプレーヤー(の内蔵DAC) vs N-50同軸デジタル』…次にオマケで聴いたのがCDでのDAC使用です。 …が(!)、これが予想外の結果になりました。
一言で言えば「CDプレーヤー買い変えたかな?!」というくらいに、メチャメチャ音質が上がったのです。 まず、S/N感がもっとも顕著で段違いに向上し、そのクリアさから音の見通しが飛躍的に良くなります。
分解能、1音1音の切れ、輪郭と定位感と基本的にどこを切り取ってもCDプレーヤーの内蔵DAC(←そんなに悪くない音質です。ので当初はそのままにするつもりだったので。)より、N-50経由の方が良くなりました。(←好みになりました。) これは嬉しい誤算と言いますか、「(配線苦があったおかげで)接続してみて良かった」…なんて、ちょっとお恥ずかしいくらいの結果です。
(その後は1人でキャーキャー言いながら、数少ない(メインから浮いていた)RCAケーブルや電源ケーブルで何とかギリギリ間に合うように配線をし、ようやくラックを元に戻しました。…疲れました。笑)

…と言うことで、結果的に僕の自宅ではCDプレーヤー/BDレコーダー/USB DAC/AirPlay/インターネットラジオ/(今はiTunesからのDLNA)NAS使用が接続または聴ける状態となり、N-50が正に『デジタル・マルチ・ステーション(・プレーヤー)』として活躍することになりました。←※つまりは、アンプとN-50だけを繋いでおけば良いので、RCAケーブルの温存(バーター)にも一役買ってくれました。

長くなってしまいましたが、黒江自宅でのドタバタ導入記でした。(&乱文にて恐縮です!)とにかく、同軸デジタルが予想以上に高音質だったので、お持ちの方、これから購入の方はぜひチェックしてください!
そして、まもなくN-50AとN-70Aがリリースされますが、DACの関係で初代N-50の方が黒江の好み度は高そうかな…と予想していますし、(DSD再生が不要なら)何よりお値段が半分程度となりますので、N-50をご検討されている方は急いだ方が良さそうです!

P.S.
■オートパワーオフ設定
以前から「30分放置でスタンバイモードになってしまい、アプリでは復帰できない!」(リモコン(使ってないので電池も入れていない)か、本体の電源を完全にオンオフして再起動(2分程度)させるのが)不便すぎる!と嘆いていましたが、『オートパワーオフ設定』でこの機能をオフにすることができると最近知りました…。パイオニアさんごめんなさい!^-^;

LUXMAN D-06u

2014 年 11 月 6 日

…からの、『ザ・ステレオ屋』的、本命CDプレーヤーを紹介いたします!

前回の「LUXMAN D-08u」レポートは“フリ”でした。(笑)
…と言うわけでは無いのですが、このレポートの伏線・布石であったことには間違いありません。ので、ぜひ1つ前のエントリーと併せ読みしてもらえますようお願い申し上げます。((高価すぎるから)読むなって言ったり、読めって言ったりすみません…。^-^;)

【奇跡か必然か、LUXMANから生み出されたピュア・ハイスピードサウンド。】

D-08uが『超ド級の高S/Nプレーヤー』であったことはご理解いただけたことと思います。
その(先行で発売された)D-08uの遺伝子を受け継ぎつつ、コストダウンを図ったとみられる同機種ですが、早速そのサウンドをレポートしてみたいと思います。

■LUXMAN [D-06u]
●D-08u程(の圧倒的)ではないですが、勝るとも劣らない非常にS/N感の高いサウンドであり、(スカした言い回しで恐縮ですが…)『静寂を切り裂く』ようなイメージです。研ぎ澄まされて洗練された出音が眼前にクリアに展開します。
●高域は分解能に優れ、シンバルの金属音(金属感)、ディストーションギターの粒子感にエッジ、シャープな擦れ具合とひりつくような刺激感のシャウトボーカルなどなど、ピークの音が丸められず、且つ繊細に描写されます。
●中域もしっかりとした情報量は保ちつつも色濃く、豊満にはならず、音の隙間や輪郭がしっかりと見えるような癖やお化粧の少ない(ほぼ皆無な)サウンドで、録音に忠実な印象です。
●低域はタイトで音像が乱れず、崩れずにゴリっとしたリジット感のある印象で、やや淡泊で無機質な傾向ではあるものの緩さや甘さの無いサウンドになっています。(量感はやや薄めで肉厚な傾向でもないため、バスドラのアタック音などはやや軽めに感じられます。)
●D-08uと同様に高域~低域のバランスも良好で、各帯域に突っ込みや遅れは感じられません。
●そして、極めつけは「シャープでハイスピード」であることです。“超”が付くほどではないにしろ、かなりのハイスピードであり、1音1音の透明感と相まって体(耳)を通り抜けていくような“抜け感”が最高に気持ちの良いサウンドとなっていると思います。
黒江的好み度:S

…と、LUXMANのサウンドに「ハイスピード」という言葉を使う日がやってくるとは思いませんでした…。
(NeoClassicoシリーズのCDプレーヤーはスピード感が高く、異質な存在ではありましたが…。D-06uと何か関係があるのかも?あとDA-100も傾向としては似ていましたね…。比較的安価な製品を通じてLUXMANさんが“若い方にとっての好みのサウンド”を理解したのかも!?)

そのハイスピードにD-08uの透明感や音の細かさ、繊細さ、スムースさを持ちつつも、より鮮明であり、D-08uには感じられなかった輪郭感を手に入れてしまっているのですからケチのつけようがありません。
(ちなみに、SACDはチェックしていませんがUSB接続でも近いサウンドは得られていますので(デジタル接続時の)、DAコンバーター使用でも有用な存在になることと思います。)

(試聴後に)2機種のスペックや資料を見比べてみましたが、その違いは微々たるもので、トランスポート(D-08uの方に「リジット」という言葉があるけど、D-06uの方がサウンドはリジット…^-^;)と、バランスアンプ回路の部分に少し差異があるだけのようでした。
…ですので、なぜこんなにもハイスピードなのかは分かりません。
あくまで憶測・推測にはなりますが、D-08uにはやはりと言いますか、ハイエンド機にふさわしくなるように“どんな音でも美しくなるおまじない”(お化粧)を少し施していて、D-06uでは(そのお化粧を施さずに)すっぴんに近い音が出ているのでは…?と考察しています。

なお、結果論ではありますが、D-06u/D-08uいずれにもTI社製PCM1792A(TIはTexas Instruments「テキサス・インスルメンツ」の略)のDACを採用しており(型番からすると吸収・合併したBurr-Brown系のようにも見えるのですが)、このTI社のDACは以前から僕が好みのサウンドになりやすいブランドでしたので、この辺りも大きな要因なのかも…と思っている次第です。

お値段がお値段ですので、「良くて当たり前」ですし「どれだけ良くても手が出せない」という方も多いかと思いますが、D-08uと同様に「最後の1台」として(少しがんばってでも)(当店をご贔屓の方は)手に入れておいて損はしないと思っています。

(黒江自身がびっくりしているので)繰り返しになりますが、LUXMANを激推しする日がやってくるとは思ってもみませんでした。…が、上記の通りですのでロック・メタルファンには(ご予算が許す方でしたら)ぜひ一聴していただきたい1台となりました。
とにもかくにも、まずは試聴をしていただけますと幸いです!

お値段や試聴等、気軽にお問い合わせください。

LUXMAN D-08u

2014 年 10 月 22 日

(my-musicstyleなどに追われていたので)少し遅めのレポートとなってしまいましたが、たまには(超)高級機の製品をレポートしたいと思います。
(…と言いますか、書かずにはいられないという感じの1台だったので書かせてください!→当blogの中心読者層のみなさまには恐縮です…。どうか読み飛ばしてください。^-^;)

【Softで、Silkyで、これ以上のない上質・上品なサウンド。】

見出しの通り、いわゆる黒江が好むハイスピード・アグレッシブ系のサウンドではありません。
…ので、おそらくはメタル・ロックにはあまり向いてないのではないかと思います。(先に結論だけ述べておけば「黒江的好み度:C+」くらいですので。)
ただし、もう1人の、歌もの(バラード)やアコースティックなどを強烈に聴きたくなる瞬間の黒江であれば間違いなく「黒江的好み度:S」を付けているくらい僕にとっては素敵なサウンドでありました。

いつものように所感・雑感を挙げてみたいと思います。
■LUXMAN [D-08u]
●まず、何よりも特筆したいのが「これ以上を聴いたことがないかも…?という程のS/N感の高さ」です。何もない空間にスッと、1点の曇りも、粗さも、濁りも、滲みも無い音が現れてはまたスッと消えて(溶けて)ゆきます。
●次に、無理やり感の無い自然に広がる音場感です。「(個人的には)音場が必要以上に広いことは良いことでない」と思っているのですが、(当店の防音室でも)広大過ぎない程度に留まっており、奥行きや上下左右の広がり方が自然です。何よりも音場の解像度がまた抜群に高く、細かな音の位置、強弱や余韻なども非常にハイレベルに再現されていると思います。
●また、(黒江的には通常は大嫌いな)CD再生時のアップサンプリングも秀逸で、無理やり写真を大判に引き延ばしたようなピンボケ感が皆無であり、前述のように「やり過ぎ感のない」絶妙なアップサンプリングとなっている印象なので不自然さがありません。
●高域~低域のバランスも良好で、低音のボンつきやモタつきもありません。もちろん、高域が(中低域より先に)走ってくるということもなく、フラットできれいなサウンドステージを描きだします。
●1音1音のエッジ感は鋭さが無く、シャープなフォーカスという傾向ではありません。…が、“輪郭の無い音”ということではなく、輪郭がスムース過ぎるので(輪郭感を)感じられないという表現の方が正しいのではないかと思います。(Retinaディスプレイのフォントのようなスムースさという意味も含め、)まるでRetinaディスプレイを眺めているようなきれいさです。(すでに4K・5Kって言った方が良さそうですけどね…。)
●なお、音の質感・温度感は「ほんのりウェットで、わずかに冷んやり傾向」といった印象で、例えば「ポーン」というピアノの音色が「ポローン」と暖色だったり甘くなるような傾向はありません。
●サウンドは前に張り出して来たり、飛んでくるタイプではなく、やや大人しい鳴り方をしますのでロックやジャズ、フルオケなどでも「ガーンッ」といった迫力を求められる方であれば他の選択肢もあり得るかと思います。(にしても、このS/N感・圧倒的な透明感にやられてしまうかもしれませんが…。)

…と、「ハイスピード・アグレッシブ・シャープ・ドライブ」などのワードとは縁遠いとは思いますが、それ以外に於いてはパーフェクトなんじゃないかな…と感じましたし、考察しております。
(前述のように)迫力を出してくるタイプではないですが、(その圧倒的なS/N感にもフォローされ)微弱音からトップ(ゲイン)の音までのダイナミックレンジ(の表現)も豊かなので、決して軟らかく、優しくなだめてくるサウンドということではなく、癖も強くないので(強くないかも…といったジャンルにも)幅広いジャンルを上質に聴かせてくれると思います。

試聴は主にCD(44.1kHz/16bit)で行っておりますが、USB接続やSACDもCDと同様の傾向・音質であり、隙はありませんでした。
(残念だし、さみしいことではあるのですが、)「もうCDはあまり買わないかな」「今後はハイレゾ主体にしようかな」といった方も多くいらっしゃると思いますが、これまでのライブラリーを考えて「決定的な最後の1台となるCDプレーヤー」を探されている方も少なくないのではと思っておりますが、そんな多くの方の(長く使えれば)“最後の1台”となれる逸材ではないかと感じましたので、当店は自信を持ってお勧めさせていただきたいと思います。

お値段や試聴等、気軽にお問い合わせください。

Pioneer U-05

2014 年 9 月 9 日

結果的に、(my-musicstyleの関係で)ブログは長期間の休業状態となってしまいました…が、またポツポツと再開したいと思います。

再開第1弾はPioneerが放つ注目の新製品です。
(前評判も良く)すでに好調のスタートを切っている当製品ですが、ザ・ステレオ屋(黒江)流のレポートでご紹介したいと思います。

【ハイクオリティな“走攻守”と多彩なポジションをこなせるユーティリティープレイヤー。】

(黒江的には)N-50・A-70と立て続けに高評価させていただいているPioneerからの(しかも、かなり気合いを入れた)新製品ということで嫌でも期待は高まりますが、前評判や事前の情報からすると個人的には苦手なESS社のDACをメインに使用している模様なので、正直「今回はどうかな…」と思いつつの試聴となりました。

(余談:…そう言えばPioneerの音傾向を好んだのは(N-50以前に)X-Z9/7(←スピーカーを抜いたコアユニット部のみ)・PDX-Z10あたりからだったので、僕自身は結構長いことPioneerファンなんだな…なんて今さら気が付いております。…って、X-Z9(←スピーカーを抜いたコアユニット部のみ)は欧州でいい感じの賞を取ってるんですね!『コア部のみ』ですが…。^-^; …でも、僕と同じ感性の審査員がいらっしゃるみたいで大変光栄でした。)

閑話休題

■Pioneer [U-05]
●パッと聴きの第一印象は“ハイスピードで明快・明瞭”といったスピード系のサウンドです。
●メリハリの効いた傾向で1音1音がハッキリとしており、低音もタイト且つスピード感があって膨らみやブーミーさなどはありません。
●「スピード系」と前置きしながらも、音の粒が力強く飛んでくる“ドライブ感”も併せ持っており、“マッシブ”という言葉が合いそうな「アグレッシブ系」のテイストも持ち合わせています。
●音の輪郭は(黒江の最も好むEssensio・neo・N-50などに比べると)少し太めの線ですが、例えるなら、0.3mmの(シャープペン)芯が0.7mmになったくらいの差異であり、(この辺をかなり気にされる方以外は)そこまで気にする必要はないレベルだと思います。
●音の濃さも(ややあっさり、薄めのEssensio・neo・N-50などに比べると)やや色濃く、しっかりとした発色加減に感じられます。
●…と、良く言えば「ハイスピードを基調としたサウンドにアグレッシブ系が交ざっている」…正に“理想的なサウンド”とも言えそうなのですが…。
○悪く言えば「スピードもアグレッシブさも上々ではあるけど、(2つを両立しようとした代償で)1音1音が少しだけ粗め・雑」に感じられる印象もありました。「少し中途半端なところに着地してしまった感」がある傾向です。
具体的には…
○(Essensio・neo・N-50などと比較すると)もう少しS/N感が欲しいところで、少し音と音が被りあうような印象を受けるので、(音場内での)セパレーションが向上すると更に好印象です。
○加えて、分解能がもう少し高ければ全体の(音)抜けが格段に改善されていたように感じられます。(S/N感と分解能が上がることによって、「耳の中に音が残らない・溜まらない」でスッと消えてゆく→音が抜けるといったイメージです。)
☆ただし、これらはいずれも「強いて言えば」「欲を言えば」…といった要望であり、(価格がEssensio・neoの半分程度なわけですから)『欲を言わなくても十分なサウンド』であることは間違いないと思っております。

総括すると(黒江的には)、ギターの歪みはガリガリ過ぎず、ボヤけず、音痩せもなく良好。ベースはしっかりと出ていて、膨張・暴走することがなく癖が少ない傾向。シンバル(金物)は少し厚めのテイストながら力感(の再現)は上々。スネア・タムはもう少し抜けが欲しいけれどこちらも皮の厚みや力感(の再現)は良好。ボーカル(クリーン)は生々しさと厚み・温度感が程好いですが、シャウト系はもう少し分解が欲しいところ…といった感じでした。
全体的にやや硬質な傾向ではありますが硬すぎず、やや寒色傾向ですが同じくキンキン・カンカンし過ぎていないので、(特に若い方には)広く受け入れてもらえそうなサウンドだと考察します。 

黒江的好み度:A

なお、上記のレポートはすべて(1台3役の)U-05を「単体DAC(FIX出力)」として使用したケースとなりますが、「ヘッドフォンアンプ」「プリアンプ」での使用時も大きな変化はありません。

最後に(思いっきりセールストークになってしまいますが、笑)、少し製品のPRをして終わりたいと思います!

例えば…学生さんのうちは自室でヘッドフォンアンプとして使い、1人暮らしをはじめたら小型のアンプとスピーカーを買い足してDACとして使用し、その後のステップアップ(セパレートアンプ)の際にはプリアンプ(コントロールアンプ)として使用する…などなど、1台で長く多用に使えそうなのもU-05の大きな魅力の一つです。(この価格でこれだけ作り込まれていて、バランス出力までフォローしているのはこれまで類を見ません。)

(前述の前評判にはこの点も含まれており、コンセプト的にも非常に当たっていますので)『持っていて損はしない』と言い切れる製品はなかなか多くはありませんので、ビギナーから上級者まで幅広いリスナーに興味を持っていただけると幸いです。

P.S.
ご覧の通り、ESS社のDACを使用していた点は杞憂に終わりました。
(DACだけで音が鳴っているわけではないので)素材の調理の仕方かな…ということもありますが、どうやら僕があまり好まないのは同じESS社でも「ES9018」というDAC(チップ)のようです。
U-05は「ES9016」を使用しているそうなので、この辺の違いがあるのかもしれませんね。

Pro-Ject Essential II

2014 年 5 月 23 日

my-musicstyleの準備を進めつつも、少しでも製品レポートが書けるようにがんばりたいと思います。

【ロック・メタル系のアナログファンは必聴の秀逸機!】

(…って、“必聴”って書くと盤の話にしか見えないですね…。笑)

BURRN!誌をご覧いただいている方や黒江の読み物をマメにチェックしていただいている方にとっては、既にご周知のアイテムなのかもしれませんが、久しぶりに“ゴリ押し”したいくらいの黒江的オススメ機と出会いましたのでレポートさせていただきます。

■Pro-Ject [Essential II] (付属カートリッジ使用)
●第一印象は「ストレート」、非常に癖がなく、明快・軽快なサウンドです。
●S/N感も良好で、無駄・ムラの無いすっきりとした“クリア系”のアナログプレーヤーです。
●トレースノイズも目立つようなことはなく、(別途ストロボ使用での測定にて)回転もほぼほぼ完璧でした。
●高音の伸び、低音のピックアップも十分過ぎるほどに良好で、レンジの狭さを感じるような“廉価モデル”要素はありません。
●全体的に1音1音はシャープでやや細めのサウンド、濃さや重厚感を感じるタイプではないので、“よりアナログらしいアナログサウンド”をご所望される方には物足りないのではないかと思います。(フォノイコでカバーできる要素もあるかと思いますが。)
●分解能も良好ですが、雄大・広大な音場感は期待できません。
黒江的好み度:S

…と、“クリア系”のアナログプレーヤーとしては(黒江的には)文句の付けようがなく、実勢売価を考慮するとビギナーには「これ以上ないくらいの存在」になるのではないかと太鼓判を押したいくらいのモデルです。

そのサウンドの秘訣を黒江的に考察してみると…
★ショートストレートアーム…一般的なアナログプレーヤーは(ショートではない、またはロング)S字型アームがポピュラーですが、Essentialのアームは真っ直ぐで短い分、レコードの信号をよりフレッシュに出力できるのではないかと推測しています。
★薄めの筐体…一般的なアナログプレーヤーはかなり肉厚の筐体であるものが多く、自重も重めなのに対し、Essentialの筐体は薄めで(ギターなどと同じく、ボディが鳴らないので)音離れが良いのではないかと推測しています。
★薄めのプラッター(回転台)…こちらも一般的なアナログプレーヤーは厚めのものが多いのですが、Essentialのプラッターはやや薄めであり、筐体と同じようにレスポンスの早さに繋がっているのではないかと推測しています。
…と、要は一般的なアナログプレーヤーとは真逆の構成であることが、結果的に(黒江的に)は功を奏しているのではないかという考察です。

なので、“よりアナログらしいアナログサウンド”とは決して言えませんし、“クリア系”を求めていない方にとっては「これ以上ないくらいの駄作」にもなり得る気もしています。(実際にアナログマニアさんの中には“ショートアーム否定派”という方もいらっしゃるみたいです。)
ただし、決してEssentialがアナログらしくない、CDみたいなサウンド…ということではなく、音の質感やダイナミックレンジなどに代表されるアナログならではのサウンド感というものはしっかりと出せていると思います。

なお、初代EssentialとEssential IIの主な変更点はアームの改良(仔細は割愛しますがかなり改善されました。)とDCモーターに変更されたモータ部で、初代Essentialでは50Hz/60Hz(東日本/西日本)仕様が別々にラインナップされていましたが、50Hz/60Hzが共通となり、より使いやすくなったのも評価できる点だと思います。

…と、最後に2つ注意点があります。
1つ目は、Essential IIにはフォノイコ(USB)内蔵モデルが存在していますが、こちらの音質に関してはノーコメントということで、今回のレポートはEssential II(フォノイコ非搭載モデル)であることにご注意ください。(USBモデルは内蔵フォノイコをスキップできないんですよね…。)

なので、このEssential IIには必ずフォノイコライザーが必要になるのですが、もう1つの注意点は(オチでこんなことを言うのは気が引けますが)今回の高評価は、そのフォノイコライザーにTRIGON [Vanguard II]を用いた場合の評価であることにもご注意ください。
(つまり、TRIGON Vanguard IIがEssential IIと同じくらいに高評価ということです。…Vanguard IIって本当にすごいモデルだと思います。)
Essential IIとVanguard IIをセットでお求めいただくと10万円を超えてしまうのでビギナー向けとは軽く言いたくないのですが、1万円以下のフォノイコもありますし、アンプによってはフォノイコを装備しているものも少なくありませんので、まずはEssential IIを購入し、また予算が貯まったらVanguard IIを購入するのもよいプランだと思います。
(もちろんVanguard IIも“黒江的好み度:S”です!)

とにもかくにも、久しぶりに黒江がこれだけ“イチオシ”を全面的に出すくらいの製品ですので、ぜひご一聴いただけたら嬉しいです!

my-musicstyle vol.9

2014 年 5 月 23 日

実行委員(のリーダー)である、わたくし黒江がなかなか時間を割けなかったこともあり、長らくお休みさせていただいていた「ビギナー向けのオーディオイベント“my-musicstyle”」ですが、約4年の沈黙を破り、ついに再始動させていただきます!

詳細はまたあらためさせていただくとして、今日は取り急ぎの開催宣言です。

TITLE : my-musicstyle vol.9
DATE : 2014/08/24 Sun.
PLACE : YAMAHA GINZA STUDIO
LINK : http://www.my-musicstyle.com/

Coming Soon!!

ATC SCM7/SCM11/SCM19

2014 年 4 月 11 日

すっかり間が空いてしまい(楽しみにされている方などいらっしゃらないとは思いますが)、ちょっと恐縮しつつの更新です。
(今にして思えば『BURRN!』の(年末の方の)オーディオ特集記事あたりからずーっと何かしらかに追われていたことに気が付かされました。)

…ということで、久しぶりの第1弾はATCの新作(兄弟)モデルをレポートです。
いつもの通りの見出しからマイペースに行きたいと思います。

【“新しい”けど“少し以前に戻った”ATCらしさある3兄弟(機)。】

まず先に述べておきたいのは、このモデル達のモデルナンバー・プロダクトネーム(型番)についてです。
通常は以前のモデルに対して何らかの変化があって然るべきですが、この新シリーズは前シリーズから一切の変更がありません。
端的に言えば、今回の新モデルが『SCM7/SCM11/SCM19』の3機種となり、伴って生産完了した旧モデルが『SCM7/SCM11/SCM19』の3機種となるわけです。(…“カッコ笑い”と書きたくなる状況ですが。)
…ですので、とりあえずこのブログに於いては(いつぞやのiPadのように)“新しい”SCM**と表現させていただいたり、何とかと伝わるようにがんばりますのでお付き合いいただけると幸いです。
(車やバイクみたいに年式で呼べばいいのかもしれませんね。)

閑話休題…まずは大まかなサウンドの傾向から触れていきます。
まず最初の関心事は「ATCらしいサウンドであるか」だと思うのですが、これに関しては「Yes」ちゃんとATCらしさが感じられるサウンドです。

具体的に「ATCらしい」とは『密度感・情報量が高く、しっかりとした芯と肉付きのあるサウンド』といった方向性だと思いますが、黒江的にロックやメタル的な表現をするとしたら『マッシブ&アグレッシブ&ストレート』といったところで、ストレートというのは素直とか癖のない、交じり気のない…というよりは「グンッと音が(伸びて)向かってくる」といったイメージのストレートさであり、馬力のある『重い剛速球』的なパワーがあります。

…が、「ATCと言えば」と書き添えるくらいにATCは「アンプのパワーを求めるモニター」で有名ですが、この辺りもATCらしく、非力なアンプでは(SCMがノって鳴ってくれず)上記のようなパワフルさを感じることができませんので試聴の際にはアンプとのマッチングも同時に行っていただけると良さそうです。
(とは言え、100W程度のそれなりのプリメインアンプでも十分にドライブできますのでご安心ください。)

…と、ここで前SCMシリーズを思い返してみると…「あれ?どことなく旧来のATCに戻ってる?」と自分が感じていることに気が付きました。
参考:http://www.digitalside.net/?p=99
前SCMシリーズは(ATCにしてはですが)だいぶん鳴りが軽くなっていて、幾分かキレ味のあるサウンド傾向にも近づいたのですが今作を聴いたときにはその印象がすっかり(旧来のATCに)戻ってしまっています。
(ただし、最初に聴いたのがSCM7だったことにも起因しています。…ことの顛末はこれから述べさせていただきます。)

んんん?と思いながらも3兄弟を(前SCMシリーズのサウンドを思い出しながら)比較試聴してみると…。

■ATC [SCM7](新しいSCM7)
○前SCM7はブログでも取り上げた通り、(それまでのATCイメージに比べれば)かなりレスポンスが改善されていて鳴らしやすくなったモデルでした。
○また、前SCM7はしばらく当店のリファレンスモニターだったように、そのサウンド・大きさ・価格(CP)などでとても好印象であり、新しいSCM7には大きな期待を持っていました。
●その上で、新しいSCM7はだいぶん大鳴りのモニターになっています。前SCM7にあったタイトさは面影もなく、(黒江があまり好まない)「大きさの割には容量のあるサウンド」を主張してくるタイプであり、良く言えば「このサイズながら大型モニター的な鳴り」とも言えると思います。
●端的にまとめると「低音の量感が豊富で(逆に)高音は控えめ、音場・音像がともに大きく(筐体サイズの割には)広がって鳴り、(音の)大型スクリーンを目の前に拡げられたような印象」といったところです。
黒江的好み度:B-

■ATC [SCM19](新しいSCM19)
○前SCM19は大きさ(に加えて重心の問題でかなり設置が難しい)がネックとは言え、(ハイスピード・シャープ・切れ系ではない)パンチのあるサウンドを出すことができるアグレッシブ系の中に於いては最高峰の完成度でした。
○前SCM19の良好だった点は(ロックやメタルを中心に分析した場合)「ドラムのアタック音・皮の厚みのリアリティ・ベースの音階表現と解像度・ボーカルの力感や熱気感・ギターサウンドのドライブ感」などなど、中低域を軸にしっかりとしたサウンドの中にも見通しの良さがあり、非常に目を見張るものでした。
●その上で、新しいSCM19は基本的には前SCM19に通じて「1音1音が非常にしっかりしており、アタック感やベース音などの量感・質感は健在」ですが、全体的に(新しいSCM7と同様に)大鳴り気味のテイストに変化しているようです。
●ただし、同じ“大鳴り”と言っても「筐体(箱)の容積・バッフルの面積が小さいのでユニットやネットワークで広がりを稼いでいるような印象のSCM7」に対して、SCM19は「筐体(箱)の容積・バッフルの面積が十分にあるので広がりは自然に稼げる分、ユニットからの出音が広がりすぎないように抑えている印象」ですが、前SCM19のようなタイトさはあまり感じられません。
●端的にまとめると「1音1音の量感は十分、やはり(これは以前からATC自体の傾向ではありますが)高音は控えめ、情報量が高く、とにかく前に押し出してくるパワー感とスピード感が高いサウンド」といったところです。
●あえて厳しめに述べるとすれば「前に押し出してくる感が強すぎてしまい、奥行き感や、制動感・制動性のない落ち着きのない(バーッと次から次に音を押し付けられるような)音」になってしまっている印象です。
●ポテンシャルは十分に感じられるので、設置の仕方や環境次第では化けそうな気もしています。(個人的には内ぶり(ハの字)にせず、左右の距離を十分にとっての平行設置がお勧めです。)
黒江的好み度:B~?

■ATC [SCM11](新しいSCM11)
○前SCM11ですが、正直言ってあまりサウンドのイメージを記憶しておりません…。(ごめんなさい。)
○…ので、音のイメージではなく、SCM11の印象の記憶だけザッと書いておきますと「ハッキリ言って前SCM7と前SCM19が好きすぎて(黒江的にはすごすぎて)全然良い印象がありません。し、サウンドも前SCM7と前SCM19の間でどうにも中途半端なバランスだった印象」が残っています。
●その上で、新しいSCM11は今回3兄弟の中でも突出して光っているように思いました。
●(超個人的な意見を更に強調して悪く言えばですが、)小さいのに無理して鳴っているSCM7と、大きいのに落ち着きなく余裕のない鳴りになってしまっているSCM19に対して、今回は上手いこと中間に入ってくれている印象で「新しいSCM11は(くどいようですが)高音はやや控えめですが全体域のバランスが良好で、音の吹き出し方も行きすぎず、しっかりとコントラストが描けている」印象です。
●端的にまとめると「ATCらしく低音の量感・情報量・解像度が秀逸、けれども無理のある低音(爆低域)にならない。1音1音の濃さがありつつも粒が大きくなりすぎない。量感を出しつつも音と音が重ならず、つぶし合わず、分解能や見通しもしっかりとしている。」といったところです。
●力強くしっかりと鳴りつつ、音が前に飛んでくる。…けどゴチャゴチャしないというのは非常に高度なレベルのサウンドであると感じますし、こういったことが相まってアグレッシブ(に感じられる)サウンドを生み出しているのではないかと思います。
黒江的好み度:A

…ということで、さすがに3機種同時レポートは長文になってしまいました(ね)。
文中にもある通り、あくまで黒江個人の印象でもありますし、何よりATCのモニターは設置の仕方や環境やアンプでホントに大変わりするので、あくまで参考にしていただけると幸いです。
特にアンプに関してはATCとの相性が出やすいものがありますので、試聴の際にアンプによる相乗効果で音の印象を決めつけすぎないようにも気を付けていただければと思います。

P.S.
上記で大体お分かりいただけていると思いますが、個人的な好み度は…
前SCMシリーズ:SCM7 >= SCM19 >>>> SCM11
新SCMシリーズ:SCM11 >>>> SCM19 > SCM7
…みたいな感じかなぁと思っておりますが、見事に前回と逆転してしまうところが何とも言えないですね。(笑)
(ちなみに、前SCM7と新SCM11は(同時比較できないので)どちらが上かは分かりません…。)

『Klipsch RB-41 II/RB-51 II/RB-61 II』のレポートと同様に3機種もあれば好き嫌いが分かれてしまうものですね…。