TEAC AI-503

3月 23rd, 2017

今回はTEACの新製品をレポートさせていただきます。

【ハイスピード&アグレッシブの血統健在!】

(↑見出しでおおよその察しがついてしまうと思いますので)結論から先に述べさせていただきますが、
「待ってっいました!待ちわびました!」
と久しぶりに(アンプで)歓喜のレポートが書けることが非常に嬉しい限りです。

…ということで、
ようやく『Pioneer A-70』に取って代わる“ザ・ステレオ屋リファレンス”アンプが現れてくれましたので、その音質や傾向を旧リファレンス(Pioneer A-70)との“vs レポート”にて述べさせていただきます。
※(お約束)『vs』とは両者の「優劣」を決めることではありません。「比較・差異」を分析するレポートですので予めご理解ください。

■TEAC [AI-503] (vs A-70)
●クリア感・シャープさを筆頭に“ハイスピード”を売りにしていた(低域を少し絞る条件でしたが)A-70と比べると、AI-503はやや音にパンチのある“アグレッシブ”傾向に位置付けられますが、ハイスピード(感)も併せ持っているため(ザ・ステレオ屋的には)非常に好感の持てるサウンドとなっております。
●S/N感・分解能・全体域に渡る音のシャープさ、タイトさは(A-70ほどではないものの)A-70と比べても遜色はなく、(良い意味で)荒れ狂うスピード感(ドライブ感)を持っています。
●A-70が(音場)空間を切り裂くようなキレとスピード感だったのに対して、AI-503は(音場)空間を掻き分けて(押し退けて)飛んでくるようなスピード感といった印象です。
●A-70のエッジ感(輪郭)を“細めの髪”くらいとすると、AI-503は“普通の細さの髪”くらいのイメージで、A-70よりは少ししっかりめの輪郭感となっています。
●帯域バランスも良好で、(黒江の思うきれいなフラットからは)少しだけ低域が強め(A-70の低域の絞り具合を軽めにしたくらい)ですが、同じ少しだけ強めの低域でも(A-70に於いて低域を絞らない状態で感じられる)低域にブーミーさがない分、ぶわっと緩んで中高域を包み込んでしまったり、(低域の余韻や響きで)音の立ち上がりを阻害したり、低域の方が前に出てくるような“ことはない”ので非常に上手く収まっています。
(低域は非常にタイトであり、「ドンッ」「ボンッ」といった種の音を出す際に「ドンッゥワ」などと瞬間的に膨張して輪郭から音がはみ出るような「制動しきれていない」印象を持つアンプが多い中、しっかりと制動できている良質な低音だと思います。)
●A-70は非常に硬質で冷たさを感じる“クール系”に属していると思いますが、AI-503は(硬質系・寒色系ではあるものの)A-70ほどには無機質さを感じさせず、A-70よりは少し有機的な質感を感じさせます。
○モニター調であることには間違いがありませんので、朗らかに、滑らかに、軟らかく、ゆったりと…などの音調を求めている方には不適切であるかと思います。
○S/N感(クリア感)と(音と音場の)解像度はややA-70に軍配が挙がります。(A-70はクリア系の部類では本当にいいアンプでした。)
黒江的好み度:S

…と、いうことで本当に久しぶりの(アンプの)大当たりに巡り合えてホッとしています。
ハイスピードとアグレッシブを両立する大きなポイントである“駆動・制動”が、このアンプは非常にハイレベルであり、正に黒江の琴線に触れるサウンドでした。
この数年、ここまで(好みでもあり)評価できるアンプがなかったので、ぜひアンプをお探しの方はご検討いただければと思います。

ONKYO DP-CMX1 (GRANBEAT)

3月 17th, 2017

今回は話題の新製品であるオーディオメーカーが手掛けるスマートフォン・スマホをレポートしたいと思います。

【ネットも動画もSNSも音楽も。】

オーディオメーカーが(たぶん)初のスマホを作る日が来るなんて…って、いつかは来るだろうと予想はしていましたが実際に辿り着くとなかなか感慨深いものです。
(↑ソニエリのXperiaがありますが、エリクソンが絡んでいることと、回路や基盤を高音質設計しているわけでもありませんし“純”オーディオメーカーでは初だと思います。)

基本的にはAndroidのスマホ端末ということで、余計な解説などは省かせていただき、音質面と操作面(操作性)とその他の雑感を(ベース機となった)DP-X1Aとの比較レポートで述べさせていただこうと思います。

■ONKYO [DP-CMX1] (vs DP-X1A)
音質面
●DP-X1Aと同じパーツ構成でほぼ同等の回路を用いたとあるように、基本的な音質面では引けを取らない(※後述)サウンドとなっています。
●そのことからもDP-X1Aと音質や音の傾向も同じように表されているようですが、音の傾向には少し(だけ)差異を感じます。
●DP-CMX1はDP-X1Aに比べると“少しだけ音の線が太く、厚みも増したように感じられるサウンド”であり、DP-X1Aのクリアネス・シャープさを少しだけパワフル・筋肉質といった方向にシフトさせた(してしまった?)ような印象です。
●音の傾向が少し変わった原因として、(パーツや回路自体はほぼ同等としていますが)スマホサイズに収めるために(通信部のスペース確保やバッテリーも大容量にしたため)音声回路部(主にDAC部・アンプ部)をより小さくコンパクトな回路(基盤)としたため、DP-X1Aとはまったく同じサウンドにはならなかったのだと推測します。
●しかしながら、(↑でも再三述べているように)感じられる差異は“わずか”と言ってもよいくらいに少しのところであり、パッと聴いた時の印象はDP-X1Aのそれと変わりません。(よく聴きなれた音源であれば50%くらいで聴き当てられるかもしれませんが、聴き慣れない音源だと当てられる自信がないくらいの差です。)
○S/N感・解像度・音場感・抜けなどに関しては(さすがに専用機である)DP-X1Aに少し及ばずながらもスマホとしては(今まででは)考えられないくらいのクオリティを誇っています。
…ということで、音質・音の傾向に関しては少しだけ傾向が違って、少しだけ専用機には敵わなかったけど、ほぼほぼDP-X1Aとは同等であると言えると思います。

操作面
●まず先に感じられたのがDP-X1Aと比べると格段に持ちやすく、操作しやすくなったという点です。画面横方向に4mm、厚さが1mmのサイズダウンではあるものの、手に収まりやすく(片手操作でも)画面の両端へのタッチが容易になりました。(縦方向の両端は少しタッチし辛いです。なお、黒江の手は指が長めですが、手のひらは少し小さめです。)
●音楽プレーヤーとしてはそこそこ持ちが良いけれどネットなどのAndroid端末として使用するとみるみるバッテリーが減っていたDP-X1Aと比べると、バッテリーサイズが3,000mAとなったことに加えてHexa-Core(6個のCPUが入っていて、[おそらく]低負荷時は電力消費の小さいCPUだけで賄っている)の恩恵でDP-CMX1はスマホとしてもかなりバッテリーの持ちが良くなっています。
●Android端末(スマホ)としての動作はキビキビ・サクサクであり、アプリやゲーム、ネットや動画もストレス無くスムースに動作します。
●スピーカーの音質は“高音質”とは言えないものの、クリアで割れや歪みのなく“及第点以上”とは言えるクオリティです。
○(特に右片手で持つ場合)ボリュームノブが少々扱いづらく、左手持ちの右手操作が大前提で設計されている印象です。テーブルなどに置きながらの操作時もボリュームノブをコントロールしにくい構造となっている点は残念です。
…ということで、ボリューム操作以外はDP-X1Aを圧倒し、端末としても非常に完成度が高いと思います。(カメラも高画質みたいですね。)
黒江的好み度:A+

スマホベースのDAPなのか、DAPベースのスマホなのか…と考えていましたが、これだけの高音質だとあくまでも良質なDAPに通信部を加えてあげた“DAPベースのスマホ”という印象の方が強くなり、(現時点で必要に駆られているわけではないけれど)「普通に欲しい」と思わせてくれる製品でした。
DAPやスマホとして優秀なのはご紹介の通りですが、加えて、(カメラの画質チェックはできなかったものの)高画質な静止画の撮影や動画も長時間録れて(大容量のSDカードに保存できるのであれば)正に足りないものが無い“オールインワン”といった感じです。
SIMフリー機ですのでSIM契約なども不要であり、2年縛りや端末代の月賦などもありません。本機を購入し(対応の)SIMを挿すことで機種変更も簡単です。(※SIMやキャリア等に詳しくない方はご購入前にお問い合わせください。)

(ONKYOが)「スマホはじめました」ので、ぜひチェックしてみてください。

DELA HA-N1AH20/2 vs HA-N1AH40/2

2月 17th, 2017

今回は新型「DELA」のプチレポートを書かせていただこうと思います。
(分かりやすさから)タイトルは“vs記事”となっているものの、要は「2TBモデルと4TBモデル」を同一環境下に於いて使用した際の“検証レポート”となっておりますので(特に2TBと4TBで悩まれている方は)参考になれば幸いです。

※以降、文中ではHA-N1AH20/2を『2TB』、HA-N1AH40/2を『4TB』と表記いたします。尚、4TBは初期設定のスパニング設定となっております。

●起動時間
2TBに対して、4TBは容量が倍になるということで起動時間なども倍になるという(単純な理屈からの)噂が聞こえてきたことがありましたが、(くどいようですが元プログラマーの)黒江的にはどうにもしっくりくる話ではありませんでした。
それならば「実機で検証するのが一番でしょう」ということで、2TB・4TBの気になる起動時間を(ほぼ)同条件で行いました。
2TB…約24秒後に「IPアドレス表示」そこから更に7秒(合計31秒)ほどでパネル右上隅の「PCマーク」が点灯します。
4TB…約25.5秒後に「IPアドレス表示」そこから更に10秒(合計35.5秒)ほどでパネル右上隅の「PCマーク」が点灯します。

操作可能になるのが「IPアドレス表示」後なのか、「PCマーク」点灯後なのかは(タブレットを用意している間に「PCマーク」が点いてしまうので)定かではありませんが、黒江の考察通り、4TBが2TBの倍時間が掛かるということはなさそうです。
ただし、(旧モデルですが)旧2TBモデルに於いて容量の9割程度をファイルやデータで埋めた方によると(多くのファイルを入れると)起動時間は「1分以上かかる」といったフィードバックがあったという情報も得ており(実際に確認したわけではありませんが)、ストレージの使用量により起動時間に変化がありそうであることは予め承知していただけたほうが良さそうです。
(ファイル量と起動時間が比例するのであれば、2TBの上限付近と4TBの上限付近では数10秒の差が付くかもしれません。前述の情報が確かであれば上限付近の起動時間は黒江の予想は2TBが1分30秒、4TBが2分くらいでは…と思っていますが、情報お持ちの方がいらっしゃいましたらぜひ教えていただきたいです。)

※今回使用した2TBと4TBは(恥ずかしながらそんなにたくさんのハイレゾ音源を持っておらず…)それぞれ100GB以下程度しかファイルが入っていない状態での検証です。

●操作感
次に2TBと4TBそれぞれを同じように操作(選曲・フォルダ移動・各種切り替えなど)した時の挙動・レスポンスの早さですが、これに関しては2TB・4TB共に差異は感じられず、レスポンスは非常に早く(サクサクで)「全く同じ」と言ってもよい結果となりました。
しかしながら、起動時間と同様に「ファイル・データ量」と比例してレスポンスが遅くなる(重くなる)のは明白であり、数万曲・容量いっぱい程度まで埋め尽くされた場合は大分もたつきが出るのではないかと想像します。
(※操作用のスマホやタブレットの性能にも比例することがあるので大量のファイルを入れて使用される方(でもたつきを感じる場合)は高性能のタブレットなどを(まずはお借りするなどで)試してみるのも一計かと思います。)

●音質・音の傾向
一応…念のため…という気持ちで2TB・4TBにまったく同じ音源を入れて聴き比べをしてみました。
結論は(当然)「ほぼ同じ」となりましたが、心なしか4TBの方が(ごくごく僅かにS/N感が高く?)わずかにすっきりして聴こえるのは気のせい…(または個体差)なのかもしれません。
(仮に違っていたとしても、ブラインドテストやシャッフルテストをしたら当てる自信がないレベルです。^-^;)

★総論
2TBと4TBを比べた時、一番気になるだろうという2点(起動時間・操作感)を(自分が気になったので)検証してみましたが、レポートの通り2TBに対して4TBが圧倒的に不利になることはありませんでした。
…とすると(黒江なら)「どちらを買いたいか」という考察になるのですが、黒江的には(迷うことなく)『4TBモデルを買う』となります。

理由はこのDELAという製品が“基本的にはNAS”であるということがほぼすべての理由です。「4TBも音源無いでしょ」と思うこともありますが、どんどんハイレゾ化が進んで「384kHz/32bit」くらいが当たり前になるかもしれないし「DELAには音楽ファイルしか入れられない(入れてはいけない)」なんてこともないので、容量に余裕がある方は動画や画像、その他のデータやバックアップ用途にも使用しても良いのではないかと思っています。
(黒江なら(一般的なNASと同様に)電源を常時入れて使用する…かも?と思いました。※アイドル時の消費電力を計るの忘れてしまいましたが…。「電源切り忘れ防止機能」というスリープ・サスペンド機能があるようなのでそんなに大きくは消費しないはず…と思われます。&最大消費電力が60Wとなっていますが、これはおそらくDELAとDACを直接つないでトランスポートとして使用した際の最大だと予想します。)

…ということで、ディスク容量が倍であるものが価格的には2割程度の差で買えるのですから(容量が倍ということは使用できる期間もほぼ倍なので)悪い判断・選択ではないと思いますが、みなさんはどう感じられましたでしょうか。
ちなみに、4TBは(たぶん)2TBと同じHDDを2台搭載することで倍の容量となりますが、この2台のHDDを(ミラーリングという)まったく同じ内容にすることでデータの破損から保護する(その代り使えるのは2TBになる)という使い方も選ぶことができます。(2割程度の価格差でデータの保険を得ることができるとも言えます。)

“プチ”のつもりが普通サイズのレポートになってしまいましたが…少しでも参考になれば幸いです。

オーディオはじめました。 – 予算と試聴 2 -

1月 24th, 2017

またもや、しばらく間が空いてしまいましたが、購入記『オーディオはじめました。』の続きです。
(※連載はカテゴリー【購入記:オーディオはじめました】でまとめ読みできます。)

(前回)「金額的に理想的」なシステムと「音質的に理想的」な2つのシステムを比較試聴した2人。
はたしてどのような感想を持ったのでしょうか。
(略記は黒江→黒・番場→DB・湯川→HY・番場&湯川→2人)

DB『価格を抑えたシステムでもいつも聴いているものよりは全然良かったですが…。』
HY『さすがにザ・ステレオ屋さんのリファレンスシステムを聴くと圧倒されますね。(笑)』
黒「(リファレンスの方は)電源とかケーブルとかも全部うちのイチオシ固めだったから、ちょっとやりすぎたかも。(笑)」
2人『自分達は大体決心がついてきました。』
黒「何度も言うけど、無理だけは絶対しないでね。」
2人「はい。」

…と1つ書き添えておくと、(連載冒頭の)「黒江先生…!!    オーディオがしたいです……」からは、すでに数ヶ月が経っていて2人と僕はその間にも(バンドで定期的に会っているので)色々と購入へ向けての談義を重ねてきています。

黒「では、どうしましょう?」
HY『自分はめいっぱいの予算に増額して今買えるだけのものを買いたいです。』
DB『自分もそうします。買い替えていくと(最終的には)余計に出費が大きくなるっていうのはもったいない気がして…。』
黒「無理はしてないね? 最初は(全部で)10万円くらいだったけど、どのくらいに?」
2人『25万円~30万円くらいでしょうか。(前述の検討期間中にボーナスもあったそうです。)』
黒「分かりました。それじゃあ購入優先度の高いものから選んでいきましょう。」

ここで(2人にも話した)ワンポイントです。
オーディオの魅力でもあり、長所でもあるのが『システムを徐々に構築できる』という点です。
具体的に言うと『スピーカー・アンプ・プレーヤーを少しずつでも入れ替え、買い足してゆける』ということであり、(今回の2人には当てはまりませんが)ミニコンポや(お父さん、おじさんなどから)もらった(お下がりの)コンポなどをベースにして、1つ1つを自分のお気に入りに変えていくことができるということです。
例えばミニコンポを所有していてすごく気に入ったスピーカーが見つかったなら、まずはそのスピーカーを買って(しばらくはミニコンポに繋いで使い)アンプとプレーヤーはまたオーディオ貯金が貯まったら…という買い進め方が有効的となり、それを何度か繰り返すことで気が付けば理想通りのシステムに仕上げることができます。
(ミニコンポのスピーカー替えは出来ないものあり、出来ても多少の知識やスキルが必要になります。)

同じ音が出る“音楽再生機”でも一体型のものなどでは(スピーカーを接続することも、他のアンプを接続することもできないので)こうした『徐々に構築』が叶わず、結果的に“一体型の音楽再生機”を買い替えるだけに留まって(もっとちゃんとした音で聴けるチャンスを逸して)しまうので、(いつかはオーディオを組みたいなという方は)どこかのタイミングで一体型や(外部との入出力ができない)ミニコンポから思い切って卒業することが必要になります。
ただし、昨今はパソコンからオーディオを構築することも「かなり容易になってきた」ので、その辺りはまた後述させていただきたいと思います。

今回の2人はベースになるミニコンポ的なものを持ち合わせていなかったので(がんばってくれた予算を考慮して)“最低限必要なもの”からそれぞれにあったものをコーディネートしていくことになりました。

“最低限必要なもの”=“完成形のオーディオシステム”-“最初に要らないもの”

上の方程式?に基づいて、まずは「最初に要らないもの」を挙げていきます。

【(オーディオをはじめるにあたって)最初に要らないもの】
○ラック
○スピーカースタンド
○各種ケーブルの高音質モデル(付属品以外のケーブル)
○その他のアクセサリー類(電源関係など)
大雑把ですが、ざっとこんな感じでしょうか。それぞれにコメントすると…

ラックは(すでにあるなら)TV台や、メタルシェルフ(メタルラック)のような“非オーディオ専用”のもの(ラックと言うよりは収納棚)でも構いません。
ただし、家具的な収納棚は奥行きの短いものが多く、(幅40cm強の)フルサイズのアンプやプレーヤーだと収まらないことも多く、更に言えば、設置ができたとしても重量的に無理がある場合もございます。
(設置時にきしむような音がしたり、板が反ったり…と無理があるようなら避けてください。)
また、ラック代わりになるものが無い場合はシンプルに“床置き”で問題なく、アンプの上にプレーヤーなどを積み重ねていく“亀の子置き(積み)”“亀さん置き”だったり、床の空きに余裕がある方は積み重ねずに横に並べていく“平置き”でも良いと思います。
この時、(特に床がカーペットの人は)厚めの板などを先に敷いてグラグラを抑制するとよりGoodです。(ホームセンターなどで安価に買えるものでOKですが、底面と天面が並行であることが望ましいです。また、石材の方がよりシャープな音になりやすいので予算次第で検討してください。)

…ちょっと長くなりそうなので、一旦UPします。

TEAC UD-503

11月 29th, 2016

今回は(久しぶりの)TEACブランドより、USB DAC(プリ)のUD-503をレポートいたします。

【「ドカッ」「バキッ」「ゴッ」アグレッシブ系のリファレンス。】

(ザ・ステレオ屋 黒江的に)TEACと言えば、当店で激オシしていたAG-H600とPD-H600の“Reference 600シリーズ”を思い浮かべます(思い浮かぶ方がいると思われます)が、600シリーズ終焉の後、同メーカーはローエンドタイプのリリースに徹した(その他に色々なことが相まった)こともあり、しばらく遠ざかっておりました。

久しぶりに当店に合いそうな製品が登場し、満を持しての試聴レポートです。600シリーズで感じられていたTEACサウンドは健在なのでしょうか…。

■TEAC [UD-503]
●ぱっと聴いての印象は“(以前に聴いていた)TEACサウンド健在”といった第一印象です。良い意味で変わっていないことにほっとしました。
●基本的な音質も上々で(すっごくクリアといった傾向ではないものの)S/N感・(超高精細に広がるようなほどではないものの)解像感・(これでもかという程の高音の伸びがあるわけではないものの)レンジ感・ダイナミック感など基本的音質面で見劣り(聴き劣り)するようなことはありません。
●音の感触面では「やや硬質(間違いなくソフトではない)」「ウォームではないけれどキンキンの寒色系ではない」「(高音がにぎやかで派手な)明るい傾向ではない」といった印象が挙げられます。
●スピード感も「ややハイスピード」と(ハイスピードを好む黒江的に)上々ですが、音の“キレ”よりも、“えぐり”や“アタック音”“インパクト音”に長けているタイプであり、総じて『雄々しいモニター調』といった印象を持ちます。
●シャープというよりは「タイト」、鋭利というよりは「鈍器」となるので、(黒江的には)いわゆる“アグレッシブ系”に分類されるサウンドですが、(決して鈍足ではなく)最低限のハイスピード感も併せ持っているのでかなり“いい感じのドライブ感”で(ノリノリに)楽しませてくれると思います。
○前述の通り、高域がピーンと張りつめて伸びる傾向ではなく、やや低重心のサウンドです。
○透き通るようなサウンド(ステージ)でもなく、悪く言うと「やや暑苦しいタイプ」の傾向です。
○エッジ(輪郭感)もしっかりとしていますが、輪郭線は(シャープと形容するタイプに比べると)わずかに太めのテイストです。
黒江的好み度:A+ (~S-)

…といったところで、黒江が好んでいたTEACサウンドが復活したようで、(2世代以上前の)旧PRIMARE・(これらも以前の)KRELL・PASSなどのような“鳴りっぷりのよい”ハイドライブ(感)サウンドの一角はTEACにお任せできそうです。
アグレッシブ系らしく、シャウト(グロウル・ガテラル)の低音の効き方、巻き弦のガナり、タイトなベースライン、スネアの皮の厚み感、ビーターのインパクト音などなどヘヴィな音は抜群なので今時の重めメタルはもちろん、80年代のハードロックにも合いそうです。
(何よりも各パートが一体感を持って体めがけて飛んでくる、ぶつけてくるような“あの感じ”は癖になりそうな心地よさですね!)

ということで、アグレッシブ系でお考えの方にぜひお勧めさせてください。

Pioneer XDP-300R vs ONKYO DP-X1A

11月 8th, 2016

前回に続きまして、Pioneer新モデル(XDP-300R)のレポートを軸に双方の試聴比較を取り上げさせていただきます。
※(お約束)『vs』とは両者の「優劣」を決めることではありません。「比較・差異」を分析するレポートですので予めご理解ください。

【前モデルを踏襲したチューニング。】

リリース前の情報などを見るに、今回のPioneerは(前回の)ONKYO DP-X1のスペック(パーツ類)と同等のものを使う。つまり、XDP-300R=DP-X1となるのでは?といった憶測も飛びかいました。
「だとしたらDP-X1のメーカーロゴをPioneerに変えただけじゃん!」「そんなことはないはず…!」と早く実際の音を聴いて確かめたい衝動に駆られていたのですが、実機を聴いて一安心。ちゃんとDP-X1とは異なるサウンドとなっておりました。
(下記はDP-X1「A」との比較レポートです。上記の(パーツが同じとされる)DP-X1「無印」との比較ではありませんのでご注意ください。)

■Pioneer [XDP-300R]
●DP-X1Aと比べると1音1音のエッジ感(輪郭)がはっきりとしており、硬質よりのサウンドとなっております。(輪郭線は細く、彫りの深い音ではありません。)
●DP-X1Aより(良くも悪く)も低音が控えめ(抑えめ)で高音の伸びも(DP-X1Aがよりハイレベルのため)わずかに劣ります。
●音の切れ、スピード感はDP-X1Aよりも1周り2周りも上回り、エッジ感とも相まって“アグレッシブ”さも兼ね備えています。
●1音1音の分解能はDP-X1Aと同等かそれ以上であり、シンバル(金物)のクラッシュ音、ディストーションの歪み感などは非常にハイクオリティです。
●前モデル(XDP-100R)同様に癖の少ないモニター調であり、各帯域のバランス、タイトさ、シャープさ、粒立ち良さなどが好印象にあります。(DP-X1AはXDP-300Rよりも少し音楽的と言えるかと。)
○S/N感・解像度・レンジ感などはわずかに引けを取り、特に情報量(音の濃さ・太さ・密度感)はDP-X1Aに軍配が挙がります。
黒江的好み度:S- (前モデルはA+(~S-))

…といった感じですので、端的に言えばPioneerの方(XDP-300R)は(前回と同じように)ややシャープな音作り、ONKYOの方(DP-X1A)はニュートラル(中庸)を意識した音作りの印象を受けます。(黒江的に言わせれば硬質でモニター調のXDP-300Rの方が正確な音に感じるのですが…。)
2機種を比べるとやはり“ザ・ステレオ屋”的なリファレンスはXDP-300Rですので、そちら寄り(ロック・メタル、ハイスピード系)の方にはXDP-300Rをお勧めし、女性ボーカルやクラシックなどまでオールジャンルで聴きたいという方はDP-X1Aをお勧めしたいと思います。

なお、モニター調と音楽的、ハイスピードとニュートラルなどなど、両者(2機種)を対角的に表している部分もありますが、あくまで両者はよく似たサウンド傾向にあり、Pioneerが「硬質寄り」だからといってONKYOが「ウォームで緩々のサウンド」ということではありません。
両者ともにクリア系を基調とし、音に緩みや膨らみのないシャープさを持っている傾向となります。

…と言うことで、Pioneer・ONKYO共に小幅ながらも(音が大変わりすることなく)確実・堅実なブラッシュアップが図れている良リリースだと思っております!

P.S.
今回もDSPモードやEQなどはすべてオフ、(黒江はバランスの音があまり好きではないので)アンバランスによるヘッドフォン試聴とLINE出力試聴での結果となります。

ONKYO DP-X1A

11月 2nd, 2016

今回はONKYOのヒット製品「DP-X1」の後継モデルを(速報気味に)レポートいたします。

【文字通りのブラッシュアップモデル。】

昔からの機器の型番ルール?(習わし)では、前モデルの最後尾に「A」が付くのは改良版である印。…と言われていますが、正にこのDP-X1Aはその名(型名)の通りに前モデルを1まわり、2まわり成長させたようなモデルになっています。

今回は前モデルDP-X1と新モデルDP-X1Aを同時比較試聴して2台の音の違いを分析できましたので、いつものように(あれこれと)述べさせていただきます。
(なお、前モデル同様にDSPやEQなどをすべてオフ、ゲインはHighで試聴しております。)

■ONKYO [DP-X1A]
●前モデルよりもS/N感・解像度・音の切れ、見通しなどが1ランク向上しています。(前モデルも数あるDAPに於いてトップクラスでしたが…。)
●音のバランス感や音の傾向は前モデルと同様で、バランスは(高域・中域・低域などが強く主張することなく)良好、音に癖も無くクリア系ストレートサウンドということには変わりありません。
●前モデルと同じく「クリア系ストレートサウンド」が基調でありつつ、少し上品で、わずかに艶やか(ウェット)な印象も同じです。
●S/N感が更によくなったことでの相乗効果か、抜け・切れが向上していて、なかなかのハイスピードサウンドに生まれ変わっています。
●(黒江的には)悪くなった点は見当たらず、全体的に文字通りのブラッシュアップモデルと位置付けて良いのではないかと思います。
黒江的好み度:A+ (前モデルはA)

…と、(おそらく大幅な変更はしていないと思うので)「A」を加えるだけの改良に留めたのが良い結果に繋がっていると考察しています。
MQAへの対応などのほかに、ジャックの強化なども施されているようなので(前モデルでは)「様子を見ていた方」「サウンドがあと少しだった方」、前モデルをお持ちの方でも「もう少しスピード感やキレが欲しかった方」などにはお勧めです。
(※Pioneerの新モデルも後日レポートしますので(特にメタル系などの方は)後日のレポートを見ていただいてから照準を合わせるのも良さそうです。)

DELA HA-N1AH40/2 & HA-N1AH20/2

10月 26th, 2016

今回はDELAのNewモデルをご紹介させていただきます。
(※今回の内容はある程度オーディオやDELAについて分かっている方向けですので予めご了承ください。)

【静かなる正統進化。】

DELAは一言でいえば「高級NAS」と称される製品です。その「NAS」とは何であるかと言うと“Network Attached Storage”(ネットワークに所属(加入)しているストレージ(記憶装置))ということになり、簡潔に言うなら(USBとかではなく)「ネットワークで接続されている外付けHDD」といったものであります。

NASは(主な用途との関係で)大容量を求められる傾向なので記憶装置には(より大容量なものが揃っている)ハードディスク(HDD)を搭載したものが多く、上位モデル(高価)には(より書き込み読み込み速度の速い)SSDを搭載しているモデルに分かれます。
この「外付けHDD/SSD(的なもの)」にネットワーク部を加えることでNASが成立しているのですが、実はNASにはCPU(的なもの)も搭載されており、更に言うとOSが入っています。
一般的な外付けHDDなどはファイルの読み書きの際に単純にファイルのみがやり取りされているので、管理は繋がっているパソコンにすべて委ねられているのですが、NASではファイルの種類や保管されたフォルダ(部屋)などが生成されていて、NAS自身がファイル(フォルダ)の管理の一部を担っています。

パソコンからの指示で家(ディスク)や部屋(フォルダ)に入るのが外付けHDD、玄関先で名前(ファイルの種類)や住所(フォルダ)を訪問記録などに書き込んでから入るのがNAS…といった感じです。(分かっている方向けなのでこんな説明は不要かとは思いますが…。)

…と、DELAの話に戻りますが、DELAはこのようなNASの高級バージョンとは言うものの、最先端のCPUを搭載しているとか、ハイパフォーマンスのグラフィック用チップが搭載されている…といった高性能さはありません。(むしろ軽快に動作するのが大前提で、必要最小限のCPUやチップにした方が発熱なども少ないのでオーバースペックにならないパーツを使うのが正解です。)

では、その高価な分はどのようなところにあてがわれているのかというと…

1.まずは一目見て分かるボディ部。(高級そうに見える…というのは冗談ですが、堅牢なボディとすることで振動対策やノイズ対策に繋げています。)
2.徹底的な内部のノイズ対策。(NASは結果的に“ちょっとしたパソコン”であるため、CPUやメモリー、ディスプレイ部などからのノイズ成分がHDD/SSDやデータの入出力部に影響を及ぼします。これらを内部の部屋を分けたり、シールドすることでノイズの干渉を抑えています。)
3.電源部・端子部などの高級化。(メイン基盤をはじめに、電源部や端子に良質なパーツを採用して高音質化を図っています。)
4.HDDやSSDの吟味。(HDDやSSDにも様々なモデルがあるため、より高音質(に感じられた)なものを採用しています。)

…とメーカーカタログみたいなことを書き出してしまいましたが(笑)、要は普通のNASをオーディオ用のNASにするために細かいところまで精査している…ということに間違いはありません。

肝心の音質ですが、まずは普通のNASと旧DELA(HA-N1AH20)を比較試聴してみると…
●S/N感が1ヴェール上がる。(1音1音のノイズ感には大きな差は出ませんが、いわゆるサウンドステージのノイズフロアが低減して全体のすっきり感が上がります。)
●情報量が上がる。(全体的に音の量感が上がり、しっかりとした音になります。)
…(双方ともにまったく同じデータであることからも)超激変!という結果ではありませんが、音質の向上は確かだと思います。(理由は分かりません…。^-^;)

次に、新DELA(HA-N1AH20/2)と旧DALA[/2の有無]の比較試聴です。
■DELA [HA-N1AH40/2][HA-N1AH20/2]
●旧DELAと比べて新DELAは更にS/N感が1ヴェール向上し、見通しが良くなっています。
●見通しが良くなった相乗効果で、抜け感や音の切れ、スピード感が向上しています。
●全体のセパレーションも良くなり、各パートの分離感が向上しています。
●情報量がより上がり、微小音(弱音)の再現性が高まっています。

…と、普通のNASと旧DELAの比較と同じように、「激変!」「全然違う!」とはならないものの、1つ1つはわずかながらも全体的に基本的な音質が向上しております。
なお、旧DELAの情報量の向上は「少し濃くなった」ような(黒江的にはあまり好ましくない)印象も受けましたが、新DELAの情報量の向上は「高域や中域の音数(分解能)」の向上であり、音の濃さは少しさっぱりしたしたように感じられましたので新DELAは癖が皆無に近い印象です。

また、DELAの高い利便性として、(ネットワークでの使用をしなくても)USB DACへのSEND(センド)機能があります。
これはDELAの(HDD/SSD)中に入っているデータを手持ちのUSB DACへ(USB)出力してくれるものであり、USB DACをパソコンに繋いで得られる音質よりも格段に良い音質を得ることができます。
この機能によってネットワークプレーヤー(ネットワーク機能)は無いけれどお気に入りのDACを所有している方もNASの利便さにあやかることができ、且つ音質の良さもあって(ネットワーク接続できるけど)あえてUSB接続で使用するということも可能になるため、製品の使い勝手はとても良いものとなっています。

…ということで、期待通りの新製品となりました。ご興味あります方はぜひお問い合わせいただければと思います。

ONKYO NS-6170 (and NS-6130)

10月 5th, 2016

ONKYO (& Pioneer)からリリースされた、この秋期待の新製品を早速レポートしたいと思います。

【無表情でも情熱的なモダンニュートラル。】

DAPのDP-X1とXDP-100Rが(ほぼ共通部品の)兄弟機であったので、まず先に『N-70AやN-50Aをベースにされたモデルでは?』と思いメーカーに問い合わせたところ基本的にONKYOの完全オリジナル設計(開発)とのこと、以前にPioneer N-70Aには太鼓判を押した黒江的レビューですが、ONKYOさんにも“大きな判子”は押せるのでしょうか…。

■ONKYO [NS-6170]
●S/N感・レンジの広さ・解像度・情報量などなど、基本的音質は上々であり「お値段以上」と言えるサウンドです。
●ややしっかりめの輪郭感で明瞭な音像、適度に広がりのあるサウンドステージ、(低音がブーストされることなく、高音が耳に刺さることなく、)凸凹感の無いバランスの取れたレンジ感と、いわゆる隙の無い(優等生的)ウェルバランス型となっています。
●これらに加えて、黒江的評価ポイントが高かったのが硬軟寒暖の描き分けが上手くできている点です。クール・ウォーム・ウェット・ドライ・ソフト(マイルド)・ハードといった偏りがなく、淡々と鳴っているようで1音1音の質感をしっかりと表現できており、簡単そうに見えてなかなか難しいところができているのには好印象を抱きました。
●後方から突き抜けるような抜け感はあまり感じられないものの、(黒江的に言うと)いわゆるアグレッシブ系タイプであり、高分解で体を通り抜けるというよりは、しっかりと体に音が当たってくる“鳴りっぷりの良い”“エネルギッシュ”な傾向です。
○スピード感は中速よりはハイスピード側に位置する“やや速め”といったところで、個人的には一番残念な点ではありました。(…が、鈍足ではないので十分かとは思います。ハイスピードなマイリファレンスに慣れ過ぎてしまってるので。^-^;)
○加えて、あまり分析的なサウンドではないため(もちろん粗暴・粗雑なんてことは皆無ですが)、1音1音のきめ細かさや緻密さを強く求める方にはややフィットしないかもしれません。
黒江的好み度:A+

…ということで、黒江的にはスピード感(も惜しい!)以外は◎(二重丸)を付けてあげたいサウンドでした。
気に入った(気になった)ポイントは前述にもあるようにシャウトとディストーションサウンドを巧みに描き分けて共存させられる点で、シャウトはしっかりと擦れ具合を出しつつも唸りや嗚咽の(喉の)熱気感があって良好、ギターも巻き弦のビリビリとした物理的振動の歪みとエフェクトの歪みがちゃんとブレンドされていて良好、何よりもこれらの肉体的・機械的な双方を同時に鳴らし分けてくれるところはとても魅力的でした。

なお、(昨今のONKYOの傾向?)DP-X1とNS-6170には共通する点(S/N感・レンジの広さ・解像度・情報量などなど、基本的音質は上々など)も多く、音作り・音決めのベースが同様(の源流)にあるような気がしました。
とは言え、DP-X1はスッキリ・クリア系、NS-6170はしっかり・アグレッシブ系なので源流からそれぞれ枝分かれした感じかと考察しています。
(DP-X1を端正とするなら、NS-6170は精悍と言った感じです。)

歌物からJ-POP/J-ROCK、アコースティックからメタルまで幅広く聴かれる方にはお勧めしやすい製品となっておりますので、ぜひ試聴等をしていただければと思います。

P.S.
NS-6130は…ローコストモデルであることからも察していただければと思いますが、基本的にはノーコメントとさせていただこうかと思います。
低音の量感が欲しい方や、ドスン・どっしりとした鳴りを求める方にはフィットしやすいかと思っております。

CHORD DAVE

9月 16th, 2016

今回は久しぶりの(高額)ハイエンドモデルではありますが、個人的に高く評価させていただいたモデルとなりましたので特別編としてレポートしたいと思います。

【広大で透き通るサウンドステージにふっと音が沸き上がる。】

まずはじめに、このDAVE(デイブ)というD/Aコンバーターは汎用のDACチップを使用せずにFPGAという独自のプログラム(処理)を走らせて「デジタル→アナログ変換を行っている」という一般的な製品とは一線を画するポジションの製品であることがアイデンティティであり、魅力であることが大きな存在感となっています。

そのこと(汎用DACではない)がどういうことなのかと言うと、(音源の)デジタルデータは“0”か“1”であり、わずかコンマ何秒の音を作るためにデジタル(データ)をアナログ(波形)に変換する小さな回路をDAC(チップ回路)と呼ぶのですが(例えば“1010101010101010”というデータをDACに入れると“ザッ”という音に変換れて出てくる)、このDACチップというものが全世界で数社から製造され、ほとんどのオーディオ(音が出るものはすべて)メーカーがいずれかのDACチップを採用し、搭載しています。
(オーディオで有名どころなDACチップのメーカーは[]内は傘下企業等、Texas Instruments[Burr-Brown]/旭化成/Cirrus Logic[Wolfson]/ESSなどがありますが、それぞれのチップメーカー毎に(同じデータを入力しても)少しニュアンスの異なる音の出力が得られるということが一般的です。※もちろん、同じデータから出てくる音(ピアノ・ドラム・ギター・ボーカルなど(の混声))は基本的には全く同じ音です。)

これに対して、CHORDのDAVEはFPGAという(中身のプログラムが書き換えられる)マイコンやCPUのようなチップを独自でプログラミング・設計し、汎用DACの代わりに用いています。
言わば、同じデータから他のどのメーカーとも異なるニュアンスの音を取り出すことができ、唯一無二のサウンドを再現・表現できるということになります。

ただし、黒江が評価したのはこの“唯一無二”“独自”“アイデンティティ”などといった点ではなく、そのフィロソフィーと言いますか、(汎用DACでは聞かれない)デコード(演算)への考え方・取り組み方です。(仔細は割愛します。)
端的に言えば、“聴き心地のいい音”や“美しい音”ではなく、“より正しい音”や“録音に忠実で鮮度の高い音”を目指されているという面です。

…ということで、いつものレポートに入りたいと思います。

■CHORD [DAVE]
●まず目を見張るのが、S/N感の高さです。1音1音にも、広がるサウンドステージにも雑味が感じられません。
●フッと(静かに)沈み込む低音から、きれいに昇華する倍音までレンジの広さは当然のように自然なレンジ感を持っています。
●歪み(っぽさ)が(今まで聴いてきたなかでも)極限的に低く、少なく感じられ、どんな音もスーッと耳に入って(耳の中で暴れたり、絡まったり、溜まったりせず消費され)吸い込まれてゆくような感じを覚えます。
●伴って(1音1音の)分解能も非常に高く、(サウンドステージの)解像度もハイレゾリューション。音と音の存在感を感じつつ、本当に透き通るような見通しが魅力的です。
●音の濃淡は少しパステル拠りで、原色ギトギトといった傾向ではありません。やや艶感もあり、少しウェットな路線と思います。
●スピード感・キレ・抜けは上々ですが、(黒江が好むような)ハイスピード系と比べると少し減速したポジションです。ただし、これは音が“スムース過ぎるあまりに少しゆっくり聴こえる”(猛スピードで動いていると周囲が止まっているように見える)ようなこととの影響も考えられ、局面(出音)によってはスピード感が増減するような印象が残りました。
黒江的好み度:採点不能

一見すると“美音系”のように思われるかもしれませんが、あくまで“解析的”なサウンドであり、どんな録音も正しく再生・再現するという基本線を持っているのは賞賛の一言に尽きます。

…ということで、久しぶりに極上サウンドと呼べるような製品に出会い、「好む好まないを超えて高く評価したい」と思わせてもらいました。
アタック音が、インパクト音が、畳み掛けてくるマッシブさが、アグレッシブさが…とはなりませんが、少し遠目でステージを見るような再現性は非常に優秀で、決して“超メタルに合う”サウンドではありませんでしたが“メタルもなかなか良い”とは自信を持って言える相性であり、ディストーションサウンドなども非常にきれいに再現されていたのが印象的です。
もちろんもちろん、歌物やPOPSは文句のつけようがありませんし、ストリングスやアコースティックなども非常に優秀でした。

『高嶺の花』ではありますが、機会があればぜひ聴いていただきたい一品(ひとしな)でございました。

P.S.
黒江は宝くじでも当たればサブ機として買わせてもらいたいな…と。
&こういうのがじっくり聴けるのは役得でございました。(笑)