ONKYO NS-6170 (and NS-6130)

ONKYO (& Pioneer)からリリースされた、この秋期待の新製品を早速レポートしたいと思います。

【無表情でも情熱的なモダンニュートラル。】

DAPのDP-X1とXDP-100Rが(ほぼ共通部品の)兄弟機であったので、まず先に『N-70AやN-50Aをベースにされたモデルでは?』と思いメーカーに問い合わせたところ基本的にONKYOの完全オリジナル設計(開発)とのこと、以前にPioneer N-70Aには太鼓判を押した黒江的レビューですが、ONKYOさんにも“大きな判子”は押せるのでしょうか…。

■ONKYO [NS-6170]
●S/N感・レンジの広さ・解像度・情報量などなど、基本的音質は上々であり「お値段以上」と言えるサウンドです。
●ややしっかりめの輪郭感で明瞭な音像、適度に広がりのあるサウンドステージ、(低音がブーストされることなく、高音が耳に刺さることなく、)凸凹感の無いバランスの取れたレンジ感と、いわゆる隙の無い(優等生的)ウェルバランス型となっています。
●これらに加えて、黒江的評価ポイントが高かったのが硬軟寒暖の描き分けが上手くできている点です。クール・ウォーム・ウェット・ドライ・ソフト(マイルド)・ハードといった偏りがなく、淡々と鳴っているようで1音1音の質感をしっかりと表現できており、簡単そうに見えてなかなか難しいところができているのには好印象を抱きました。
●後方から突き抜けるような抜け感はあまり感じられないものの、(黒江的に言うと)いわゆるアグレッシブ系タイプであり、高分解で体を通り抜けるというよりは、しっかりと体に音が当たってくる“鳴りっぷりの良い”“エネルギッシュ”な傾向です。
○スピード感は中速よりはハイスピード側に位置する“やや速め”といったところで、個人的には一番残念な点ではありました。(…が、鈍足ではないので十分かとは思います。ハイスピードなマイリファレンスに慣れ過ぎてしまってるので。^-^;)
○加えて、あまり分析的なサウンドではないため(もちろん粗暴・粗雑なんてことは皆無ですが)、1音1音のきめ細かさや緻密さを強く求める方にはややフィットしないかもしれません。
黒江的好み度:A+

…ということで、黒江的にはスピード感(も惜しい!)以外は◎(二重丸)を付けてあげたいサウンドでした。
気に入った(気になった)ポイントは前述にもあるようにシャウトとディストーションサウンドを巧みに描き分けて共存させられる点で、シャウトはしっかりと擦れ具合を出しつつも唸りや嗚咽の(喉の)熱気感があって良好、ギターも巻き弦のビリビリとした物理的振動の歪みとエフェクトの歪みがちゃんとブレンドされていて良好、何よりもこれらの肉体的・機械的な双方を同時に鳴らし分けてくれるところはとても魅力的でした。

なお、(昨今のONKYOの傾向?)DP-X1とNS-6170には共通する点(S/N感・レンジの広さ・解像度・情報量などなど、基本的音質は上々など)も多く、音作り・音決めのベースが同様(の源流)にあるような気がしました。
とは言え、DP-X1はスッキリ・クリア系、NS-6170はしっかり・アグレッシブ系なので源流からそれぞれ枝分かれした感じかと考察しています。
(DP-X1を端正とするなら、NS-6170は精悍と言った感じです。)

歌物からJ-POP/J-ROCK、アコースティックからメタルまで幅広く聴かれる方にはお勧めしやすい製品となっておりますので、ぜひ試聴等をしていただければと思います。

P.S.
NS-6130は…ローコストモデルであることからも察していただければと思いますが、基本的にはノーコメントとさせていただこうかと思います。
低音の量感が欲しい方や、ドスン・どっしりとした鳴りを求める方にはフィットしやすいかと思っております。

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