Archive for 1月, 2010

NuForce μDAC vs Icon mobile 【PC接続ヘッドホン】

土曜日, 1月 23rd, 2010

(新製品ラッシュなので仕方がありませんが…)NuForce製品が続いております!
本日は超小型USB DACの「μDAC」の登場です。

μDACはミューDAC/マイクロDACと読み、DAC(ダックと読みます。)はD/A コンバーター Digital/Analogコンバーターという意味です。
(※なぜか日本国内ではuDAC「ユーダック」と呼称されているようです…。「μ」は英字にすると「m」なので本来はエムダックの方がまだ正しい気がしますが…、語呂が近いからかな?uDACとなっているようです。)

CDやコンピューターのデジタルデータをアナログの音声信号(音)に変換するというものなのですが、それぞれに音の個性や特徴があり、(同じような製品であっても)同じ音になることはありません。

新製品のμDACはUSB接続でPCと接続し、PCの内蔵オーディオよりも高品質なサウンドを得ることが出来るというものです。ヘッドホン出力のほかに、RCA出力やデジタル出力にてオーディオやミニコンポなどに音を送ることが出来ます。

そして、比較対象にしたのは同じくNuForceの昨年のヒット商品「Icon mbile」で、こちらはiPodなどと接続して音質を向上させるものですが、同じくUSB接続にてPCのサウンドを向上させる機能が付いています。(ただし、こちらはヘッドホン出力のみ。)

(前述の通り機器が変われば音の印象も変わるのですが、それでも)今回は同じNuForce製品(メーカーの音作りにはある程度の共通性がある)ということである程度は似通った音になるかと思いきや、まったく別のメーカーなのでは?と思わされるくらいに異なったサウンドでした。

それぞれの印象をいつものように挙げてみます。

なお、今回はそれぞれをヘッドホンで聴いた印象です。(特にμDACは)他の接続方法ではかなり印象が変わってくる可能性もありますので予めご容赦ください。

【μDACはパンチ・メリハリの効いた重厚なサウンド。】
●低音が豊かで、パソコンからのサウンドというよりは重低音の利いたコンポのサウンドに近いです。
●アタック音や出だしの音のインパクトが強く、ビシビシ・ドシドシとしています。
●音のざらつきが少なく、なめらか。音が濃く、少し重め、低域よりの印象です。
●最大ボリュームはIcon mobileより2~3回り大きめ。かなりの音量まで出せます。(ただし、ある程度から上は破綻(音割れ)しやすいです。)
●S/N感・情報量・解像度は1歩リード。かなりオーディオ的なサウンドです。

【Icon mobileは粒が細かく、スッキリとした見通しの良いサウンド。】
●音の輪郭が明確で、抜け・切れのあるサウンドです。
●(黒江的には)帯域バランスが良く、フラットに近い印象。
●音に癖が無く、素直なサウンド。

…といった感じです。
僕の個人的見解ですが、オーディオ的にはμDACの方がハイレベルです。が、僕個人はIcon mobileの方が断然好きでした。
価格は同じですからお好みの方、または機能面で選ばれて買われてはいかがでしょうか。
なお、「オーディオ的にハイレベル」と書きましたが歴然とした差ではなく、S/NなどもわずかにμDACが上回る程度なのであまり気にしなくて結構です。
いずれにしても、こんな小さな(μDACはちょっと大き目のマッチ箱程度、Icon mobileはキャッシュカード10枚分程度。)デバイスでパソコンの音質が飛躍的に向上するのは感動ものです!(…まあ、パソコンの内蔵音源がひどいっちゃひどすぎなのですが…。)

後ほど「μDAC」はデジタル接続・RCA接続もレポートする予定です。

http://www.nuforce.jp/icon/icon_mobile01.html

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NuForce CDP-8 【攻撃的・新気鋭】

火曜日, 1月 19th, 2010

とうとうNuForceから待望のCDプレーヤーが発売されました!
どこよりも早く実機を入手しましたので、早速レポートさせて頂きます!

…と、たまには音以外の面から書いてみましょう。
なんだか、色々と小技が散りばめられていて、凝ってると言えば凝ってる作りです。
まず、DISCのトレー部ですが、(画像で見ると)イジェクト・サーチ・プレイ・ストップ・ポーズなどのコントロール部のすぐ下に(逆さにした)台形の枠がありますが、この部分がスーッと出てくるギミック?になっています。
それで、ちょっと驚くのが、時間表示部分までもが一緒にオープンする構造になっているのです。(…と言っても、デジタル表示パネルが出てくるのではなく、表面のプレート部だけがトレーとくっついているだけなのですが。)

そして、コントロール部はいわゆるタッチパネルになっていて、タッチするとその部分だけが強調して光って機器を操作することが出来ます。(結構感動!)
しかしながら、全体の反応はやや遅め。特にトレーのオープンがやたら遅いです。(^-^;
しかも、随分待たせてオープンした割にはちょっとの時間で勝手にクローズするというわがままぶりです。
DISCのローディングは比較的早めで、タッチパネルでの操作はちょっともたつき気味。
(外装はオマケ程度の)リモコンが付属しますが、こちらの方が快適に操作できるので許せる範囲かと…。

地味に感動したのは背面の主電源ボタンが光ること。絶対にいちいち見ないと思うのですが、やたらと背面のデザインが好きだったので珍しく画像もUPすることにしました。
個人的にデザインは「好き」でした。メーカーからのカタログ的画像だと「狙いすぎてかえってカッコ悪そう…」と思っていたのですが、現物はその画像より遙かに素敵じゃないかと…。

肝心の音ですが…
【NuForceらしからぬアグレッシブなサウンド。クールなイメージはどこへ?】
良い悪いを抜きにしてポイントを挙げてみます。
●どっしりとしたパワフル系のサウンド。
●(ですが、)決して鈍足ではなく、ハイスピードの部類に入る程度のスピード感は十分にあります。
●パステルカラーと言うよりは原色。
●ハイコントラスト。
●荒々しさと、細かさ、両面持っている傾向。
●低域の量感があり、高域はややおとなしめ。全体的にローよりのレンジ感。
●アグレッシヴで、メリハリがあって、熱い(情熱的)なサウンド。
●音の線が(NuForceにしては特に)細くなく、他のブランドと比較しても普通~やや太めの分類。
とにかく、今まで聴いてきたNuForceのサウンドとは確実に傾向が異なる印象で、淡麗さ、クールさ、モニター的といった印象はあまり持ちません。
音の傾向は以前にレポートしたPRIMAREやTEACよりのパワー・エネルギー系です。
…が、前述の通り、粗さの中にも細かさがあると言いますか、かなりビシビシと鳴ってくるタイプなのに音量を上げるのが苦ではないというなかなか不思議な魅力を持っているのですが、これは1音1音の分解、低音の解像、基本的なS/N感の高さがあるからだと考えています。

強いて言えば「電源がアダプター方式」ってところがちょっと惜しかったのですが、そのアダプター部までは電源ケーブルが交換可能なインレット端子になっているし、黒江的には「大アリ」の1台でした!

最近お気に入りの「Aura neo」とも何度も聴き比べを繰り返しましたが、切れ・スピード・シャープ感を優先するなら「neo」、パワー・低域・ドライブ感を優先するなら「CDP-8」をオススメします。(甲乙付け難し。好みで良いと思います。)
(CDプレーヤーは今までの不足感が嘘のように豊作続きです。嬉しいですが、なんでもかんでも褒めているようでちょっと複雑…。)

当面は売り切れ必至かと思われますので、ご興味のある方はお早めに!

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NuForce Stereo8.5 V3

土曜日, 1月 16th, 2010

先日の続きです。

第1世代プリの「P-8」より、落ち着いた感のある第2世代プリ「P-8S」でした。
(プリよりも1つ進んでいる)パワーの方はすでに第3世代、第2世代とはどう印象が異なるのでしょうか。

【とにかく、細かい音。淡々と鳴るサウンドは黒江好みの1つ。】

見出しの通りですが、非常に音の細かさ「分解能」が高いと感じました。
逆を言えば、ちょっと細かすぎて音にパンチが無く、スカスカとした薄味の印象とも言えます。
加えて、NuForce全般に言えるS/Nの高さ、1音1音のタイトさ(緩さがないの)は共通・一貫していると言えます。

第2世代の(と言っても第2世代からの登場なので、第1世代は存在しませんが…)「Stereo8.5 V2」は、
●音が広大に広がるタイプではなかった。
●細かさはV3に通ずるものがあったけど、もう少し1粒1粒が大きかった。(V3の粒が小さいとも。)
●ハイスピードと言うよりも、ハイ「スムース」といった印象でした。(スピード感はあるのですが、ヒュンヒュンと(体を突き抜けて)通り抜けていくような感じではなく、スッと(体の表面ギリギリを)すり抜けていくような感じです。)
●疾走感よりは躍動感の方が高く感じられた。
●スピード感はあるものの、どこか丁寧な印象。

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『思えば、このあたりからNuForceのサウンド傾向に変化が出来ていると思います。
 何と言いますか、創世記の「鮮度の高いサウンド」から、
 少しこねくり回したような…?でも、従来のサウンドを土台にされていて、少なくとも
 ねっとり、どっしりしたサウンドではなく、常に「透明で高純度」というベースがあるという感じです。
 …が、(V3の)ここへ来て、(少なくともStereo 8.5は)また鮮度感の方向に来ているような気がするのです。』
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対して「Stereo8.5 V3」は(V2よりも)、
●音に広がりがある。
●十分にハイスピードなんだけど、(音が細かいから)その速度感を体感しづらい。
●体を突き抜けていくタイプではあるものの、音の細かさから(体に当たるような・響くような感触が無く)いつの間にか通り抜けている。
●レンジが広く、高解像度。
●躍動感は(全然とは言わないけど、)あまり感じられず、疾走感の方が(まだ)感じられるサウンドです。
●(V2と同じく)スピード感はあるものの、どこか丁寧な印象。
●(特に低域の)レンジが広くなっています。(NuForceの弱みだった点が解消されてきていますね。)

…うーん。良いと思うし、(P-8Sのようなふわっと感はないので)好きな音なんです。
…けど、あっさりし過ぎていると言いますか、ある意味出来すぎている音なんです。
組み合わせる時は、あえてグンッと力のあるプリを組み合わせるとか、あえて(密度感の高い)ATCのような厚みのあるモニターと組み合わせるなど、そういった取り入れ方も良いのかもしれません。
(JBLの4312Dなんかを鳴らしてみると面白いかもなぁ…と思ったりしつつ。)

【時期がずれながらも、サウンドの傾向は変化し続けている。】

まとめると、P-8からP-8Sになったタイミングの方が早く、遅れてV2がV3となっていることからも
最初にP-8を変化させてP-8Sになったけど、V2と組み合わせたところしっくりこなかったのでV3の開発に踏み切った。
(または、そうすることが元々の予定だった。)…と、推測します。

これは、同社が取っている「トレードイン制度」(差額を払えば常に最新のVer.にしてもらえる。)にも起因している気がします。
ただ、その制度がある安心感で(悪く言えば)音の方向性が定まっていないまま、しばらくはその都度その都度サウンドの傾向を変えてくる可能性もあるのかな…とも思いました。

僕的には(セパレートの組み合わせなら)第1世代の「P-8」と第3世代の「Stereo 8.5 V3」がベストな組み合わせと感じました。
無理にNuForce同士で組み合わせなくても良いと思いますので、それぞれの持ち味を上手く取り入れてあげて頂ければと思います。

http://www.nuforce.jp/products/stereo8_5v3_01.html

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NuForce P-8S

木曜日, 1月 14th, 2010

年末年始はさすがに忙しく、数々の原稿などもあってご無沙汰になってしまいました。

まずは「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。」からですね。

新年一発目は昨年からの続編「NuForceの第3世代コンポーネント」です。

まずは…
P-8S
【広大な音の広がりと、エアリーなサウンド。】
正直言うと、(黒江的には)以前のP-8(S無し)の方が好きです。
よりS/N感は上がっているし、解像度も向上しているのですが、なんだか取っても真面目くん・優等生になってしまった気がします。
「個性がどうの」ということではなく、お堅いと言うか、お役所仕事…という印象のサウンドなのです。
それでいて結構作業はあっさりとしていて、かなり「自分の方程式に当てはめてくるタイプ」という感じです。
具体的には…
●音を床からフローティングさせる。(例えばこのプリを入れるだけで、地べたを這うようなサウンドが一変してふわっと浮くような。)
●上下左右&前方に音を広げて聴かせてくる。(P-8にあった奥からスッと抜けてくる感じではないのです。)
●サラサラときめ細かいが、迫力に欠けるとも言える音。(解像度は非常に高いと思いますが…。)
…と、なんだか初期のNuForceにあった「クールさの中の荒っぽさ」みたいなものが失われている気がしました。
…と、ここで色々とお話を伺うと、やはりその裏付けとなることがあるようです。(公には出来ませんので、ぼやっとしたことだけですみません。)

なお、前回のIA-7 V3のレポートでも触れましたが、僕は(すぐにV2になる予定だったので)日本では発売されなかった、第1世代(V1)からずっとNuForce(特にIA-7)を聴いてきております。
そのことで(日本未発売ということを混同しており)、少し自分でも整理しきれていない表現があるのですが、NuForceのコンポーネント(IA-7・P-8・Reference 9・Stereo 8.5など)はお互いに相互関係を持っており、(P-8がP-8SになったらIA-7のプリ部もやがて変更されるなど)フェイシアの変更~現在のV3と、それは続いています。

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ここで一旦整理させてください。
V1~V3というのは、実はパワー部の回路のこと「のみ」を指している言葉で、プリに関してはまだ2世代目「S有りか、S無し」 しかないという点です。
根本的には書き直しませんが、前回のIA-7 V3のレポートはそこら辺が少し混同気味になっています…。(すみません。)
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なので、先日のIA-7 V3にはこの新しいプリ部が使用されているのだと思うのですが、このP-8S1台分の体積に向こうはパワー部まで積んでいるのですから(特に体積の小さいNuForceでは)まったく同じものを積めるワケがありません。
その事からもおそらくですが、IA-7 V3とP-8Sのプリ部は「基本的な回路構成は同じでも少し違ったもの」であると推測しています。
これを裏付ける理由がもう1つあります。
それは、以前に当店では当時のP-8(S無し=プリ部に関しては第1世代)ではなく、あえてIA-7E(V2)のプリ部をプリアンプとして使用していたのです。
これは「単純に聴き比べたらそっち(IA-7Eのプリ部)の方が僕としては良かった。好きだったからです。」
プリの第1世代の時から、より簡素化・小型化されたIA-7Eのプリ部とP-8とでは明らかに異なるサウンドだったということです。

ちなみに、実はそんなに大袈裟に書くほどは異なっていませんでした。
P-8はIA-7Eのプリ部と比べると…
●明らかにS/Nが良かった。
●1周り~2周り音に広がりがあった。
●解像度が高かった。
逆にIA-7EはP-8のプリ部と比べると…
●スピード感が1枚上手だった。
●鋭角と言いますか、幾分シャープだった。
…という程度で、ベースとなるキャラクターはまったく同じでしたから「一卵性双生児」とでも言いましょうか、そんな感じであったわけです。

ちょっと旧モデルの話がくどくなりましたが、今回のP-8SとIA-7 V3も共通性の高い「プリ部」を使われている点は間違いなく同じ様です。が、僕の予想では「P-8とIA-7Eのプリ部に感じられた差異」よりも、「P-8SとIA-7 V3のプリ部に感じられる差異」の方が大きいと予測しているということなのです。(もしくは新フェイシア移行にあたって更に変更があった…?)

その辺も含めて、次回は「Stereo 8.5 V3」を解説しつつ、僕なりのまとめを書きたいと思います。

http://www.nuforce.jp/products/p8s_01.html

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