ATC SCM7/SCM11/SCM19

2014 年 4 月 11 日

すっかり間が空いてしまい(楽しみにされている方などいらっしゃらないとは思いますが)、ちょっと恐縮しつつの更新です。
(今にして思えば『BURRN!』の(年末の方の)オーディオ特集記事あたりからずーっと何かしらかに追われていたことに気が付かされました。)

…ということで、久しぶりの第1弾はATCの新作(兄弟)モデルをレポートです。
いつもの通りの見出しからマイペースに行きたいと思います。

【“新しい”けど“少し以前に戻った”ATCらしさある3兄弟(機)。】

まず先に述べておきたいのは、このモデル達のモデルナンバー・プロダクトネーム(型番)についてです。
通常は以前のモデルに対して何らかの変化があって然るべきですが、この新シリーズは前シリーズから一切の変更がありません。
端的に言えば、今回の新モデルが『SCM7/SCM11/SCM19』の3機種となり、伴って生産完了した旧モデルが『SCM7/SCM11/SCM19』の3機種となるわけです。(…“カッコ笑い”と書きたくなる状況ですが。)
…ですので、とりあえずこのブログに於いては(いつぞやのiPadのように)“新しい”SCM**と表現させていただいたり、何とかと伝わるようにがんばりますのでお付き合いいただけると幸いです。
(車やバイクみたいに年式で呼べばいいのかもしれませんね。)

閑話休題…まずは大まかなサウンドの傾向から触れていきます。
まず最初の関心事は「ATCらしいサウンドであるか」だと思うのですが、これに関しては「Yes」ちゃんとATCらしさが感じられるサウンドです。

具体的に「ATCらしい」とは『密度感・情報量が高く、しっかりとした芯と肉付きのあるサウンド』といった方向性だと思いますが、黒江的にロックやメタル的な表現をするとしたら『マッシブ&アグレッシブ&ストレート』といったところで、ストレートというのは素直とか癖のない、交じり気のない…というよりは「グンッと音が(伸びて)向かってくる」といったイメージのストレートさであり、馬力のある『重い剛速球』的なパワーがあります。

…が、「ATCと言えば」と書き添えるくらいにATCは「アンプのパワーを求めるモニター」で有名ですが、この辺りもATCらしく、非力なアンプでは(SCMがノって鳴ってくれず)上記のようなパワフルさを感じることができませんので試聴の際にはアンプとのマッチングも同時に行っていただけると良さそうです。
(とは言え、100W程度のそれなりのプリメインアンプでも十分にドライブできますのでご安心ください。)

…と、ここで前SCMシリーズを思い返してみると…「あれ?どことなく旧来のATCに戻ってる?」と自分が感じていることに気が付きました。
参考:http://www.digitalside.net/?p=99
前SCMシリーズは(ATCにしてはですが)だいぶん鳴りが軽くなっていて、幾分かキレ味のあるサウンド傾向にも近づいたのですが今作を聴いたときにはその印象がすっかり(旧来のATCに)戻ってしまっています。
(ただし、最初に聴いたのがSCM7だったことにも起因しています。…ことの顛末はこれから述べさせていただきます。)

んんん?と思いながらも3兄弟を(前SCMシリーズのサウンドを思い出しながら)比較試聴してみると…。

■ATC [SCM7](新しいSCM7)
○前SCM7はブログでも取り上げた通り、(それまでのATCイメージに比べれば)かなりレスポンスが改善されていて鳴らしやすくなったモデルでした。
○また、前SCM7はしばらく当店のリファレンスモニターだったように、そのサウンド・大きさ・価格(CP)などでとても好印象であり、新しいSCM7には大きな期待を持っていました。
●その上で、新しいSCM7はだいぶん大鳴りのモニターになっています。前SCM7にあったタイトさは面影もなく、(黒江があまり好まない)「大きさの割には容量のあるサウンド」を主張してくるタイプであり、良く言えば「このサイズながら大型モニター的な鳴り」とも言えると思います。
●端的にまとめると「低音の量感が豊富で(逆に)高音は控えめ、音場・音像がともに大きく(筐体サイズの割には)広がって鳴り、(音の)大型スクリーンを目の前に拡げられたような印象」といったところです。
黒江的好み度:B-

■ATC [SCM19](新しいSCM19)
○前SCM19は大きさ(に加えて重心の問題でかなり設置が難しい)がネックとは言え、(ハイスピード・シャープ・切れ系ではない)パンチのあるサウンドを出すことができるアグレッシブ系の中に於いては最高峰の完成度でした。
○前SCM19の良好だった点は(ロックやメタルを中心に分析した場合)「ドラムのアタック音・皮の厚みのリアリティ・ベースの音階表現と解像度・ボーカルの力感や熱気感・ギターサウンドのドライブ感」などなど、中低域を軸にしっかりとしたサウンドの中にも見通しの良さがあり、非常に目を見張るものでした。
●その上で、新しいSCM19は基本的には前SCM19に通じて「1音1音が非常にしっかりしており、アタック感やベース音などの量感・質感は健在」ですが、全体的に(新しいSCM7と同様に)大鳴り気味のテイストに変化しているようです。
●ただし、同じ“大鳴り”と言っても「筐体(箱)の容積・バッフルの面積が小さいのでユニットやネットワークで広がりを稼いでいるような印象のSCM7」に対して、SCM19は「筐体(箱)の容積・バッフルの面積が十分にあるので広がりは自然に稼げる分、ユニットからの出音が広がりすぎないように抑えている印象」ですが、前SCM19のようなタイトさはあまり感じられません。
●端的にまとめると「1音1音の量感は十分、やはり(これは以前からATC自体の傾向ではありますが)高音は控えめ、情報量が高く、とにかく前に押し出してくるパワー感とスピード感が高いサウンド」といったところです。
●あえて厳しめに述べるとすれば「前に押し出してくる感が強すぎてしまい、奥行き感や、制動感・制動性のない落ち着きのない(バーッと次から次に音を押し付けられるような)音」になってしまっている印象です。
●ポテンシャルは十分に感じられるので、設置の仕方や環境次第では化けそうな気もしています。(個人的には内ぶり(ハの字)にせず、左右の距離を十分にとっての平行設置がお勧めです。)
黒江的好み度:B~?

■ATC [SCM11](新しいSCM11)
○前SCM11ですが、正直言ってあまりサウンドのイメージを記憶しておりません…。(ごめんなさい。)
○…ので、音のイメージではなく、SCM11の印象の記憶だけザッと書いておきますと「ハッキリ言って前SCM7と前SCM19が好きすぎて(黒江的にはすごすぎて)全然良い印象がありません。し、サウンドも前SCM7と前SCM19の間でどうにも中途半端なバランスだった印象」が残っています。
●その上で、新しいSCM11は今回3兄弟の中でも突出して光っているように思いました。
●(超個人的な意見を更に強調して悪く言えばですが、)小さいのに無理して鳴っているSCM7と、大きいのに落ち着きなく余裕のない鳴りになってしまっているSCM19に対して、今回は上手いこと中間に入ってくれている印象で「新しいSCM11は(くどいようですが)高音はやや控えめですが全体域のバランスが良好で、音の吹き出し方も行きすぎず、しっかりとコントラストが描けている」印象です。
●端的にまとめると「ATCらしく低音の量感・情報量・解像度が秀逸、けれども無理のある低音(爆低域)にならない。1音1音の濃さがありつつも粒が大きくなりすぎない。量感を出しつつも音と音が重ならず、つぶし合わず、分解能や見通しもしっかりとしている。」といったところです。
●力強くしっかりと鳴りつつ、音が前に飛んでくる。…けどゴチャゴチャしないというのは非常に高度なレベルのサウンドであると感じますし、こういったことが相まってアグレッシブ(に感じられる)サウンドを生み出しているのではないかと思います。
黒江的好み度:A

…ということで、さすがに3機種同時レポートは長文になってしまいました(ね)。
文中にもある通り、あくまで黒江個人の印象でもありますし、何よりATCのモニターは設置の仕方や環境やアンプでホントに大変わりするので、あくまで参考にしていただけると幸いです。
特にアンプに関してはATCとの相性が出やすいものがありますので、試聴の際にアンプによる相乗効果で音の印象を決めつけすぎないようにも気を付けていただければと思います。

P.S.
上記で大体お分かりいただけていると思いますが、個人的な好み度は…
前SCMシリーズ:SCM7 >= SCM19 >>>> SCM11
新SCMシリーズ:SCM11 >>>> SCM19 > SCM7
…みたいな感じかなぁと思っておりますが、見事に前回と逆転してしまうところが何とも言えないですね。(笑)
(ちなみに、前SCM7と新SCM11は(同時比較できないので)どちらが上かは分かりません…。)

『Klipsch RB-41 II/RB-51 II/RB-61 II』のレポートと同様に3機種もあれば好き嫌いが分かれてしまうものですね…。

ANTHONY GALLO A’DIVA SE with A-70

2013 年 12 月 9 日

前回のエントリーの通り、少し間が空いてしまいましたが今回はANTHONY GALLO (ACOUSTICS)の新作“鉄球”こと『A’DIVA SE』をレポートしたいと思います。

【ピッチャーとキャッチャー?ボケとツッコミ?…相方次第では最強のサウンド!?】

いつもの通り…なのでちょっと端折って大きさ(サイズ)の話題から入りたいと思います。
(…といっても寸法・数値の話ではなく、)A’DIVA SEは「ちょっと小ぶりの真ん丸メロン」くらいの大きさでボーリングの球よりは遥かに小さく、水球のボールくらい?ではないかと思います。
弟分のMICRO SEはおそらくソフトボールくらいの大きさで、A’DIVA SEと比べると2まわりか3まわり小さい感じです。

次にラインナップの確認ですが「A’DIVA SE」は「A’DIVA Ti」というチタンコーン(チタンを用いた振動面)モデルの後継機種にあたり、これらとは別に普通(ペーパーコーン?)の「A’DIVA(無印)」が存在しています。
“鉄球”という呼び名(あだ名)は前モデルの「A’DIVA Ti」の頃から、その真ん丸さと外装がすべて金属製であることを踏まえて付けたのですが、SEモデルはネット(スピーカーに被せる網)に繊維質が使用されていることに加え、以前はドーム型だった形状もフラットの面取りを施されてしまったので、いささか“鉄球”からは遠ざかってしまいました…。

前置きが長くなりましたが、(その形状はイロモノながら)「A’DIVA Ti」は当店のスタッフが個人で購入するほどの『ザ・ステレオ屋的サウンド』だったので新作にも高い期待を抱いての試聴となりました。
まずはいつものようにザっと書き出してみます。

■ANTHONY GALLO (ACOUSTICS) [A'DIVA SE]
●もっとも大きな特徴であり、個性であり、(好みが合えば)長所でもあるのが1音1音の明瞭感とエッジ感です。エッジ(感)は「太いマジックで強調したような輪郭線ではなく」「あくまでシャープでありつつも立体的でキレのある輪郭」であり、個人的には最高峰の輪郭感ではないかと評価しています。
●スピード感はまぎれもなくハイスピードの部類であり、(前述の通り)キレもありますが、エグってくるようなアグレッシブ系のスピード感も持ち合わせており、こちらもまたかなり高い評価となっております。
●1音1音の分解能も極めて高いのですが、少し繊細さには欠けるので悪く言えば荒々しい(粗い)、刺々しい印象です。
●極めて硬質な傾向のサウンドですので温かみのある音や声などの生々しい感じを引き出すのは少し苦手ですが、痛々しいくらいにビシビシと切り裂くようなサウンドとライブやスタジオの直接音のようなピーキーな(音の)立ち上がりは、その愛らしくユニークなルックスからは想像していなかった“ドSサウンド”とでも呼べるような攻めの(責めの)サウンドです。

…と、この上ないくらいに(黒江的には)褒めているように見えると思いますが、1つ大きな欠点があります。
(真ん丸なので置くのに困る…というのもありますが、専用の置台があります)実はこのA’DIVA SEは低音が非常に乏しいスピーカーなのです。
よって、↑前述のサウンドはすべて“アンプによって低音を少し持ち上げている状態”のレポートであり、低音を下げると(その資質は十分に感じられますが)これらの魅力は引き出されません。

この低音の乏しさは、一聴してすぐに気が付けるレベルであり、(決して低音が豊かではない)Vienna acoustics [Haydn Grand Symphony Edition]と比べても明らかに量感がなく、前[A'DIVA Ti]と比べても瞭然です。

そこで表題の通り(気が付いていただいている方もいらっしゃると思いますが)、Pioneer [A-70]の登場となります。
こちらのアンプは(黒江的には)低音の量感が少しありすぎるため、普段から低音をやや下げて使用していますのでこちらの低音を通常の位置に戻して(DIRECTにして)聴いてみると…「笑っちゃうくらい好みのサウンドじゃん!」ということで、先ほどのようなレポートの結果となりました。

ですので、ANTHONY GALLO [A'DIVA SE]を使用される場合は「低音を調整できるアンプ」と組み合わせていただけると幸いです。

黒江的好み度:B- (ノーマル時)
黒江的好み度:S (A-70低音調整時)
黒江的好み度:S+ (曲により)
(久しぶりのスピーカーでの個人的大ヒットでした!)

P.S.
弟分のblogを見ると10月の中旬に試聴しているようですが、この後すぐに“BURRN!”のお話が入ってきたので同様の内容で同誌にて紹介させていただいております。
こちらのブログの方が(字数の関係もあって)より詳細にレポートしていますので、メタルファンのみなさんには特にチェックしていただけると嬉しいです。
なお、同じメタルでもlamb of godのような重厚系より、A7Xや初期BFMVのようなメタリックサウンドのほうがよりフィットしていると思いますので、試聴の際はその辺も気にしていただければと思います。

twitterはじめました。

2013 年 12 月 4 日

https://twitter.com/the_stereoya

BURRN! 2014年1月号

2013 年 12 月 4 日

11月の更新ができないまま2013年最後の月を迎えてしましましたが、更新ができなかった1つの理由にもなったのが(久しぶりー!の)以前に連載を持っていた音楽情報誌(ハードロック・へヴィメタル)『BURRN!』誌にて特別企画を書かせていただいたことです。
…ということで、(毎月5日発売なので)12月5日発売の『BURRN! 2014年1月号』に登場します!

今回のコンセプトは「PCオーディオとアナログ(レコード)とオーディオの親和性」と(勝手に)銘打ち、オーディオ全般の流れからはじまって、PCオーディオ(ネットワークオーディオ)やアナログまで幅広く、オーディオの楽しみ方や魅力を網羅しています。
もちろん、内容はいつもの通りビギナー層にもできるだけ分かりやすい表現や文章を心がけていますし、ロックやメタルを聴かない方にも十分に伝わるような内容となっていることと思いますので色々な方に読んでいただけたら嬉しいです。

早いところでは今日から棚に並んでいますので、ぜひお近くの書店やコンビニ等でチェックお願いいたします!

P.S.
(反響が多ければ多いほど、次回の登場時期も早まると思いますので)できたら買っていただけると幸いです。

CEC CD3N

2013 年 10 月 10 日

しばらく新製品のリリースが途絶えていた国内のオーディオ専門メーカー「CEC」より、待望のニューリリースが登場いたしました。
満を持して(?)登場したのは、同社が「唯一無二」を誇るベルトドライブCDプレーヤーということで、色々と期待しつつ試聴させていただきました。
その思いや感想を早速レポートしたいと思います。

【ベルトドライブらしさは少し奥の方へ…。】

いつもの如く、分かったような分からないような見出しから考えさせていただきましたが、(なーんとなく)こんな印象を持ったインプレッションとなりました。

(これまたいつもの通り、)まずは箇条していきたいと思いますが、以前のベルトドライブ機(の記憶)と当店が基準機にしているAura neoとの比較を基調としていますので予めご了承ください。
なお、まず先に申しておきますと「黒江的にはいわゆる“好みのサウンド傾向”ではない」ので、ハイスピードやソリッド傾向を求められている方には参考にならないと思われます。
しかしながら、黒江的に「CDプレーヤーとしてのクオリティは太鼓判!」と音質面ではかなりの高評価であることも先に述べさせていただきます。

■CEC [CD3N]
●基本的なS/N感・解像度・レンジ感などなど、オーディオの基本的な音質面は十分であり、同価格帯の中ではCPが高い分類であると思われます。
●以前のベルトドライブCDプレーヤーは音の線が太めで、タッチはマイルド、暖色系、…といったイメージでしたが、本機は音の線は普通~ごくわずかに細め、タッチはサラッとしていて、温度感は中庸~ごくわずかに寒色系…と、「逆」とは言いませんが、かなり中庸路線(ニュートラルで癖の少ない解像度系)に寄せてきています。
(黒江的に例えるなら旧モデルは「うどん」、新モデルは「パスタ」って感じです。旧モデルの方がどっしり、モチッとしていて、温もりのある感じ、新モデルはさっぱり、ツルっとしている感じに思いました。)
●各帯域は超高級機のような広大なレンジ感ではありませんが、過不足のないレンジ感であり、高域が出しゃばることもなく、低域が暴走することもなく、極めてバランスの良い帯域バランスが好印象です。
●1音1音の粒は細かく繊細で、1粒1粒がとても丁寧に描き出されている印象を持ちました。
●パッと聴いた第一印象として「優しい音だな」と思った通り、きめの細かなサウンドながら押し付けてくる感じが無く、ソフトで落ち着いている傾向だと思います。
●ドライかウェットかで言えばウェット寄り、硬質・軟質で言えば中庸、キレやエッジはハッキリ明瞭ではありませんが、ぼんやりぼやけることもなくスムースな輪郭です。
○悪く言えば「ちょっと遠くで鳴っている」「音場感・音像感・1音1音すべてが少し薄い」といった表現にもなりますが、こういった傾向を好まれる方には決して短所にならない音質であると思います。
○また、時にはこれがウィークポイントになるのではないかと思いますが、少なくとも鈍足ではなく思いのほかにスピード感のあるサウンドです。総じて、旧モデルのように「もっとベルトドライブらしい音」(良い意味で鈍足で、滑らかで、濃厚な感じ)でも良かったのではないかと思いますが、癖のあるサウンドは好みの差を生み出しやすいのか、他のブランドの動きと同様にCECも少し「今風の解像度型サウンド」に舵を切ったようです。

なお、フィルター機能が搭載されており、オンオフすることで若干の音色変化を楽しむことが出来ますが、オン(青LEDが点灯)にすると全体の余韻が長くなりスーッと音場が流れるように消えてゆく印象で、これは正に以前のベルトドライブCDプレーヤーのテイストに近い余韻感になるので(試聴の際は)ぜひこの機能もお試しいただければと思います。(&僕の見解ではフィルターの特性と聴感の印象が異なるので確かめていただけた方が良いと思います。)

…といった感じでしたが、普段の黒江(※後述参照)なら「好きじゃない」と言って終わりそうなガシガシ来ないサウンドでもしばらく聴き入ってしまうくらいに完成度が高く、(久しぶりの新製品に)CECさんを再評価させていただきました。

SACDがかかるわけでもなく、USB DACとして使えるわけでもなく、今時とっても素朴な“純然たるCDプレーヤー”ではありますが、音質は間違いなくハイレベルとなっておりますのでご検討の1つに加えていただけると幸いです。

P.S.(※後述)
僕だって、「ぼやけたノロノロのマイルドサウンドは嫌だけど、いつもギンギンギャンギャンのソリッドサウンドで聴きたいわけじゃない…」のです。
そういう(曲の)時はこういったサウンドは本当に好きなので、『“裏”黒江的好み度はA以上』でもいいかも…と思いました。

McIntosh MA5200 vs MA6700

2013 年 9 月 10 日

少し間が空きましたが、この度久しぶりに元祖の輸入元エレクトリに復帰し、新作を発表した名門中の名門オーディオ(主にアンプ)ブランド『McIntosh (マッキントッシュ)』からインテグレーテッドアンプの兄弟機をレポートいたします。
(名門ブランドだけに当ブログにしては高級なものになってしまって恐縮ですが、憧れのブランドの一つになれば幸いです。)

【NewGeneration McIn Sound !?】

まず先に(お得意の)脱線したお話からになりますが、“マッキントッシュ”と言われるともう一つのビッグネームを思い浮かべる方も多くいらっしゃるのではないかと思いますが、(そうです!)正に今現在、このメーカーをご存じない方はいないであろうApple社のコンピューター名と同じ“マッキントッシュ”というメーカー・ブランド名なのです。

ただし、同じ名前でもちょっとした相違点がありますのでザザッと箇条してみます。
★オーディオの“マッキントッシュ”はメーカー・ブランド名、コンピューター(類)の“マッキントッシュ”は商品名(TOYOTAのCROWNとか、Fenderのストラト[キャスター]とか、Gibsonのレスポールとか、HERMESのバーキンとかと同じ)です。
★スペル・綴りが違っていて、オーディオは“McIntosh”、コンピューターは“Macintosh”です。※オーディオは「a」が無く、「I」は大文字なのが正式なので覚えてもらえると嬉しいです。
ちなみに、Appleの“Macintosh”は最近のモデルでは一切使われておらず、略称の“Mac(iMac/MacBook等)”になっています。

おまけで、(僕は最近はじめて知った)アパレルの“MACKINTOSH PHILOSOPHY”は全部大文字で「K」入りです。(たぶん。)
すべて正しく書き分けられるとちょっと素敵(…な気がします)。
(歴史と言いますか、いち早くマッキントッシュを名乗ったのはこのオーディオブランドなので、Appleファンのみなさんにはちょっとリスペクトしてもらいたいような気もします…ね。)

…と、早々に脱線いたしましたが、新モデルのレポートの前に歴史ある“マッキンサウンド”の特徴をご案内したいと思います。

●とにかく、『パワー・エネルギー・情報量・密度感・濃厚感』という表現の似合う雄々しいサウンドが特徴です。
(繊細さ、クリアさなどが感じられないわけではないのですが、まずはパワフルさを感じる傾向です。)
●スタイルでは漆黒のガラスパネルに“ブルーアイズ”と呼ばれる青く灯るメーターが最大の特徴であり、遠くから見ても、誰が見ても一目瞭然のマッキンスタイルは(僕自身をはじめ)多くのファンを長年に渡って虜にしています。(これが“キュンキュンする”って言うんでしょうか。^-^;)
●多くのモデルに“マッキントランス”と呼称されるオートフォーマーという出力トランスを搭載しており、これが“マッキンサウンド”の源流とも言われています。
(まだまだ書きたいことはありますが、長くなるので簡潔に。)

…これらを踏まえて、この度の新製品MA5200とMA6700を「vs レポート」してみたいと思います。

■McIntosh [MA5200]
●同メーカーの中では、いわゆるエントリーモデルであり前述の“マッキントランス”を省略したモデルです。
(かなり前に同様の省略モデル「MA6500」が生産されており、黒江的にはもっともサウンドが気に入っていたモデルの一つだったので期待大でした!…が。)
●低域が強めで、パワーで押しこんでくる、いわゆる“マッキンサウンド”を強く感じられるサウンドです。
●暖色・低域寄り(極端に言えば低域[3]:中域[2]:高域[1]くらい)・高い押し出し感・パワフルなドライブ力を持っていますので、大型のフロア型スピーカーなどもガンガン鳴らしてくれそうです。
(当店では小型スピーカーしか鳴らせなかったので十分な魅力を引き出せなかったのかもしれませんが…)
○全体的に暗めであり、少し見通しが良くない印象もあります。
(情報量が多すぎて当店の小さな試聴室では部屋が音で充満してしまった感があるので広めのお部屋の方が向くようにも感じられました。)
○(マッキンは総じてですが)スピード感はやや遅め、音場感もやや狭いように感じられました。
(しつこいようですが、部屋との相性も考えられます。)
○少しサウンドは先丸、音の線は太め、エッジ感もビシッとした明瞭なタイプではありません。

■McIntosh [MA6700]
●こちらは“マッキントランス”搭載のプリメインアンプですが、MA5200に“マッキントランス”を載せた(またはMA5200がMA6700から“マッキントランス”を抜いた)設計ということではないようです。
(前述の通り、以前は“マッキントランス”レスが好きだったので、こちらはあまり期待しないでの試聴となります…。が!)
●基本的にはやはり“マッキンサウンド”です。…が、かなり洗練されたような、モヤモヤ・モワモワとしていたものが晴れたような、1レベルも2レベルも高い“マッキンサウンド”が感じられるサウンドだと思います。
●基本的にはやはり低域寄りだとは思いますが、こちらは中低域寄り([2]:中域[2]:高域[1.5]くらい)という表現の方が的確で、明らかな低域過多に感じられることはありませんでした。
●暖色傾向もさほど強くは無く、寒色・暖色のちょうど中間~ほんのり暖色といった音色傾向で、音像やエッジ感もしっかりしています。(少し先丸ではあります。)
●何より評価したい点が、スピーカーが「こんなに楽に鳴らしてもらっていいのかな」(←もちろん幻聴です。)と言っているように聞こえるくらい軽々と鳴っている点です。このアンプならどんなスピーカーでも駆動力不足に悩むことはなさそうです。
(“This is ドライブ力・トルク・駆動力”と言えるような、アンプの王道・王様とも言えるような何とも表現に苦しむセールスポイントです。)
●スピード感はやはりありませんが、抜けや見通しは上々であり、音場感も(とても広大とは言えませんが)十分な広がりを持っています。
●不得手なサウンドはあるものの、ベースのうねりやバスドラの(深い)沈み込み、オーバードライブの油っこい歪み感、男性ボーカルのうっとおしさ、肉厚の金属音、ビーターのインパクト音などなど“マッキンサウンド”でしか感じられないサウンドもまた魅力的だと思いました。
○PioneerのA-70と同様にイコライザーでハイ(高域)を少し上げて聴いていただきたいです。

…と、(個人的な主観&当店のセッティングでは)結果的にはMA6700の圧勝となりました。
とは言え、MA5200が劣っていたというよりは、MA6700の完成度が非常に高かったのだと感じています。

結論として…MA5200でさえとても高額でありMA6700は更に高額ではあるのですが、MA5200をご検討されているかたはもう一声がんばっていただいてMA6700まで何とか手を届かせていただけたら…と思いました。

P.S.
“ブルーアイズ”かっこいいな…。
部屋を暗くしてマッキン眺めてるだけでもすごい満足しちゃうんですよね…。
配色なのか、無機質と有機質が同居したようなデザインなのか、“McIntosh”のロゴが緑なのもポイントなんでしょうか…。

NuForce STA-100 with Essensio Plus

2013 年 7 月 9 日

今回は久しぶりに上々の(黒江的)ヒットになった期待の新製品レポートです。

【小柄でヤンチャな爆走ボーイ。】

輸入元(本国原文の和訳?)によると『エレガントで控えめなサイズの筐体』ということなので、“体は音を表す”のではないかと(黒江にしては珍しく)妙な先入観を持っての試聴となりましたが、いい意味で期待を裏切ってくれました。

いつものようにまずはザッと書き出してみたいと思います。

■NuForce [STA-100]
●(価格の割には)情報量が高く、1音1音が(薄っぺらくなくて)しっかりしていて、且つハイスピード。力強いサウンドなのに高いスピード感を誇るのは大変魅力的です。(まず、もっとも注目した点でした。)
●帯域バランスはやや低音寄り、…というよりは少し高音が控えめといった感じです。
●輪郭・エッジは鋭すぎず、硬すぎず、強調の無い範囲での明瞭系です。低域もビシッとタイトで緩さは感じられません。
●(前述のエッジ感も含め)シャープ・抜け・キレ・クリアといった“ハイスピード・クリア系”ではなく、(小粒ではあるものの)音のつぶてを投げつけられるような“アグレッシブ・ドライブ系”の傾向です。
●音のトーン(質感・温度感)はキンキンの硬質・寒色・クールといった傾向ではなく、比較的中庸なポジションに感じられ、(軟らかく・暖色な)ウォームには程遠いですが、少し熱さを感じるホット(パッション)なエッセンスを少しだけ感じるサウンドの印象です。
●1音1音の分解能(シンバルやディストーション、シャウトの成分・粒子感が細かく分解されているか)も上々です。
○強いてウィークポイントを挙げるならば「S/N感」で、前述に挙げた分解は上々であるものの、各パート間、楽器の位置関係に於ける距離感である“分離感”には少し物足りなさを感じ、ややガシャガシャとした落ち着きのない感じが見受けられました。(これがちょっとヤンチャに感じるポイントです。)
○音場の見通し、奥行きも(これらを評価している機種に比べると)少し見劣りする点があります。

黒江的好み度:A+

…と、いうことで黒江的には「お値段以上○○○」な1台ではないかといった結論に至りました。
(特にこの数年、アンプ・パワーアンプには個人的アタリが全然出ていなかったので…。)

なお、ザ・ステレオ屋では、north star design [Essensio Plus]というプリアンプとコンビを組ませていますが、このコンビとPioneer [A-70]は非常にいい勝負をしていると思います。
加えるならばCP(コストパフォーマンス「コスパ」)では圧倒的にA-70ですが、north star design [Essensio Plus]はUSB DACとしても秀逸なのでPC/Macなどとの絡みの優先順位でもチョイスは変わってきそうです。
(以前のレポートでA-70のUSB DACサウンドはあまり好みでないと書いていますが、調べてみると奇しくも前回に出てきたESS社製のDACチップだったようです。)

いずれも“高発熱”“高消費電力”ではありませんので、“節電の暑い夏”でも差支えないと思います。
気になった方はぜひ一度聴いてみてください!

north star design Impulso

2013 年 6 月 17 日

久しぶりの更新です。
(なかなか書きたいネタがなかったので…。)

このところ個人的なストライクを連発してくれている『north star design』より新しいDACが登場しました。
なんでも特に大当たりだった“Essensio”の後継機ということなので、かなりの期待作です。
(伴ってEssensioは生産終了ということで…とても残念です。)

早速、2機種を聴き比べてみましたので感想をご覧いただけると幸いです。

【青のEssensio、赤のImpulso。】

ちょっと大袈裟ですが、このくらいに伝えておいた方が良さそうなくらい「まったくもって異なるサウンド傾向」と言えます。
ですので、(近々ではPioneer A-50/A-70と同じように)後継モデル・兄弟モデルなどと思い込み、同様のサウンドが得られると思って購入されることのないようにご注意ください。
(メーカーや紙面等では「Essensioの後継」と表現しますが、いわゆる製品ポジション・価格ゾーン的な後継という意だと思われます。)

いつものように主にEssensioとの「vs 形式」でピックアップしてみます。

■north star design [Impulso]
(特にEssensioと共通している点としては…)
●S/N感・レンジ感・分解能が高く、音作り・化粧・味付け感の少ない、素直で癖のないタイプのサウンド傾向です。
(そういう意味でも、“青と赤”なんて例え方はちょっと極端な例えです。)
●広々と大きなサウンドステージを展開する傾向ではなく、ピシッと音像を描きだす、(高)音像定位タイプだと思います。
●Essensioよりは少し劣りますが、いわゆる“ハイスピードサウンド”であり、音のキレなども上々です。
(ここからはEssensioと異なる点、固有の点として…)
●Essensioは1音1音がスッキリとクリアでシャープであったのに対し、Impulsoは1音1音がもう少し太く、肉付きを感じられるサウンドです。
(太いと言っても過不足のない肉付きであり、芯・骨・肉・輪郭(肌)の全てが少しずつEssensioよりもたくましい感じです。悪く言えばEssensioはガリガリのシャープサウンドであり、芯と骨は線が細く、肉はほぼ無し、輪郭(線)はしっかりと描かれているが、細い(薄い)といった印象です。)
●非常に細かく分解され、キレとスピードで(音の粒子が)体を通り抜けていくようなEssensioに対して、Impulsoは音のつぶてを投げつけられるタイプ、いわゆる“アグレッシブ系”であり、(1,2世代前の)PRIMARE・TEAC・ATCなどの殴打感のある方向にサウンドが変わっています。
●シンバル1つとっても「よく分解され、金属感が感じられるEssensio」「アタック感が高く、躍動感を感じられるImpulso」といった印象で、ギターは「ザラつきが鮮明なEssensio」「ドライブ感とバッキバキ感(伝わってください…笑)が秀逸なImpulso」といったような違いが感じられます。

…ということで、結論として「この2機種は先行も後継も無く、兄弟でも無い」と結論づけたいと思います。
(なので、黒江的には『無機質で解析的なEssensio(クールなので“青”)』と『暴力的で情熱的なImpulso(パッションの“赤”)』とイメージを付けさせていただきました。)
みなさんにもご購入の際はぜひ試聴をお勧めします。

P.S.
…と、(まだ一切の資料が無かったので)返却時に分かる範囲でのスペックをお訊ねしたところ、やはりと言いますか肝心要のDAC(チップ)がまったく別のメーカーに変わっていました。
(EssensioはCIRRUS LOGIC(シーラスロジック)社、ImpulsoはESS社ということのようです。それは音の傾向が全然違うわけですね…。)
個人的にはEssensioが頭1つリードしています。(ホント好みの問題ですが。)
ちなみに、ESS社のDACチップは最近とても評判のようなのですが今まで一度も黒江的にはハマりませんでした。…が、今回はじめてESS搭載のDACで当たりが出たのでちょっと嬉しかったです。
(決してDACチップだけで音が決まるわけじゃないのですが、ある程度は左右されますからね…。)

marantz NA-11S1

2013 年 4 月 19 日

前回のLUXMAN [DA-06]に続いて、今回はもう1機種の注目DACを個別レポートします。

DA-06と同様に「DSD対応DAC」としてのレポートではなく、あくまでも単体DACとして音の傾向を中心に書かせていただいておりますので予めご容赦ください。

【豊富な情報量がデジタルフォーマットからアナログに近いサウンドを取り出す日。】

■marantz [NA-11S1]
●情報量が高く、メリハリがあります。
●クリアネスに透き通るような傾向ではありませんが、鈍足傾向ではなく、中速より少しハイスピードに寄せたポジションの“高ドライブ(感)サウンド”といった印象です。
●1音1音が分離し、分解されるタイプではなく、密度感・質感が高めのサウンドであり、(黒江が比較的好みやすい)スカスカした感じは一切ありません。
●濃いめで厚めな音の傾向ですが音に丸みや贅肉感はなく、「細めの芯・やや太めの骨・適度な肉・少し厚めの皮」という構成の傾向ではないかと思います。
●出音やアタック音、音の立ち上がりが明瞭で「ビシッ・バシッ・カチッ・バチッ」といった瞬発力の高さを印象付けます。
●どちらかと言えば「暖色(少なくとも寒色ではない)傾向」であり、粘り気のある音やボーカル、低音の重み、皮の厚みなど、力強さが欲しいサウンドにハマりやすい印象でした。
●(そういったジャンルを聴けば…かもしれませんが)眼前に向かって畳み掛けてくるアグレッシブさがあり、定位も良好です。
●解像度が高く、しっかりとしたダイナミックレンジを感じさせるサウンドであり、音場はやや広めです。
●高域~低域まで、『1音1音をクローズアップすると』全体的に(1音1音は)落ち着いた印象で、「高域がギラギラすることもなく、中域がパサつくこともなく、低域がゴワゴワすることもなく」安定しています。
(派手か地味かで言えば地味、水か油かで言えば油[パステル画か油絵かで言えば油絵]とも言えそうです。)
○良く言えば「まとまりのある重厚なサウンド」ですが、悪く言えば「やや分離の悪い、ほぐれないサウンド」と捉える方もいることと思います。
○余韻が少し強めであり、音場特性に少しだけ癖を感じるのでこの辺の聴こえ方で好みが分かれそうな気がいたします。
○スカッとしたサウンドを求められている方には少々濃いめのサウンドに感じられるかもしれません。
※いずれにしてもDSDやFLACなどのハイレゾ音源、更に言えばオーケストラなどを聴いての分析ではありませんので、あくまで参考までに捉えていただけると幸いです。

…と、やはり「vs レポート」と被っている表現・内容もありますが、一口に言えば「情報量の豊富なタイプで少し重め」という傾向ではないかと思います。

黒江的には“クラシック向き”と位置付けており、当然のこと黒江的好み度は自然と低めになりますが、(ヘヴィサウンド系・デス系は意外にマッチしていますし、)基本的なDACとしての音質はバッチリなので傾向を把握された上で選択していただければと思います。

なお、専用のコントロールアプリ「Remote App 3.0.7」を用いた操作も検証したところ、こちらはやや残念な結果に…
全体的にやや動作が不安定であり、「選曲後にタイムラグが発生する・選曲→再生→選曲など素早い操作に弱く、フリーズする・NASとの接続が切れてしまう」などの不具合が発生しました。
(iPhone 4[iOS 6]やiPod touch 4th[iOS 4]などで検証し、古い端末ほど顕著でした。)

NA7004の時分に使用していた「Wizz App 2.23」は非常に軽快な動作・操作でしたので高く評価していたのですが、あいにく「Wizz App 2.23」ではNA-11S1がデバイスとして認識できず、「せめて、このWizz App 2.23でデバイス認識を可能にしてユーザー側に選択肢を残してくれれば…」と思う結果となりました。
(…って、両アプリ共に最新Ver.などで既に解決されていたら申し訳ございません。)

…と、いうことで「vs レポート」にはじまり、marantz [NA-11S1]とLUXMAN [DA-06]を個別にレポートいたしましたが、やはりDSDやネットワーク以前に「DACとして音が気に入るか」をベースに選んでいただいた方が良さそうな2機種ではないかと思いました。
まだ迷われている方のほんの少しでも足しになれば幸いです。

P.S.(オマケ)
LUXMAN [DA-06]と同様に最後にフィルター等の特徴をサラッと書いておきます。
Filter 1:(Filter 2と聴き比べると)いわゆるストレートという表現がピッタリな本機のスタンダードサウンドです。
Filter 2:(Filter 1と聴き比べると)こちらはスムーズ・スムースといった印象で、少し穏やかに滑らかになる印象です。
Noise Shaper:S/N感が向上するというよりは少しザラツキが取れたような印象ですが、ちょっと音がデッドになる傾向です。
DC Filter:(こいつがイマイチなにをしているのか分かりませんが…、笑)少し1音1音がシャキッとするような印象なので黒江的にはオン推奨でした。
※「Filter 1・DC Filter ON」が個人的には好みでした。

LUXMAN DA-06

2013 年 3 月 26 日

少し間があいてしまいましたが、前回の「vs レポート」より、今回はLuxman DA-06をピックアップしてレポートしたいと思います。

【新世代LUXトーンはじまりの音。(?)】

まず、はじめに結論として述べておきたいのは(DSDがどうのこうのという点を抜かしても)この『Luxman DA-06はD/A Converterとして十分な音質を備えている1台』という点です。
巷ではどうしても「DSD対応DAC」としての評価が色濃くなってしまいますが、前回にも“(もしこれが揃えば黒江的にはパーフェクト?!と言えるかもくらい)全体的な基本音質は高いと思います。”こう述べているくらいですので、その真価は「DSD対応」という小さなものだけで決めていただきたくないというのが本音でもあります。

(…って、読んでいただければ分かりますが、僕のレポートはDSD再生を聴いてのものではありませんしね…。笑)
そのくらい完成度の高いDACであると思いますが、(感情的にならず)まずは淡々と印象を述べていきたいと思います。

■LUXMAN [DA-06]
●S/N感が高く、見通しが良いです。
●“超”ではありませんが、かなりのハイスピードサウンドで、抜けも上々です。
●…が、エッジ感・インパクト感・アタック音・鋭利で俊敏な立ち上がり、といった音の切れに繋がる項目は強くないので『切れ味のあるサウンドとは言えません』。
●…ですが、逆に「音(の先端)に丸みがある」「骨太・肉付き」「膨よか(ふくよか)」といった印象でもなく、「1音1音がスッとソフトに立ち上がってくる印象」を持ちます。
●「高音が硬質で低音がブーミー」「高域が寒色で低域が暖色」といった、各帯域の音にバラつきが少なく、一貫して繋がりの良いサウンドです。
●前方に押し出すサウンドでもなく、後方に広がるサウンドでもなく、その中間といったところですが、定位感も良好で(ボーカルものなら)センターにピシッと口元が浮かび上がります。
●ステレオ感を強調することもなく、(そのせいか)音場感はやや狭い印象です。
●高音はサラサラと粒子の細かいクリア系、中音は癖の少ないストレート系、低音はルーズさのないタイト系と比較的モニター調よりではないかと思います。

○悪く言えば「これといって面白みのない、特色や個性に欠けるサウンド」「どんなジャンルでもこなせるけど、図抜けて合うジャンルが無い」とも言えます。
○ハイスピードで抜けも良い割りには、音が走ってこないので「その辺(スピーカー辺りで)で鳴ってる感じ」のサウンドになりやすい傾向です。
○伴って、高い(前後に長い)奥行き感を感じさせてくれるサウンドではありません。(定位がいいと感じるので決して平面的ではないのですが…。)
※「特色や個性に欠けるサウンド~」に関してはCLASSIC / JAZZからJ-POP / ROCKなど多岐に渡るジャンルを一手に担うことの多いPCオーディオという用途には向いている(長所である)とも考えます。

…と、前回と被っている表現・内容もありますが、やはり何度(EssensioやNA-11S1などと)聴き比べてもこのような見解となりました。
当ブログでもLUXトーン・LUXサウンドという言葉を時折使わせていただいておりますが、サウンドを表現すればするほどに、往年のLUXトーン・LUXサウンドとはイコールにならないサウンドであることは確かなようです。

(…ですが、音が細かく綺麗であることや、きついエッジ感が無いことなどから『長く聴き続けていられるサウンド』『耳にやさしく、聴き疲れしないサウンド』であることには間違いがなく、トータル的なサウンドのまとめ方には往年のLUXトーン・LUXサウンドと相通ずるところがあるのではないかと勝手に結論付けています。
濃厚・濃密だった『往年のLUXトーン・LUXサウンド』から、(薄味だけれど美味で素材を活かした?)さっぱり系の『新世代LUXトーン・LUXサウンド』への一つのシンボルとなるサウンドなのではないかと決めつけてみましたが、みなさんはいかがに感じられますでしょうか。)

いずれにしろ、音質については『黒江的評価:◎』ということで、滅多にない高評価となっております。(黒江的オススメの1台)ぜひご検討に加えていただけると幸いです。

P.S.(オマケ)
デジタルフィルター(DF1~DF3)の傾向ですが…
DF1:(結果論として)DF2とDF3の中間に感じられました。
DF2:高域が華やいで(目立って)更にサウンド全体の見通しが良くなるも、(ただでさえ前に来ない音像・音場が)全体的に少し引っ込んでしまいます。
DF3:DF2とは逆にサウンド全体がややせり出し、(黒江的には)課題であったアグレッシブさが(結構)補完されます。その分やや荒くなる傾向はありますが、著しく基本音質を落とすことはありません。(オススメのセッティングです。)

このフィルターに関しては「一切の前知識のないままで3種を聴き、それぞれの印象を前述のように整えました」。
その後、DF1~DF3の波形や傾向を答え合わせいたしましたが、概ね一致したようです!
(証人は弟分とLUXMANの方くらいしかいませんが…。^-^;)
超極端に言えば、DF1はプレーンとして、『DF2は余韻型・DF3は立ち上がり型』に波形を少しシフトする感じ…のようですが、結局はDF2とDF3の中間がDF1なのだと思うので当を得ているとは思います。(よね?)