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CEC CD3N

木曜日, 10月 10th, 2013

しばらく新製品のリリースが途絶えていた国内のオーディオ専門メーカー「CEC」より、待望のニューリリースが登場いたしました。
満を持して(?)登場したのは、同社が「唯一無二」を誇るベルトドライブCDプレーヤーということで、色々と期待しつつ試聴させていただきました。
その思いや感想を早速レポートしたいと思います。

【ベルトドライブらしさは少し奥の方へ…。】

いつもの如く、分かったような分からないような見出しから考えさせていただきましたが、(なーんとなく)こんな印象を持ったインプレッションとなりました。

(これまたいつもの通り、)まずは箇条していきたいと思いますが、以前のベルトドライブ機(の記憶)と当店が基準機にしているAura neoとの比較を基調としていますので予めご了承ください。
なお、まず先に申しておきますと「黒江的にはいわゆる“好みのサウンド傾向”ではない」ので、ハイスピードやソリッド傾向を求められている方には参考にならないと思われます。
しかしながら、黒江的に「CDプレーヤーとしてのクオリティは太鼓判!」と音質面ではかなりの高評価であることも先に述べさせていただきます。

■CEC [CD3N]
●基本的なS/N感・解像度・レンジ感などなど、オーディオの基本的な音質面は十分であり、同価格帯の中ではCPが高い分類であると思われます。
●以前のベルトドライブCDプレーヤーは音の線が太めで、タッチはマイルド、暖色系、…といったイメージでしたが、本機は音の線は普通~ごくわずかに細め、タッチはサラッとしていて、温度感は中庸~ごくわずかに寒色系…と、「逆」とは言いませんが、かなり中庸路線(ニュートラルで癖の少ない解像度系)に寄せてきています。
(黒江的に例えるなら旧モデルは「うどん」、新モデルは「パスタ」って感じです。旧モデルの方がどっしり、モチッとしていて、温もりのある感じ、新モデルはさっぱり、ツルっとしている感じに思いました。)
●各帯域は超高級機のような広大なレンジ感ではありませんが、過不足のないレンジ感であり、高域が出しゃばることもなく、低域が暴走することもなく、極めてバランスの良い帯域バランスが好印象です。
●1音1音の粒は細かく繊細で、1粒1粒がとても丁寧に描き出されている印象を持ちました。
●パッと聴いた第一印象として「優しい音だな」と思った通り、きめの細かなサウンドながら押し付けてくる感じが無く、ソフトで落ち着いている傾向だと思います。
●ドライかウェットかで言えばウェット寄り、硬質・軟質で言えば中庸、キレやエッジはハッキリ明瞭ではありませんが、ぼんやりぼやけることもなくスムースな輪郭です。
○悪く言えば「ちょっと遠くで鳴っている」「音場感・音像感・1音1音すべてが少し薄い」といった表現にもなりますが、こういった傾向を好まれる方には決して短所にならない音質であると思います。
○また、時にはこれがウィークポイントになるのではないかと思いますが、少なくとも鈍足ではなく思いのほかにスピード感のあるサウンドです。総じて、旧モデルのように「もっとベルトドライブらしい音」(良い意味で鈍足で、滑らかで、濃厚な感じ)でも良かったのではないかと思いますが、癖のあるサウンドは好みの差を生み出しやすいのか、他のブランドの動きと同様にCECも少し「今風の解像度型サウンド」に舵を切ったようです。

なお、フィルター機能が搭載されており、オンオフすることで若干の音色変化を楽しむことが出来ますが、オン(青LEDが点灯)にすると全体の余韻が長くなりスーッと音場が流れるように消えてゆく印象で、これは正に以前のベルトドライブCDプレーヤーのテイストに近い余韻感になるので(試聴の際は)ぜひこの機能もお試しいただければと思います。(&僕の見解ではフィルターの特性と聴感の印象が異なるので確かめていただけた方が良いと思います。)

…といった感じでしたが、普段の黒江(※後述参照)なら「好きじゃない」と言って終わりそうなガシガシ来ないサウンドでもしばらく聴き入ってしまうくらいに完成度が高く、(久しぶりの新製品に)CECさんを再評価させていただきました。

SACDがかかるわけでもなく、USB DACとして使えるわけでもなく、今時とっても素朴な“純然たるCDプレーヤー”ではありますが、音質は間違いなくハイレベルとなっておりますのでご検討の1つに加えていただけると幸いです。

P.S.(※後述)
僕だって、「ぼやけたノロノロのマイルドサウンドは嫌だけど、いつもギンギンギャンギャンのソリッドサウンドで聴きたいわけじゃない…」のです。
そういう(曲の)時はこういったサウンドは本当に好きなので、『“裏”黒江的好み度はA以上』でもいいかも…と思いました。