Pioneer XDP-300R vs ONKYO DP-X1A

前回に続きまして、Pioneer新モデル(XDP-300R)のレポートを軸に双方の試聴比較を取り上げさせていただきます。
※(お約束)『vs』とは両者の「優劣」を決めることではありません。「比較・差異」を分析するレポートですので予めご理解ください。

【前モデルを踏襲したチューニング。】

リリース前の情報などを見るに、今回のPioneerは(前回の)ONKYO DP-X1のスペック(パーツ類)と同等のものを使う。つまり、XDP-300R=DP-X1となるのでは?といった憶測も飛びかいました。
「だとしたらDP-X1のメーカーロゴをPioneerに変えただけじゃん!」「そんなことはないはず…!」と早く実際の音を聴いて確かめたい衝動に駆られていたのですが、実機を聴いて一安心。ちゃんとDP-X1とは異なるサウンドとなっておりました。
(下記はDP-X1「A」との比較レポートです。上記の(パーツが同じとされる)DP-X1「無印」との比較ではありませんのでご注意ください。)

■Pioneer [XDP-300R]
●DP-X1Aと比べると1音1音のエッジ感(輪郭)がはっきりとしており、硬質よりのサウンドとなっております。(輪郭線は細く、彫りの深い音ではありません。)
●DP-X1Aより(良くも悪く)も低音が控えめ(抑えめ)で高音の伸びも(DP-X1Aがよりハイレベルのため)わずかに劣ります。
●音の切れ、スピード感はDP-X1Aよりも1周り2周りも上回り、エッジ感とも相まって“アグレッシブ”さも兼ね備えています。
●1音1音の分解能はDP-X1Aと同等かそれ以上であり、シンバル(金物)のクラッシュ音、ディストーションの歪み感などは非常にハイクオリティです。
●前モデル(XDP-100R)同様に癖の少ないモニター調であり、各帯域のバランス、タイトさ、シャープさ、粒立ち良さなどが好印象にあります。(DP-X1AはXDP-300Rよりも少し音楽的と言えるかと。)
○S/N感・解像度・レンジ感などはわずかに引けを取り、特に情報量(音の濃さ・太さ・密度感)はDP-X1Aに軍配が挙がります。
黒江的好み度:S- (前モデルはA+(~S-))

…といった感じですので、端的に言えばPioneerの方(XDP-300R)は(前回と同じように)ややシャープな音作り、ONKYOの方(DP-X1A)はニュートラル(中庸)を意識した音作りの印象を受けます。(黒江的に言わせれば硬質でモニター調のXDP-300Rの方が正確な音に感じるのですが…。)
2機種を比べるとやはり“ザ・ステレオ屋”的なリファレンスはXDP-300Rですので、そちら寄り(ロック・メタル、ハイスピード系)の方にはXDP-300Rをお勧めし、女性ボーカルやクラシックなどまでオールジャンルで聴きたいという方はDP-X1Aをお勧めしたいと思います。

なお、モニター調と音楽的、ハイスピードとニュートラルなどなど、両者(2機種)を対角的に表している部分もありますが、あくまで両者はよく似たサウンド傾向にあり、Pioneerが「硬質寄り」だからといってONKYOが「ウォームで緩々のサウンド」ということではありません。
両者ともにクリア系を基調とし、音に緩みや膨らみのないシャープさを持っている傾向となります。

…と言うことで、Pioneer・ONKYO共に小幅ながらも(音が大変わりすることなく)確実・堅実なブラッシュアップが図れている良リリースだと思っております!

P.S.
今回もDSPモードやEQなどはすべてオフ、(黒江はバランスの音があまり好きではないので)アンバランスによるヘッドフォン試聴とLINE出力試聴での結果となります。

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