PMC DB1 Gold [postscript]

早速のお申し込み、お問い合わせありがとうございます。

前回に引き続き、PMC DB1 Goldについて捕捉させていただきます。

●ユニットの増し締めは必須です。
このスピーカーに限ったことではありませんが、数々のスピーカーと対面してきた経験上で意外に多く見受けられるのが「スピーカーユニット自体がしっかりと固定できていない(または固定が緩んでいる)」ということです。
(特に!)このPMCでは以前から顕著に見受けられ、当モデルDB1 Goldも同様の状態でした。
理由は幾つか考えられ、「輸送中に緩んでしまった」のかもしれませんし「ハナっから緩かった」のかもしれませんが、当店としては増し締めをオススメしたいところです。

締め方は…トルク調整できるドライバーなどを用いるのがベストではありますが、(普通はお持ち合わせでないことと思いますので)比較的簡単な調整方法を書いておきます。
『キュッときつく締めて、少し戻す。』一口に言えばこんなイメージでしょうか。
(締めすぎるとエンクロージャーにめり込むので)力いっぱいではなく、「これ以上は力を入れないと進まない」程度までまずは締めます。簡単にはビスが進まないところまで来たら、そこから少しだけ戻し(緩め)ます。緩める分量は大体30度~45度(時計の針の10分から15分くらい)です。
(大雑把に言えば)きつめに締めると音がタイトになりますが、締め過ぎると音がデッド(量感が落ちる・飛ばない・キレがない)になりますのでご注意ください。

これを(大抵のユニットは4ヶ所)すべてのビスに対して一定の力加減で行います。
厳密に言えば、(時計回り、反時計回りではなく、対角の順番で)4ヶ所をちょっとずつ締め、4ヶ所をちょっとずつ緩めるのが正解ですが、その辺は大らかでも良いかと思います。

なお、締め加減・緩め加減はやはり好みの世界です。
(前述の締め具合に関してはあくまで“締め過ぎない”ための参考です。)
『車やバイクで言うタイヤの空気圧・テニスのガットの張り・料理の塩加減、スパイスの効かせ具合』のようなものなので何度も聴き比べて(味見して)ベストな位置を決めていただけると幸いです。

また、スピーカーメーカーによっては「当社のスピーカーは厳密なトルク調整(トルクコントロール)をしております」といった謳い文句を掲げているところも少なくはありませんので、そういったメーカーの製品を安易にトルク調整してしまうと「そのメーカーのサウンドらしさを失う」ことにもなりかねません。
…が、やはり輸送中の緩みが生じることも少なくはありませんし(少なくともスピーカー自身が振動していますので)長期間の使用では必ず緩みが生ずるものですから、たまにはチェックしてあげると良いかもしれません。

●バイワイヤリング用の金具は必ず外してください。
PMCのジャンパー金具は“とにかく酷い音質”です。…ので、ケーブル(導体)を長く剥き出してHF/LFを貫通させるか、短く切ったスピーカーケーブルを金具代わりに使用してください。

●鳴らし立てのPMCの音はひどいので驚かれないようにお願いします。
(黒江は)スピーカーの初期的なエージングは3段階~4段階くらいに分かれていると考察しています。(初期的とあるのはエージング自体が永続的であるからです。)
初段のエージングは20時間から長いもので50時間くらいで、まずは粗さが取れ、良い意味でほぐれてきます。
2段階目は200時間~300時間(早いもので100時間強くらい、遅いもので500時間)くらいでしょうか、ツイーターとウーハーの繋がりが良くなってきます。(ツイーターとウーハーが別々に鳴っているように感じていたものから、(1つのユニットが鳴っているような)一体感の高いサウンドに変化してきます。
PMCは少なくともこの2段階目のエージングまで進まないと本領発揮とはいかないので到着後しばらくは我慢しつつも、たくさん鳴らしてあげてください。
なお、エージングを早く進めたくても「逆送接続で向い合せての再生」「エージングソフト」「普段聴かないソフト」でのエージングではなく、あくまで現時点でのベストな選曲で手なずけてやっていただければと思います。

●アンプやプレーヤー次第でお好みのサウンドに。
DB1 Goldは非常にレスポンスの良いモニターですので前回のレポートのようなサウンドのみに非ず、様々な鳴らし方に応えてくれることと思います。
例えば、真空管アンプにアナログ(らしい)プレーヤーなどと組み合わせれば、伸びのあるしっとりとした方向にもアプローチできるので様々な方にご検討いたければ幸いです。(とは言え、同じUKモニターだからと言ってHarbethのようには鳴りませんが…。)

●フィニッシュについて。
DB1 Goldはレギュラーモデルのシリーズとは異なり、本国では“Silk Black”と名付けられた仕上げとなっています。実機はシルクというようりはマッドブラックといった感じの仕上げであり、艶・光沢のほとんどないテイストになっています。
無垢材ではもちろんなく、基本はMDF材となり、レギュラーモデルの突板仕上げでもありませんのでその点はご注意ください。(正直なところ仕上げはやや安っぽいです。多少の塗りムラも見受けられますし…。)
(あと、独特な匂いがしばらくお部屋を漂います…。匂いが取れた頃が第2段階のエージング終了かもしれません。笑)

●プライスはお安めです。
DB1iに変わる前のDB1+が定価20万円強でしたのでお手頃なプライスとなっております。

●仕様などについて。
Googleなどで「DB1 Gold」と検索していただければPMCの発行した正規のpdfファイルが閲覧できます。
(なぜかPMCのオフィシャルには無く、よそ様のWEBサイトでしたのでリンクは割愛させていただきます。)

●DB1 Goldの悪い点。
前回は褒めてばかりでしたので端的に述べさせていただきます。
音場は狭く、上下左右の広がりも弱い傾向なのでいわゆる“箱庭的”な鳴りかたです。
また、「ハイスピードかアグレッシブかと訊かれたら…」のくだりの通り、音が目の前にビシビシと飛んでくるようなアタッカーぶりはそこまではありません。
(強烈なヤツが眉間くらいまで迫ってくるとすれば、DB1 Goldは眼前30cmくらいまでしか来ない感じです。それでも十分ですが…。)
黒江的にはもっとヤンチャでも良かったかな…と。(以前は感じなかった雑感なので組み合わせ次第で変わるかもしれません。&以前は防音室でもなかったですし。)

…と、軽い気持ちで書いてみたら長くなってしまいました…。(読破おつかれさまです。)

前回のレポートと合わせて、(ピンときたら)ぜひご検討ください。

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