Archive for 9月, 2014

Pioneer U-05

火曜日, 9月 9th, 2014

結果的に、(my-musicstyleの関係で)ブログは長期間の休業状態となってしまいました…が、またポツポツと再開したいと思います。

再開第1弾はPioneerが放つ注目の新製品です。
(前評判も良く)すでに好調のスタートを切っている当製品ですが、ザ・ステレオ屋(黒江)流のレポートでご紹介したいと思います。

【ハイクオリティな“走攻守”と多彩なポジションをこなせるユーティリティープレイヤー。】

(黒江的には)N-50・A-70と立て続けに高評価させていただいているPioneerからの(しかも、かなり気合いを入れた)新製品ということで嫌でも期待は高まりますが、前評判や事前の情報からすると個人的には苦手なESS社のDACをメインに使用している模様なので、正直「今回はどうかな…」と思いつつの試聴となりました。

(余談:…そう言えばPioneerの音傾向を好んだのは(N-50以前に)X-Z9/7(←スピーカーを抜いたコアユニット部のみ)・PDX-Z10あたりからだったので、僕自身は結構長いことPioneerファンなんだな…なんて今さら気が付いております。…って、X-Z9(←スピーカーを抜いたコアユニット部のみ)は欧州でいい感じの賞を取ってるんですね!『コア部のみ』ですが…。^-^; …でも、僕と同じ感性の審査員がいらっしゃるみたいで大変光栄でした。)

閑話休題

■Pioneer [U-05]
●パッと聴きの第一印象は“ハイスピードで明快・明瞭”といったスピード系のサウンドです。
●メリハリの効いた傾向で1音1音がハッキリとしており、低音もタイト且つスピード感があって膨らみやブーミーさなどはありません。
●「スピード系」と前置きしながらも、音の粒が力強く飛んでくる“ドライブ感”も併せ持っており、“マッシブ”という言葉が合いそうな「アグレッシブ系」のテイストも持ち合わせています。
●音の輪郭は(黒江の最も好むEssensio・neo・N-50などに比べると)少し太めの線ですが、例えるなら、0.3mmの(シャープペン)芯が0.7mmになったくらいの差異であり、(この辺をかなり気にされる方以外は)そこまで気にする必要はないレベルだと思います。
●音の濃さも(ややあっさり、薄めのEssensio・neo・N-50などに比べると)やや色濃く、しっかりとした発色加減に感じられます。
●…と、良く言えば「ハイスピードを基調としたサウンドにアグレッシブ系が交ざっている」…正に“理想的なサウンド”とも言えそうなのですが…。
○悪く言えば「スピードもアグレッシブさも上々ではあるけど、(2つを両立しようとした代償で)1音1音が少しだけ粗め・雑」に感じられる印象もありました。「少し中途半端なところに着地してしまった感」がある傾向です。
具体的には…
○(Essensio・neo・N-50などと比較すると)もう少しS/N感が欲しいところで、少し音と音が被りあうような印象を受けるので、(音場内での)セパレーションが向上すると更に好印象です。
○加えて、分解能がもう少し高ければ全体の(音)抜けが格段に改善されていたように感じられます。(S/N感と分解能が上がることによって、「耳の中に音が残らない・溜まらない」でスッと消えてゆく→音が抜けるといったイメージです。)
☆ただし、これらはいずれも「強いて言えば」「欲を言えば」…といった要望であり、(価格がEssensio・neoの半分程度なわけですから)『欲を言わなくても十分なサウンド』であることは間違いないと思っております。

総括すると(黒江的には)、ギターの歪みはガリガリ過ぎず、ボヤけず、音痩せもなく良好。ベースはしっかりと出ていて、膨張・暴走することがなく癖が少ない傾向。シンバル(金物)は少し厚めのテイストながら力感(の再現)は上々。スネア・タムはもう少し抜けが欲しいけれどこちらも皮の厚みや力感(の再現)は良好。ボーカル(クリーン)は生々しさと厚み・温度感が程好いですが、シャウト系はもう少し分解が欲しいところ…といった感じでした。
全体的にやや硬質な傾向ではありますが硬すぎず、やや寒色傾向ですが同じくキンキン・カンカンし過ぎていないので、(特に若い方には)広く受け入れてもらえそうなサウンドだと考察します。 

黒江的好み度:A

なお、上記のレポートはすべて(1台3役の)U-05を「単体DAC(FIX出力)」として使用したケースとなりますが、「ヘッドフォンアンプ」「プリアンプ」での使用時も大きな変化はありません。

最後に(思いっきりセールストークになってしまいますが、笑)、少し製品のPRをして終わりたいと思います!

例えば…学生さんのうちは自室でヘッドフォンアンプとして使い、1人暮らしをはじめたら小型のアンプとスピーカーを買い足してDACとして使用し、その後のステップアップ(セパレートアンプ)の際にはプリアンプ(コントロールアンプ)として使用する…などなど、1台で長く多用に使えそうなのもU-05の大きな魅力の一つです。(この価格でこれだけ作り込まれていて、バランス出力までフォローしているのはこれまで類を見ません。)

(前述の前評判にはこの点も含まれており、コンセプト的にも非常に当たっていますので)『持っていて損はしない』と言い切れる製品はなかなか多くはありませんので、ビギナーから上級者まで幅広いリスナーに興味を持っていただけると幸いです。

P.S.
ご覧の通り、ESS社のDACを使用していた点は杞憂に終わりました。
(DACだけで音が鳴っているわけではないので)素材の調理の仕方かな…ということもありますが、どうやら僕があまり好まないのは同じESS社でも「ES9018」というDAC(チップ)のようです。
U-05は「ES9016」を使用しているそうなので、この辺の違いがあるのかもしれませんね。