Archive for 9月, 2010

DYNAUDIO Excite X12 NEUTRAL & NATURAL

水曜日, 9月 29th, 2010

今回はDYNAUDIOのエントリーコンパクトモニター「Excite X12」をレポートいたします。

【あらゆるジャンルを“そつなくこなす”というキャラクターの持ち主。】

いつもながら若干「????」な見出しとなってしまいましたが、こんな表現に尽きるモニターだと思います。
まず(これまたいつもながらですが)、黒江的には非常に気に入った「オススメしたいモニター」に軽ーくランクインしてしまった実力機であると前置きさせてください。

その上で、大体の位置付けや音の傾向を他のオススメモニターとの比較レポートにてご紹介いたします。

●基本的には「色付け・癖が少なく、バランスの整ったハイスピードモニター」ですが、HAYDNと同じく若干しっとり・ウェットな音色(音触)感があります。
 (HAYDNは冷たい感じの冷ややかな湿度(水気)だったのに対し、Excite X12はもう少し常温寄りの印象で、キンキンとしたヒステリックさはありません。)

●解像度が高く、広がりのあるサウンド。いわゆる音場が(当店がオススメしているモニターの中では)かなり広い方で、リスニングポイント(定位・焦点)から多少ずれても大きく聴こえ方が変わる(HAYDNのような)「ピンポイント」タイプではありません。

●リアバスレフ(背面に(低域を補強する)バスレフポート(穴)が空いているもの)の割りには低域の回り込み、被りが少なく(当店の試聴室だと左右後方共にかなり広く取れるからでもありますが)、久しぶりにリアバスレフもので「合格点」を付けられるものに出会いました。

●レンジは「ちょっとだけ狭め」。SCM7に比べると低域はやや浅く、HAYDNに比べると高域は少しおとなしめの印象で、特に高域方向はスーパーツイーターで補強することによってよりハイスピードとなることも期待できるので、ぜひ実践してみたいところです。

●少々残念なのは「アンプのパワーが必要な点」。能率は86dBと決して極端に低くはないのですが、数値以上に「なかなか(本領発揮し)鳴ってくれない」という印象で、Iconなどの小型アンプでは期待した音にちょっとならなそう…。ですが、だからと言ってそんなに大きなアンプが必要と言うわけでもなく、当店で(ここ1年くらいの集計で)一番多く売れている「TEAC AG-H600」で充分にドライブできますのでご安心を。

…と、大体はこんな感じです。
また意味不明なことを言うかもしれませんが、
「音のキャラクター感はATC SCM7とrevolver MUSIC 3の中間点くらい」
「音の細かさはHAYDNにも近いものがある」

…と、なんだかいいトコ取りみたいになりますが、そんなわけでもなく
「抜けが良くって、ハリもあるし(黒江的にはスネアのサウンドがかなりツボ)、音の密度感も上々。なんだけど、どれも頭抜けていない・突出した武器がない。」
そんな印象でもあります。

それでも、「手の平サイズ」とまではいかなくても、かなり小さなモニターですし、見出しの通り「どんなジャンルを鳴らしても悪い印象を抱かせない」「速い曲は速く、遅い曲は遅く」「スピードも切れ味もあるのに聴き疲れるサウンドでもない」という何だか万能な感じが憎いヤツです。

とにかく、とりあえず、「ザ・ステレオ屋イチオシ・オススメモニター」に認定ですので、みなさん要注目にてお願いいたします!
(…あ、なんといっても定価126,000円という大プッシュの中では最安値なのも忘れずに書いておきます!→販売価格はお問い合わせください。)

NuForce Icon2 and Icon uDAC2(μDAC2) #2

火曜日, 9月 21st, 2010

前回の続きです。

今回は「uDAC-2」を中心に、こちらは簡潔に行きましょう。(^-^;

こちらは前回のIcon2とは異なり、基本的には(構造がシンプルなためか)大きな音質傾向の変化は感じられず、いわゆるヴァージョンアップ・アップグレードといった基本性能の向上だけのようです。

そのため「悪くなった」や「傾向が変わった」と思われる点はなく、純粋に成長を遂げたMK2モデルと位置付けてよいと思います。

成長点を簡潔に述べますと…
●「96kHz/24bit」に対応したDACにより、情報量が高くなりました。
●ヴェールを1枚はがしたようなS/N感の向上、見通しの良さが顕著です。
●レンジ感や解像度、音の広がりも更に向上した印象です。
…と、あっさりとしたものです。(笑)

以前(初代モデル)のレポートでも述べたとおり、uDACは少し「オーディオ的」なサウンドで「情報量」と言われる音の濃さ・太さに軸を置いた印象があり、やや軟らかさや、音の丸み、音の伸びなどを強調してくる傾向も前モデルと変わりません。(それでも、初代モデルからすれば音の澄み方=透明感が向上した分、だいぶん癖が少なくなったとも言えますが。)

そういう意味では、同じくNuForceの「Icon mobile」の方が「モニター的」なサウンドで「鮮度感」と言われる透明感・明瞭度に軸を置いた印象で、僕個人としては好きなタイプです。(ただし、純粋なクオリティ≒音質はIcon uDACの方が1~2枚上手です。)
なので、シャープさを追求する方はNuForce「Icon mobile」も一聴の上、ご判断いただけると良いかと思います。

なお、Icon2のUSB入力の再生音とも比較しましたが、おそらく「Icon2とuDAC2」の両機のDACは共通のものであると思われます。
ですので、Icon2のUSBサウンドもこのuDACとほぼ同じ傾向であると考えていただいて構いません。(「ほぼ」とするのは、アンプ部との絡みでややIcon2の方がシャープ・パワフル・ハイスピードに感じられたからです。)

Icon2・uDAC2ともに、初回分もあと僅かです!お早めにご利用ください。

uDAC2は初代とまったく見分けがつかないので箱ごとパシャリ。(笑)

uDAC2は初代とまったく見分けがつかないので箱ごとパシャリ。(笑)

NuForce Icon2 and Icon uDAC2(μDAC2)

土曜日, 9月 18th, 2010

タイトル通り、本日発売のNuForce Iconシリーズをいち早く試聴することが出来ましたので、早速レポートします。

【完璧な進化を遂げたコンパクトアンプ】

とりあえず、結論から書きましょう。
Icon2は『アンプとして成り立つレベルまで進化した』と言え、個人的にはかなりの高評価となりました!

幾つかポイントがありますが、

まず、もっとも評価したいのが…
車で言うエンジン(スピーカーを大きな音で鳴らせるか)が、12Wから24Wと倍増したことはスペックで明確ですが、きちんとボリュームを大きくしてスピーカーを鳴らせるようになりました。
…これは、以前の初代モデルでは『ボリュームを最大にしても音の大きさが小さく、(それでも近距離・室内・小音量で使う分には十分でしたが)アンプとしてはあまりにも非力』だったこと、
『加えて、その最大値の2/3くらいの音量以上になると、明らかに音が歪んだり割れたりしてしまうので、どのみち実用的ではなかった』ため、僕は『アンプはおまけに近い』とも表現したことがあるくらいでした。

…が、Icon2は違います。
『爆音』…とまではいきませんが、いわゆる大音量くらいまでは充分に音量を上げることが出来、(それでもある程度以上の音量になるとやはり歪んだり割れたりしてしまいますが、)かなりの音量に達するまで歪みや割れは発生しません。
(今回使用した「HAYDN GRAND SPECIAL EDITION (インピーダンス:4Ω/能率:88.5dB)」の場合、縦置きにしてちょうど(時計の短針が)12時を指すあたりが限界でした。(←かなりの音量です。))
普通の使用環境であれば非力さに悩むことがなくなることと思われます。

次に、基本的な音質の向上です。(これまた明らかに異なります。)
まずS/Nです。細かい音がよく聴こえるようになり、音の位置関係、音の粒の大きさ(面積・体積)がしっかりと分かるようになりました。
立ち上がり、音の抜け、スピード感も上々で、簡潔に言えば「Icon2を聴いた後に初代モデルを聴くとモヤモヤ・モワモワしていて聴けたものじゃない」というくらいの変化です。(但し、中音量以上の場合。)
そのくらいに1音1音がスッキリしていて、クリアになっています。

ちなみに、注目の点は付属の「ACアダプター」です。
初代Iconには25WのACアダプターが付属しており、(その非力さをカバーするために)強化電源と呼ばれる45WのACアダプターを発売した経緯がありますが、Icon2には(なんと!)60WのACアダプターが最初から付いてくるのです。
しかも、コンセントとの接続はIECインレットとなっているので、電源ケーブルの交換も可能です。(強化電源はコネクターが特殊でケーブル交換が難儀でした…。)
早速、お気に入りの電源ケーブルに交換してみたところ、期待通りに音質・傾向が改善しました。これは嬉しい誤算?でした。

以前から評価の高かった(高音質な)ヘッドホン出力も健在、パソコンのサウンドを手軽に高音質に出来るUSB-DACもスペックがほぼ倍増し、より透明感の高いサウンドになっています。
試聴をするまでは「価格がちょっと上がりすぎたかな?」…とも思っていましたが、価格差以上で十分にお釣りがくる向上だと(黒江的)太鼓判を押させていただきます。

…なのですが、必要以上には期待はしないでください(ね)。
あくまでコンパクトアンプとしての評価ですから、通常サイズ(やハーフサイズ)のアンプには及ばない点も多くありますし、「XX万円を凌駕する!」…なんてことではありません。

例えば、「ボリュームが12時以上になると歪みや割れが出る」のも、正確に言えば「ボリュームが12時以上になると歪みや割れが“目立つ”」ということであり、12時以前でも「目立たないだけで」歪んだり割れているわけです。
(もちろん、それが「良い味」を出している場合も多々ですし、個人的にはIcon2の味は「ストライク」なのでかえってプラスに捉えてしまっていますが…。笑)

とにかく、初代Iconのスピーカー出力に不満をお持ちだった方はもちろん、新たにコンパクトなオーディオを組んでみたい方にはマストなアイテムになると思います!
デザイン良し、パソコン繋いで良し、ヘッドホン繋いで良し、スピーカーもこなせるようになった「Icon2」オススメです!

今なら、各色在庫ございます!

…長くなってしまったので、一旦区切らせていただきます。続きは出来次第また更新させていただきます!

P.S.
めんどくさかったのもありますが、初代IconとIcon2は「Icon2に付属していた、まったく同じACアダプター・(付属の)SPケーブル」を使用して比較しています。

Icon2はシリアルナンバーのところにかろうじて「Icon2」と書いてあるので見分けがつきます。

Icon2はシリアルナンバーのところにかろうじて「Icon2」と書いてあるので見分けがつきます。

(奥に見えている)初代Iconとデザイン(外観&端子部)は全く同じで見分けがつきません。

(奥に見えている)初代Iconとデザイン(外観&端子部)は全く同じで見分けがつきません。