Archive for 4月, 2013

marantz NA-11S1

金曜日, 4月 19th, 2013

前回のLUXMAN [DA-06]に続いて、今回はもう1機種の注目DACを個別レポートします。

DA-06と同様に「DSD対応DAC」としてのレポートではなく、あくまでも単体DACとして音の傾向を中心に書かせていただいておりますので予めご容赦ください。

【豊富な情報量がデジタルフォーマットからアナログに近いサウンドを取り出す日。】

■marantz [NA-11S1]
●情報量が高く、メリハリがあります。
●クリアネスに透き通るような傾向ではありませんが、鈍足傾向ではなく、中速より少しハイスピードに寄せたポジションの“高ドライブ(感)サウンド”といった印象です。
●1音1音が分離し、分解されるタイプではなく、密度感・質感が高めのサウンドであり、(黒江が比較的好みやすい)スカスカした感じは一切ありません。
●濃いめで厚めな音の傾向ですが音に丸みや贅肉感はなく、「細めの芯・やや太めの骨・適度な肉・少し厚めの皮」という構成の傾向ではないかと思います。
●出音やアタック音、音の立ち上がりが明瞭で「ビシッ・バシッ・カチッ・バチッ」といった瞬発力の高さを印象付けます。
●どちらかと言えば「暖色(少なくとも寒色ではない)傾向」であり、粘り気のある音やボーカル、低音の重み、皮の厚みなど、力強さが欲しいサウンドにハマりやすい印象でした。
●(そういったジャンルを聴けば…かもしれませんが)眼前に向かって畳み掛けてくるアグレッシブさがあり、定位も良好です。
●解像度が高く、しっかりとしたダイナミックレンジを感じさせるサウンドであり、音場はやや広めです。
●高域~低域まで、『1音1音をクローズアップすると』全体的に(1音1音は)落ち着いた印象で、「高域がギラギラすることもなく、中域がパサつくこともなく、低域がゴワゴワすることもなく」安定しています。
(派手か地味かで言えば地味、水か油かで言えば油[パステル画か油絵かで言えば油絵]とも言えそうです。)
○良く言えば「まとまりのある重厚なサウンド」ですが、悪く言えば「やや分離の悪い、ほぐれないサウンド」と捉える方もいることと思います。
○余韻が少し強めであり、音場特性に少しだけ癖を感じるのでこの辺の聴こえ方で好みが分かれそうな気がいたします。
○スカッとしたサウンドを求められている方には少々濃いめのサウンドに感じられるかもしれません。
※いずれにしてもDSDやFLACなどのハイレゾ音源、更に言えばオーケストラなどを聴いての分析ではありませんので、あくまで参考までに捉えていただけると幸いです。

…と、やはり「vs レポート」と被っている表現・内容もありますが、一口に言えば「情報量の豊富なタイプで少し重め」という傾向ではないかと思います。

黒江的には“クラシック向き”と位置付けており、当然のこと黒江的好み度は自然と低めになりますが、(ヘヴィサウンド系・デス系は意外にマッチしていますし、)基本的なDACとしての音質はバッチリなので傾向を把握された上で選択していただければと思います。

なお、専用のコントロールアプリ「Remote App 3.0.7」を用いた操作も検証したところ、こちらはやや残念な結果に…
全体的にやや動作が不安定であり、「選曲後にタイムラグが発生する・選曲→再生→選曲など素早い操作に弱く、フリーズする・NASとの接続が切れてしまう」などの不具合が発生しました。
(iPhone 4[iOS 6]やiPod touch 4th[iOS 4]などで検証し、古い端末ほど顕著でした。)

NA7004の時分に使用していた「Wizz App 2.23」は非常に軽快な動作・操作でしたので高く評価していたのですが、あいにく「Wizz App 2.23」ではNA-11S1がデバイスとして認識できず、「せめて、このWizz App 2.23でデバイス認識を可能にしてユーザー側に選択肢を残してくれれば…」と思う結果となりました。
(…って、両アプリ共に最新Ver.などで既に解決されていたら申し訳ございません。)

…と、いうことで「vs レポート」にはじまり、marantz [NA-11S1]とLUXMAN [DA-06]を個別にレポートいたしましたが、やはりDSDやネットワーク以前に「DACとして音が気に入るか」をベースに選んでいただいた方が良さそうな2機種ではないかと思いました。
まだ迷われている方のほんの少しでも足しになれば幸いです。

P.S.(オマケ)
LUXMAN [DA-06]と同様に最後にフィルター等の特徴をサラッと書いておきます。
Filter 1:(Filter 2と聴き比べると)いわゆるストレートという表現がピッタリな本機のスタンダードサウンドです。
Filter 2:(Filter 1と聴き比べると)こちらはスムーズ・スムースといった印象で、少し穏やかに滑らかになる印象です。
Noise Shaper:S/N感が向上するというよりは少しザラツキが取れたような印象ですが、ちょっと音がデッドになる傾向です。
DC Filter:(こいつがイマイチなにをしているのか分かりませんが…、笑)少し1音1音がシャキッとするような印象なので黒江的にはオン推奨でした。
※「Filter 1・DC Filter ON」が個人的には好みでした。