Archive for the ‘レポート:スピーカー’ Category

Music3 vs Haydn Grand Special Edition

火曜日, 5月 25th, 2010

僕が今まで聴いてきたモニターの中でもっとも“ビリビリ”っと来たモニターであり、長らくリファレンスとして採用してきたPMC [LB1 (Signature&Classic)]が入手困難になってから久しいですが、4年の歳月を経てようやく新しいリファレンス(ラインナップ)が出揃ってきました!

今日は先日紹介したVienna acoustics(ビエナ・アコースティックス)の「Haydn Grand Special Edition」と、こちらも以前に紹介した当店専売のrevolver(レボルバー)の「Music 3」をvs形式でレポートしたいと思います。

【青・陰のHaydn Grand Special Edition、赤・陽のMusic 3。】

…と、見出しは「かなり大袈裟に対極的に」書いてはいますが、両者の傾向はウリ2つといっても過言ではありません。
(マンガの「タッチ」の達也と和也のように、顔立ちも、性根(2人とも南が好きで、優しくて、野球好き?とか)もそっくりなんだけど、個性が違うみたいな…。)
なので、そのことをご理解いただいた上でこの「vsレポート」を読んで頂けると幸いです。

共通して言えることは…、

●音の輪郭がしっかりしていて、音像がしっかりと定位する「シャープ&ソリッド系」であるということ。
 音の塊を体ごと受け止めたり、熱気あるエネルギーを感じたり、重厚で圧倒的な情報量が魅力というタイプではありません。

●ハイスピード。
 音におけるハイスピードとは…音の立ち上がりが明確で、(実際に出ている)ピーク(音の棘)を丸めず、不自然な余韻(元の音をより響かせたり、滑らかにしたり)などがない状態を示しています。

●高い分解能。
 時に「薄味≒優しい味」「デジタルな画像や音よりも、アナログな写真や音」「ハッキリとした意見よりオブラートに包んだ表現」が心地良い(≒疲れない)ように、音を軟らかく聴かせようとすると高分解能で神経質なサウンドではなく適度にぼやかす様なサウンドとなることがありますが、両機は「あくまでモニターであることを前提」に製作されています。

●高いS/N感。
 ハイスピードに、ハイレゾリューションに音を出そうとすると丁寧さに欠けて荒っぽくなってしまいS/N感を損なってしまう印象を持ちますが、高価なスピーカーにも引けを取らない明瞭でクリアなサウンドです。
 両者は「無理やりハイスピード・ハイレゾリューションにして音を出す」というよりも「素直に自然に音を出す」という素性を持っていて、モニター側で何か仕事をしようという概念がなく、結果「鮮度感の高い透明なサウンド」を出力できているのと考えています。

…次に、Vienna acoustics「Haydn Grand Special Edition」の持ち味は…

◆「Music3」と比べてやや艶のあるサウンド。
 同社特有の味付けと言えると思いますが、「乾いた音までもが湿っぽく聴こえる」ようなことはありません。

◆極々細い針状(線状)の音の粒が数千~数万というくらい無数の数となってこちら(耳)に向かって来て体(耳)を通り抜けていくイメージ。
 大太鼓だろうが、コントラバスだろうが、どんな野太い音でも細かな音の集合体です。その音を形成する音の粒が本当に細かく聴き(感じ)取れます。

◆(僕の理想からすれば)ほんのわずかだけ、少し緩めの低音。
 十分に締まっていて、タイトな低音であることには変わりありませんが…。

◆高音はちょっとキンキン気味。
 これも同社特有かと思いますが、「ちょっと冷たくて、ちょっと硬めで、氷のようなイメージ(なので青)」。
 …なんですが、総じて音に派手さや華やかさ、明るさはなく、淡々と鳴っている印象(なので陰)です。

…続いて、revlover「Music3」の持ち味は…

◇「HAYDN LIMITED」と比べるとパンッと張りのあるサウンド。
 細かさもあるし、レーザー(光線)的なピンポイント感もあるのですが、加えて「弾け飛ぶ・切り刻む」といった鋭利なイメージも抱かせます。
 「HAYDN LIMITED」の針状に対して、こちらは無数の鎌鼬(カマイタチ)が耳に向かって放たれて(体を通り抜けて)いくイメージでしょうか。

◇「HAYDN LIMITED」と比べるとやや明るく、ちょっと厚めで、ちょっとドライなサウンド。
 こちらも「艶のある音が乾いて聴こえる」ようなことではありません。
 決して派手ではありませんが、比較すると「少し元気(なので陽)に、少し能動的に」聴こえます。

◇(僕の理想からすれば)ほんのわずか、ちょっとだけ粗っぽいかと…。
 「HAYDN LIMITED」がクールだったり、「Music3」の方が厚みがある分だと思われますが、ちょっとザワつく感じがあります。
 ただし、その分「力強さやドライブ感(なので赤)」には軍配が上がります。

…と、こんなところでしょうか。

赤とか、青とか、陰とか、陽とか、ちょっと無理矢理にも思えるかもしれませんが、「同じような傾向のものでも、明らかなキャラの違いが出ることを表現したいだけなので」あまり思い込みすぎないようにお願いします。

Vienna acoustics「Haydn Grand Special Edition」はシャープ
revlover「Music3」はソリッド
って書いた方が手っ取り早かったかもしれませんが…。(笑)

またATC SCM7などとも「vsレポート」書きたいと思います!

HAYDN GRAND SPECIAL EDITION

木曜日, 5月 20th, 2010

久しぶりの隠し玉を遂に解禁します!

以前から当社の新たなるリファレンスとして活躍していたVienna acoustics S-1G[HAYDN]ですが、
この度輸入元がCECからアルファメガへと移ることとなったため、しばらくみなさんに紹介することが出来なかった製品があります。

それが、この「Haydn Grand Special Edition (or HAYDN LIMITED)」なのですが、早くこのレポートを書きたくてうずうずしておりました!

【至上最高の分解能・クリアネス】

もちろん「僕の思うに」であり、「この価格帯&サイズ」という点も含まれますが、
この「音の細かさと透明感」はちょっと聴いたことがないです。

S-1G(ノーマルHAYDN)と比較すると…
●HAYDN(S-1G)でも十分、十二分に高分解で、高い透明感だと思っていたのに、あっけなくそれを超えてくれちゃいました…。
●レンジ感も特に低域方向に一伸びしており、唯一の弱点だった低音の課題(深さ・量感・解像度)も改善されています。
●相変わらずの明瞭なエッジ感は「無理やり描かれたような強調された輪郭線ではなく、自然に音の輪郭が耳(目)に映るようなシャープさ」。
●よりすっきりとした見通しで(静かになった時などの)静寂感が向上しています。

…と、要はHAYDN(S-1G)をらしさはそのままに1ランククオリティを高めている「だけ」ではあるのですが、
その「だけ」が、とても大きな差に感じられるLIMITED EDITIONです。

くどいようですが、特筆すべきは「分解能」と「透明感(≒S/N感)」で、
僕の大好きな粒子感に例えると、HAYDN(S-1G)はザラザラした砂粒としたら、HAYDN LIMITEDはサラサラの粒砂といったところです。
液晶やデジカメの画素数などが分かりやすいかと思いますが、例えば画素が4倍になったとすれば、
今まで「1画素(≒1ドット)だと思っていた点(音)が実は4画素だったんだ」と気が付かされるような感じであり、
「おおー、このシンバルって、こんな細かい音だったんだ」…というような場面がしばしばあるのです。
(繰り返しますが、HAYDNでも十分に分解されていると思ってたんですけどね…。)

無論、「細かい」ということは無意味に細かくしているということではなく、粗め(に鳴るのが正解)の音でさえ、
まるでバクテリアが分解してしまうように溶かして(分解して)しまうということではありません!

そして、その分解能がもたらすのが「クリアネス」です。
音の粒子が細かいゆえに音と音がぶつかり合わず、透き通るような奥行きを見せてくれて、1音1音の存在感が高まります。

強いて言えば、その高分解ゆえに「音の厚みや濃さ、密度感を感じさせてくれるサウンドではない」のですが、
もちろん定位も良好で、音の輪郭がありますので音像感もしっかりしていて決して「薄っぺらいサウンド」ではないのが救いです。
あと、旧モデル(同ブランド)特有のちょっと色艶が乗ってる音色感ではあるかな…と。

仕様的な違いですが、基本的にはウーハーユニットが異なるだけです。
伴ってネットワーク(クロスオーバー)若干調整しているようですが、確かにツイーターとウーハーのかぶりが少なくなっていて、見通しが向上している感じがするので納得です。
画像のCherry(茶色)がLIMITED MODELで、赤茶がNORMAL MODELです。
(よーく見るとLIMITEDとNORMALのウーハーの違いが分かります。)

…ということで、長くなりましたが久しぶりの(黒江的)超ヒット製品です!
「LIMITED」の文字通り世界で500セット、日本国内では50セット限定の販売です!
メタル系・ロック系・ポップ系を中心に聴かれている方や「黒江サウンド」に共感いただいている方は「絶対買い!」です。お見逃しなく!

Vienna acoustics [HAYDN GRAND SPECIAL EDITION] \210,000

http://www.viennaacoustics.at/news/HaydnSpecial.pdf

http://www.viennaacoustics.at/products/haydn/haydn.php

P.S.
あ、revolver [Music3]もお忘れなく。(^-^;
この2機種+ATC SCM7(or SCM11)あたりを聴けば1台は必ずアタリがあると思います!

revolver Music 3 【ザ・ステレオ屋 独占販売開始!】

水曜日, 2月 17th, 2010

以前にご紹介した通り、revolver Music 1 【黒江イチオシ!】最近やたらとお気に入りの「revolver Music 1」なのですが、強いて言えば1点だけ気になることがありました。
それは…、いくら黒江が「『逆低域フェチ』で低域は必要最小限だけ出ていればよく、低域の出過ぎがなによりも嫌い。」だったとしてもちょっと低域が物足りないかな…、強いて言えばもう少しだけあったら完璧なのに!と思っていたことです。
(Music 1の低域量は必要最小限ギリギリだとは思います。)

そんな中、ふと本国revolverのHPを見た時にそいつが何となく「俺を聴いてみろ」とばかりに目に飛び込んできました。
そうです。Music1には兄貴(兄機)がいたのです!

スペックや解説を見たところMusic1には13cmのウーハーが搭載されていましたが、これがMusic3は16.5cmのウーハーに変わっているだけ?のように見えます。

「…………………………………………。」

しばらく考えた後に思い切って電話をしてみます。

「これってうちだけの為に取ってもらえますか?」(中略)

そして、とうとうザ・ステレオ屋にMusic3がやってきました!

【狙い(期待)通りの部分と、少し(予測と)異なった部分。】

狙い通りだったのは…
●Music1そのままにスパスパと切れの良いハイスピードサウンド。
●思った通り、低域のレンジ感がかなり良くなってる!
●とにかく明瞭・鮮明で、音の細かさ(分解能)が抜群です。
●深くなった低域はもちろんタイトでしっかりと輪郭が見えます。
●低域の量感に中高域が喰われることなく、非常にバランスや見通しが良いです。
●あとはMusic1と同じですので以前のレポートをご覧ください。↑

少し異なったのは…
●Music1はちょっとドライかなぁ…と思っていたのですが、Music3はちょっとウェットな感じです。
 情報量というか、密度感が上がった分でしょうか。
●バスレフタイプのモニターなのですが、密閉型?と思うようなタイトさ。
 もちろん悪いことではないのですが、Music1の方が開放的であっさりと鳴ってくれる印象です。
●Music1+低域=Music3になるかと思っていたのですが、そうはいかず、少しキャラクターの違いがあります。
●なので、Music3>Music1ということではなく、好みの差になるかと思います!
●Music1と比べて「高さ・幅・奥行き」がそれぞれ約5cmずつ大きくなっているのですが、2回りくらい大きく感じます。
 (以前の画像と今回の画像の奥にまったく同じスピーカー(HAYDN)が映っていますので見比べてみてください。)

…と、こんな感じでした。

黒江的には【ここ数年でもっとも好きなモニター】と言えるヤツに巡り合いました。
「こんなにメタルをビシビシ鳴らせるモニターはそうそうないでしょ!」

…と、いうことで『revolver Music 3』はザ・ステレオ屋にて独占販売させていただきます!

定価OPEN→157,500円(税込)
※原則的にダークチェリーのみの取り扱いで、ブラックとライトチェリーは応相談となります。
(試聴のご予約もお待ちしております。)

P.S.
このMusic3で聴くと当店の現リファレンスアンプ「TEAC AG-H600とDUSSUN T6」の個性の違いがものすごく感じられて面白かったので追加レポートをしたいと思います。

http://www.revolveraudio.co.uk/music.htm

商品のお問い合わせ/ご注文/その他は黒江直通メールにてお願いします。
manager@digitalside.net

B&W CM5

金曜日, 12月 4th, 2009

今までに相当数のB&W製スピーカーを聴いてきましたが、この「CM5」は久しぶりに個人的なヒット(好き)でした。
(もちろん、良いなあと思ったことはたくさんありますが、自分のツボではなかったので。)

【サウンドクオリティはNautilus800シリーズ譲り、サウンドカラーは600シリーズ譲り。】

600シリーズと800シリーズの中間なのですから、700シリーズ(一昔前で言うNTシリーズ)なのでは?…と思われるかもしれませんが、ミッドレンジに厚みを持たせた700シリーズとは異なり、レンジの広さを感じさせる800シリーズの血をより濃く受け継いでいる印象があります。

加えて、800シリーズのエレガント且つウエットなサウンドに対し、どこなく暖色系のサウンドを狙っていたように感じていた700シリーズでしたのが、このCMシリーズは「エレガント&クール」を狙っている印象でした。
そういったことも含め、サウンドのルーツは800シリーズから来ているのではないかと思うのです。
(無論、あのちょんまげのようなNautilusツイーターを搭載していないのですから、よほど700シリーズの方が800シリーズの直系と考えられて自然だと思いますが…。)

下位の600シリーズは(前身のDMシリーズより)以前よりホームシアター用途を強く意識して製作されている印象が強く、そのサウンドもB&Wのイメージらしからぬドカンとした音作り。
メリハリが強く、バンバン鳴ってくるタイプで”おしとやかなNautilus”に対して”ちょっとじゃじゃ馬”感のあるサウンド傾向です。
その分、ロックやポピュラーなんかは元気に、それでいてほんのりB&Wらしさを感じさせてくれたので僕は意外と支持していました。(主にDMシリーズの時ですが。)

本題に戻りますが…
【メリハリが利いてコントラスト・スピード感に優れたサウンド。】
CM5は一言でいうとこんな感じです。
とにかく「ハリ出してくる」という印象が強く、それでいてB&Wらしく繊細さも持ち合わせています。

実は、下位機種にCM1という小型モデルがありますが、(発売以前からかなり期待していたんですが…)無理して出しているような低音の印象が(僕は)好きではないので、このCM5にも実は期待をしておらず…。(随分遅くなりました。)

…が、このCM5は帯域バランスが素晴らしいです。
苦しそうに鳴ってしまうことがあるCM1に対して、何とも自然でスムーズな低域。
全体的に鮮やかで、ちょっと華やか、明るめのサウンドですが、派手とかケバイという印象は皆無でとても「良い加減」ではないかと。
その鮮やかさ、発色の良さから、少し音が滲みっぽく、細かさがもう一声欲しかった部分もありますが、僕の総合的な評価は上々でした。
(CM1とこのCM5も然り、N801~N805も然り、シリーズってやつはテイストは同じでもそれぞれまったく異なった鳴り方をするので、長所・短所は共通せず、横一線で評価できませんが)Nautilus805を若者向け?にした感じ…加えて言えば、「ATC SCM7とrevolver MUSIC1の中間的サウンド」と思いました。

こんな事ならもっと早く聴いておけば良かったです…。
…と、よくある「シリーズ中1つだけ聴いて良し悪しを判断してしまった悪い例」だと改めて勉強になりました。
その逆も然りで、「シリーズ中1つだけ聴いて良いと思ったからすべて良いはずと思い込む」や、
「(前述の通り)シリーズを横一線・同列に、一様に、褒めちぎっている(評論家やレビュー)」のは僕は間違いだと思っているので、(こんな感性で申し訳ないですが)僕のレポートを参考に「1人1人それぞれの」自分に合う音、好きな音を探してもらえたら幸いです。

ちょっと製品レポートとは関係なくなってしまいましたが…。(^-^;

僕は「CM5」結構好きです!

http://www.bowers-wilkins.jp/display.aspx?infid=3978

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Pioneer S-71B-LR

金曜日, 11月 27th, 2009

少し遅くなりましたが、パイオニアの今冬新製品から上級機種の血統を継ぐスピーカーをご紹介します。

当店ではこのニューラインの「71シリーズ」の中から「あえて」ブックシェルフのS-71B-LRをセレクトしましたが、基本的にはトールボーイ(フロア型)のS-71がメインの製品となるようです。
端から端まで(節操なく)埋め尽くす量販店はさておき、ほとんどの専門店でもS-71がメインとなるようですが、前述の通り当店があえてS-71のローコスト版とも言えるS-71B-LRを指名したそのワケは…

シリーズ化されているラインナップの場合、ブックシェルフは上位機種(フロア型)の胴をバッサリと切って頭だけにしたものが多いのが現実ですが、僕はだからと言って必ずしもフロア型(高価=高音質)>ブックシェルフ(安価=低音質)だとは思っていません。
さらに言えば、(これについては別の機会にしっかりと書きますが、)僕は『高さ方向の』リスニングポイントを考慮していない製品・ユーザーが多いため、安易にフロア型をオススメしないようにしていますし、フロア型の特徴・長所とも言える胴長ゆえの(音質・音色的な)短所があると考えています。

…と、屁理屈ばかり述べるつもりではありませんので、話を元に戻します。

先日のこと、パイオニアさんが発売直前のS-71を持ってきてくれましたのでいつものように試聴をしたのです。
…が、低音の量感が僕には多すぎてどうにも受け容れ難いなぁ…と思っていたのです。
そんな時、ハッとあることに気が付き、試してみることしました。
それは…「バイワイヤリングがツイーター&ミッドコーン(同軸ユニット部)とウーハーで分かれていたので、ウーハーの接続を切って聴いてみた」のです。
もちろん、不自然な音ではあるのですが、中高域はかなりいい感じであることが確認できました。
これなら「S-71B-LR」の方はかなり好きな傾向かも?!…と、そんなこんなでS-71B-LRの導入を決めたのです。
(※ちなみに、S-71は普通の椅子・ソファ(床から座面まで35cm~45cm)くらいの一般的な高さで丁度良い高さ(リスニングポイント)でした!)

…と、今日は時間がないのでここまでとします。近日中に更新します!

続きです。

肝心のサウンドに触れていきます。

【見た目はシックだけど、音は情熱的。】
上位機種にあたる「S-81B-LR」は優しい、上品な、上質なタッチ(感触)の音だったのに対し、
「S-71B-LR」はビビッドで、エネルギッシュで、パッショネートで、前に来るようなサウンドです。
…かと思えば、音の先端(出音・インパクト・アタック)がやや丸かったり、伸びのある音だったりと「S-81B-LR」との共通点もチラホラとうかがえ、(2way)同軸ユニットの長所でもあるピンポイントな音像感なども兄譲りといった印象です。

少し気になったのは高音はカリカリとした硬質系に対し、中音はやや丸みのあるしなやか系、低音は少し暑苦しさを感じる厚み系…と、繋がりが悪く感じられるジャンルがあったことです。(はい、メタルです…。^-^;)
それと、上位機種のS-81B-LRにも感じられた事ですが、もう少し解像度が欲しいかなぁ…と。(これは同軸ユニットゆえのウィークポイントかもしれません。)

価格を考えるとCPは十分に合格点。漆黒のデザインはテレビなどのサイドに配置すると視覚的に存在が気にならず、音がどこから出ているか分からなくなりそう。(シンプルで僕は好きです。)
J-POPを中心にROCK・TECHNO・HOUSEなどなど、色々なジャンルを聴かれる方にオススメです。

http://pioneer.jp/components/sp_sys/series7/index.html

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revolver Music 1 【黒江イチオシ!】

木曜日, 11月 5th, 2009

表題の通り、久しぶりに個人的に好きなタイプのモニターと巡り逢いました。

その名も『revolver Music1』

…と言っても、もうかれこれン年も前にその音は知っていたのですが、この度やっと『ザ・ステレオ屋ファミリー』に迎え入れてやることが出来ましたので、記念のショットと共に(同価格帯のATC SCM7とのvsレポート形式で)ショートレポートを書いてみます。

【大砲のようなATC SCM7 vs ピストルのようなrevolver Music 1】
(ブランド)名は体を表す。…とでも言いたげな見出しですが、「ピストルのような~」というのは兼ねてからELACのモニターによく使っていた言葉であり、このrevolverのために(わざわざ)考えたわけはありません。

(あえて対極的に表現すれば)ATCは「ドンッと重戦車のような大口径の砲撃」で、revolverは「パンッと弾丸のような射撃」というイメージです。
もう少し具体的に書けば、
ATCは芯の太い(しっかりとした)音が空気ごと押し出すかのように、パワフルに、張り出すように飛んでくるタイプで音の体重をしっかりと感じさせてくれます。
revolverは線の細い音が空気を切り裂くかのように、直線的に、鋭く、スピーディに飛んでくるタイプで音の切れや粒子感を感じさせてくれます。
この辺りがELACと似た印象であり、僕の好むところでもあるのですが、低域を何とかして出そうとするELACに対し、revolverは(まるで諦めたかのような)やや薄目の低域でその”潔さ”とも取れるサウンドは「明瞭かつハイスピード」、そこから来る定位の良さと相まって僕の好きな「万能ではないけど突出した武器を持つタイプ」なのです。

とにかく「音の粒子感」が抜群で、今まで聴いてきた中でも1,2位を争うと言っても過言ではありません。
「ザクザク・ゴリゴリ・バリバリ」といったハイゲインのディストーションギターも最高なのですが、何よりも僕が気に入ったのはシャウト(ボーカル)の激しい絶叫・咆吼・嗚咽が非常にリアルに聴こえることです!
(シャウト系ボーカルの僕が言うのですから、この点だけは間違いありません!)

久々に『ザ・ステレオ屋(黒江)』イチオシのモニターがビギナーにも(何とかギリギリ)お勧めできる価格(141,750円ペア)で登場しました。
「喉の奥で歪んだ激しい叫びが何よりも一番の聴き所だ!」という奇特?な方はぜひ一度聴いてみてください!

http://www.revolveraudio.co.uk/music.htm
http://allegro-audio.sakura.ne.jp/Revolver.htm

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MONITOR AUDIO Silver RX1

金曜日, 9月 18th, 2009

3連続投稿ラストはモニターオーディオ期待の新製品のRXシリーズから、「Silver RX1」の登場です。

まず、(比較的傾向の近い)「Vienna acoustics HAYDN (S-1G)」との比較を軸に書かせて頂きます。
(※無論、価格が倍近く違いますので単純な「vs形式」と同じようには解釈されないようにお願い申し上げます。)

●音が明るい!(派手とも言える、活発的な、元気な音。聴いてすぐに「元気だなー!」って言ってしまった。笑)
●音が飛んでくる飛んでくる!(前に前に飛び出すような鳴り方はMONITOR AUDIOらしいです。)
●シリーズ中、もっともコンパクトなRX1なのに低域は必要十分。(RX2以降がモリモリ低域なら残念だなぁ…。[未試聴])
●元気で明るい分、繊細さはあまり感じられません。(1音1音も、音像もちょっと荒っぽく描かれ放たれる印象です。)
●ハイスピード。(…と言うよりはA級アンプっぽいスピード感です。(キレがあって軽快というよりは、ブレーキがなくアクセルだけという印象。))

などなど、最近のモニターオーディオ(Silver/Gold/Bronze/Radius)らしいと言えばそれだけなのですが。
前身モデルとは直接比較が出来ていませんが、広がりを持たせて来ているような印象です。
ひょっとしたらフルオーケストラなどを広大に鳴らす意識で、音を大きく大きく描き出そうとしているため、(もともと激しいソースばかり聴いているので)僕らが聴くと音が荒っぽく聴こえるのかもしれません。

…と、なんだか悪口ばかりでは?と思われるかもしれませんが、全然そんなことはなく、むしろメタルにもポップにも合いそうなので好印象です。
むしろ、まだ鳴らし始めたばかりなのになかなかのポテンシャルを持っていると思っています。
これから、もっとも適したケーブルなどを探しながらエージングさせていって「どうだ!」ってサウンドを鳴らしてやれればと思っています。
(タイトにタイトにしてあげなきゃな…KIMBER KABLEとかの方が良いかも。)

http://www.hifijapan.co.jp/Silver%20RX.htm

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Mark & Daniel Maximus-Mini+

木曜日, 9月 10th, 2009

引き続きスピーカーのレポートとなりますが、最近第3のリファレンスとなりつつあるのが、
この『Mark & Daniel Maximus-Mini+』という色々な意味で一風変わったスピーカーです。

【稀に聴く綺麗な高域と、音像の定まった中低域が絶妙に交わったサウンド。】

特徴だらけのスピーカーではありますが、その代表格になるであろうと思われるのが「人工大理石(コーリアン)」を用いたエンクロージャーです。(※メーカーでは合成大理石と表示しています。)
オーディオという世界では、(なぜか)旧来から木製の箱にスピーカーユニットを取り付けて鳴らすという定石(常識)が長く続きましたが、最近やっと非木製のエンクロージャーが台頭(受容)してくるようになりました。

(昔は「箱鳴き」なんて言葉が当たり前に使われていたくらいだから、「箱も鳴らすもの」ということだったのかもしれませんが、)
このコーリアンで形成されたエンクロージャーは(いわゆる木と石の差で)硬く、音が響いたり、漏れたり、箱が振動したりすることがほぼ皆無となり、結果、スピーカーユニットから発せられる音だけでサウンドが形成されています。

そのことから、オーディオをよく知る人向けに一言で云えば「バスレフ型なのに、密閉型のようなタイトフォーカスなサウンド」と言えば伝わると思いますが、音に(取り方によっては無駄な)響きや被りが無く、端正でストレート。とも言えるサウンドです。

ここで肝心になるのが各スピーカーユニットということになりますが、高域を担うツイーターユニットは「ハイルドライバー」と呼称されるタイプなのですが、非常に繊細な高音を出すことが出来るリボン型にこだわり何度もTry and Errorを重ねながら開発されているようです。
中域~低域を担うウーハーユニットもわずか約10cmという小口径ですが、かなり奥行きのある形状となっており、このストロークを高速にピストンさせることによって、ハイスピードながらも最低域をしっかりと描き出すことが出来るように考えられています。
双方共に自社製ということもあって、「自信のあるユニット開発」→「ユニットの特性を最大限に引き出すためのエンクロージャー」という流れが伺え、これはスピーカーブランドとして非常に大切なポリシーではないかと感じています。

…と、大体ここまでの流れで音の傾向は分かってくるかと思いますが少しまとめてみます。
●スピード感はGood. (S-1Gには一歩及ばずですが、遅い音、速い音の鳴らし分けが非常に巧みです。)
●高域がとにかく繊細。 (「キンッ」と鋭利に切れ込んでくるというタイプではなく、「ピンッ」と張り詰めて出た音が「サーッ」と霧状に消えていく感じ。)
●中低域の音像感が秀逸。 (音の輪郭や定位が明瞭で、音の位置関係などが際立っています。)
●少し芯の太い音で、肉付きは薄め、輪郭はやや強め。 (「シャープな音」とは言えませんが、「タイト」という言葉がとても合います。)

決して「足して2で割った音」とは言いませんが、「立ち位置的には」ATC SCM7とVienna acoustics HAYDN (S-1G)の中間にポジションする感じです。

物足りないと言いますか、もう少しと言いますか、実はまだ本格的に鳴らし込んで(追い込んで)ないので、黒江的にどう鳴らすかということを挙げると…、
●高域の出方と中域~低域の出方を揃えたい。 (高域は綺麗なのは良いんですが、切れ込みがないのでソリッドに、中低域は芯が強めなのでもう少しシャープにしたい。)
●広がりがない音なので、もう少し広く? (高さ方向には広めのサウンドステージがあると思います。左右方向は狭めかと感じましたが、個人的にはコレくらいが好きなのでこのままでも良いかな?…と。)
●少し音が重いので、明快/軽快に。 (これも好みですが、もう少し明るいサウンドに出来たらな…と。)

こんなところですが、結論としては「久しぶりに欲しくなってしまった」ので、黒江的にはアリです。
(僕が好むのですから)もちろんメタルもイケますが、SlipknotのようなタイプよりはIN FLAMESのようなタイプがより合いそうです。(音にシャープさを出せればSlipknotもかなり良くなるハズ!)
あとは、高域が綺麗なので女性ヴォーカルもイイ感じです。

リファレンスが3機種もあるのは嬉しいような気もするし、悩みの種でもあるし…ですが、みなさんにも自分の一番好きな音を探し出してもらえれば幸いです。

http://www.mark-daniel.jp/

商品のお問い合わせ/ご注文/その他は黒江直通メールにてお願いします。
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ATC SCM7

火曜日, 9月 8th, 2009

前回に引き続き、現在のザ・ステレオ屋リファレンスモニターのもう一角となるモニターのレポートです。

【速攻のHAYDN vs 堅守のSCM7】
何となくそんなフレーズを書きたいような気になったので書いてみましたが、俊敏で鋭利でキリッとしたHAYDN(S-1G)に対し、安定感やバランス感が良く、力強くもあり穏やかさや包容力のあるようなサウンドであるのがSCM7です。

そもそも、ATCというブランドは一頃前まで「鳴りも(重量も)重く、大変なアンプ喰い」というのが定説であったくらいに「吹き出すような鳴らし方」をするのが大変なブランドでした。
僕個人の経験談や印象としては「(今回紹介しているSCM7とほぼ同じ大きさ/価格の)もっとも小型なモニターでさえ、300W~500Wも出せるような大型なパワーアンプでドライブしないと鳴ってくれない。」…といった印象で、当然アンプの価格がモニターの数十倍になってしまうので「随分身の丈に合っていないモニターだなぁ…。」と思いつつ、(ハイスピードを好む僕としては)かなりの投資をしなければ思い描く音にならないため、なかなか選択肢にすら入っては来ませんでした。

しかしながら、上手にドライブできるアンプを大前提とした「ハマった流れ」を作れた時の“分厚くも明瞭で、大胆ながら精密”といったサウンドがとても印象に残っていて、決して嫌っていたりしたブランドでもなかったことを覚えています。

…それから少し年月が経って、ある時の製品発表会でのことです。
正直言って最初の印象は「カッコ悪くなったんじゃない?」としか覚えていない、まるでマスクをしたような新型が登場したのです。
でも、(中身が良かったから?)一気にカッコ良く見えはじめたのは、そのヴェールを何枚も何枚も剥がしたような音。
思わず、「はじめっからコレ作っておけばいいのに!」と思ってしまった(言ってしまった)かもしれません。

その音は、今までのATCブランドに抱いていた既成概念をさっぱり忘れ、いつか思ってたATCにしか出せない理想に近かったのです。
その後すぐに店頭に迎え入れ、より好みに追い込むことが出来ることを確信し、気が付けばリファレンスの一角を担うモニターとなりました。

冒頭の通り、S-1Gとは別の性格であり、良い意味で好対照ながら(黒江が好みそうな)共通点も多くあります。
特徴を幾つか挙げていくと…
もちろん、基本的にはハイスピード。([S-1G]や(殿堂入りの?)[PMC LB1]にはもうちょっと及ばないけど。)
低域がタイト。(且つS-1Gには無い深さがあって、5弦ベースなんかもしっかりと聴き取れる。)
定位が良好。(クリア/繊細といった要素が先に来るS-1Gよりも、こちらの方が音の存在感は強い。)
帯域がフラット。(高域が走ったり、低域がもたついたりという印象は受けません。)
力感のあるサウンド。(やや芯は太め、肉付きも筋肉質な感じでしっかり、雄々しく、骨太で、パワーのあるサウンド。でも荒っぽくない。)
…と、こんなところでしょうか。

ちなみに、Yahoo!ブログにて番外編を書き続けている「僕の弟分であり、ドラマーであり、もちろん熱心なオーディオユーザーであるS君」はSCM7の方が(僅差で)お気に入り。僕は僅差でS-1Gがお気に入り。
(ウチで試聴をされて)購入される確率もほぼ五分五分で、
(メタルも聴くけど)ハードロックやジャズ、プログレッシブも好まれる方はSCM7を、
(ロックも聴くけど)ヘヴィメタルが中心で、Jポップやエレクトロニカ(テクノ)も好まれる方はS-1Gに軍配が上がりやすい傾向です。

が、「あの曲はあっちの方がいいんだよなー。」と最後まで後ろ髪引かれている方をよく見かけます。(笑)

…いや、本当にどっちも良いモニターなんですよね…。僕もどっちも欲しいです。はい。

http://www.electori.co.jp/atc/SCM7.pdf

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Vienna acoustics HAYDN (S-1G)

木曜日, 9月 3rd, 2009

現在のザ・ステレオ屋リファレンスモニターの一角を成している[S-1G]ですが、タイトルを見てあれ?っと思う方も少なくないかもしれません。
…実はこのスピーカー、本国オーストリアでは「HAYDN(作曲家のハイドン)」という名前で呼ばれている(売られている)のです。
加えてブランド名も「Vienna acoustics」(ウィーンアコースティックス)ときていますから、ハイドン以外にも名だたる作曲家を輩出したクラシック大国のオーストリアから「クラシックを聴くために」生まれたスピーカーであると容易に想像できるものです。

実際に、専門誌やサイトで取り上げられる際には「クラシック」中心の話題/賛辞/評価ばかりであり、J-POPやHR/HMを聴いての感想はほとんど見受けられません。(見かけたらウチのユーザーかな?)
そんなモデルでありながら、当店では随分と以前からこのモデル(&前身モデル)に着目していましたが、輸入代理店の方は随分と「?」だったそうです。

…と、僕が気に入るくらいですから、それなりに理由があるわけですが、
●とにかくクリア。
 音に濁りや滲みがなく、とにかく鮮明、フレッシュという形容がハマります。
●とても明瞭な音の輪郭。
 加えて、音の形が目に浮かぶほどクッキリとしたエッジを描きます。
●モタつきの無い、スピード感/キレ。
 気持ちいいくらいビシビシ/スパスパと音が刻まれていき、高レスポンスです。
●高い分解能。
 音の輪郭だけではなく、中身(音の粒子感)も高精細。
などなど、僕にとっては大好物の特性だらけです。

もちろん、完璧なもの(音)はないと思っていますし、オーディオにおける特性は「相反する要素を両立できない」バーター形式となると考えていますので、ウィークポイントも多々あります。
●低域のレンジが狭い。
 いわゆる超低音は再生できていません。
●厚み/伸びに欠ける。
 高域の余韻はありますが、中域~低域の伸びがなく、音は軽め。
●全体的に硬質。
 良い部分が総じて悪い部分とも言え、かなり緊張感の高い、悪く言えば神経質なサウンドとも言えるのでちょっと聴き疲れするかもしれません。
●女の子ウケが悪い。(笑)
 my-musicstyleを通じて、かなりの人数の(主に20代の)女の子に聴いてみてもらいましたが、やっぱり女の子は軟らかめの(優しい)音がお好みのようです。

でも、ディストーションサウンドのギザギザ/ガジガジのエッジと、ザラッザラ/ガリッガリの粒子感をこれだけ気持ちよく聴かせてくれるモニターは今までに無かったので、僕にとっては唯一無二の魅力を持っているのです。
ボーカルの口元もビシッと定位してくるし、(深さはないけど)ベースラインは微塵にも崩れずにブリブリと鳴ってくれるし、これはこれで言うこと無しです!

BURRN!でも似たようなことを書きましたが「英才教育を受け、クラシックばかり聴いてきた普段大人しそうで清楚なイメージの令嬢が実は○○だった!」みたいなトコロがまた素敵です。

くだらないシメではありますが、先入観など持たずに一度聴きに来てみてください。

P.S.
S-1Gの兄弟機である、T-2G/T-3Gあたりは黒江的(HR/HM)にはナシです。(良くも悪くも低域がS-1Gにあった良さを消しています。)
ただ、低域はしっかりしているのでロースピードな曲/ジャンルには向いていると思います。(こちらの方はクラシック用と言われても納得。)

http://www.cec-web.co.jp/products/va/s_1g/s1g.html

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