TRIODE TRV-CD6SE

今回はトライオードさんの新製品をレポートさせていただきます。
(結果的にCDプレーヤー3連投となりました。)

【最後のアクセントはループタイ?ネクタイ?】

冒頭でこんなことを述べてはいけないかもしれませんが、レポートを書くつもりがなかったくらいに「良い意味で意外」な感想となりました。
意外とさせていただいたのはトライオードさんと言えば真空管アンプが代名詞のブランドであり、CDプレーヤーの印象はほぼ皆無でもありますし、印象を想像するのならば「やはり真空管らしいサウンド」なのではないかと思っていたからなのですが、いつものようにいつもの曲達を再生してみます…。

■TRIODE [TRV-CD6SE]
●一聴してすぐによぎるのが「思いの外にバシッとしたサウンド」であることです。(真空管がそうだと決めつける気は毛頭ございませんが…)ナローだったり、ファットだったり、スローだったり、ブーミーということはなく、ザ・真空管と思わせるような印象はありません。
●逆に良い面での“真空管らしさ”は随所に見受けられ、ダイナミックさ、鳴りっぷりの良さ、押し出しの強さ、など音にパンチも感じられ、いわゆるアグレッシブ系の傾向を感じ取ることができます。
●かと言って、重厚・濃密になりすぎず、S/N感・解像感・レンジの広さも上々であり、「すっきり爽やか」とはなりませんが、「音抜け、見通し」は良好です。
●全体の帯域バランスも良く、1音1音は緩むことなくタイト、やや硬質よりではありますがニュートラル感も高く、音の色味が薄まらずにしっかりとした発色をしております。
●音の立ち上がりも上々で、ビシッ・バシッと立ち上がり、スーッと力強く伸び、スッと消えていくような躍動性を感じる傾向です。
○ソリッド・シャープ系には分類しないサウンドのため、エッジ感は強くありません。輪郭線は少し太くしっかりとしています。
○音の質感ではほんの少し丸みや太さを感じる面もあります。
○スピード感は鈍足ではないものの(不足感はない程度の)中速くらいに位置します。音の切れも鋭利(キレッキレ)ではなく、「十分にしっかり切れている」くらいでしょうか。
黒江的好み度:A

…ということで、いわゆるアグレッシブ系としてはなかなかの好位置に付けてきてくれました。
『ハイスピードの切れサウンド』ではないものの、黒江的には決して不評となるものではなく、(僕的に一番簡単に例えるなら)ハイスピード&ソリッド系のギターサウンドをフェンダーとメサ(ブギー)で作るとしたら、このTRV-CD6SEはマーシャル・レスポールのギターサウンド。…といったところであり、どちらも必要なサウンドであるものです。
(↑極端に例えていますので、こんなに大袈裟な差異ではありません。)

硬質でハイスピードの切れサウンドでは味わえない、グイッとしたマッシブさがありつつ、スピードも切れもクリアさも落とさないのはなかなか絶妙な(音の)着地点を見つけたような印象を抱きました。

なお、この“TRV-CD6SE”最大の特徴とも言える出力段の切り替えですが、レポートは基本的に総て“トランジスタ”(石)モードでの試聴結果になります。
“チューブ”(球)モードに切り替えて聴いてみると「全体が少しウォーム(温い・暖かいまではいかない)になり、余韻が少し伸びる」感じに切り替わるものの『圧倒的に石の音・圧倒的に球の音』とまでは変化が得られず、意外に小幅な変化と感じられました。
(球の方が抜けが少しいいかも…と思ったりしましたので、石・球の優劣等は評しません。ここでは「球にするとちょっとフワッとしますよ。」くらいでよいかなと。)

P.S.
ちなみに、最後にスペックを確認してみましたが、(石・球に関わらず)真空管のバッファーが掛かっているのですね…。(これが無ければスピード感とキレが上がってもっとハマったのかも!と。笑)

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