記念すべき第一号がこのアルバムです、なぜこのアルバムを最初に取り上げたのかは最後まで読めば分かります。(大したオチじゃありません。)

1.
intro -THE WINTER ALBUM-
2.
Holidays!
3.
Flowers
4.
I'M SO SORRY BABY(album mix)
5.
Forever to me ~終わりなき悲しみ~(album mix)
6.
That boy waits for me
7.
The night has pleasant time
8.
Day after day
9.
Rainy days never stays(album mix)
10.
I'M JUS' LOVIN' YOU(album mix)
11.
Running so high
12.
escape

ブリグリことthe brilliant greenの4枚目のフルアルバムTHE WINTER ALBUMです。
聴くと確かに冬らしいイメージの曲が多く、全体的に大人っぽい印象です。

まずは、このアルバムを象徴するようなこの曲から解説してみたいと思います。
1.intro -THE WINTER ALBUM-
「トゥトゥトゥトゥ」とコーラスをバックに歌い出すダブリング(多重録音)によるハーモニーが鮮烈です。
演奏は全体的にホールエフェクト(エコー)を.使用して適度な余韻を残しており、決して曲自体は広大な音場を持つ傾向ではありませんが、音場を広く出せるシステムでは余韻感が部屋の隅まで届き美しく響きます。
ヴォーカルは人数にして3人でしょうか、透明感と重なり合う声がスゥーっと消えていき徐々に各パートに分かれながらほどけてラストを飾ります、ステレオ効果たっぷりの最後のエフェクトにも注目です。

オーディオ的なポイントは・・・ど真ん中に定位するヴォーカルとハーモニーの分離感が大きなポイントで、少し交わりが強い場合はピンスパイク系のインシュレータなどでプレーヤー・アンプを対策すると効果的です。


3.Flowers
このアルバム中では個人的に一番好きなバラードナンバーです。
突然の歌い出しから始まるヴォーカルは切ない歌詞をやさしく切ない声で歌い、ヴァイオリンは甘くやさしく、アコースティックギターは強く切なく響き、バックが入るとシンバルがビシビシと入ってヴォーカルも力強くなり、やがてフルオーケストラのようなスケールで展開し、ラストは切々と歌い上げてくれます。

イントロ・ラストのヴォーカルの生っぽさ、中前半のシンバルの粒立ち、中後半のヴァイオリンの音色と起承転結タイプならではの聴き所がありますが、要所要所で効果的なアプローチを入れてくるベースの音も聴き逃せません。
特にミニコンポでの試聴時はサビ中のヴォーカルがシンバルで引っ込んだり、にじみんでしまい、全編に渡ってヴォーカルが歪っぽくなっていたのが印象的です。

オーディオ的なポイントは・・・最初はイントロから0m23sまでの静かな演奏をバックにした部分のヴォーカルが引っ込んでいましたが、スピーカーの足回りと置き方で定位感を改善し、声だけを少し前に出せると気持ち良く聴けました。
なんだかんだ言ってもこの曲の最大の(マニアックな)ポイントは0m00sから0m01の「はー(呼吸)、な(長い夜の・・・と続く)」ではないかと思います、ブレスと"な(NA)"の音だけでもシステムによって様々な色を見せてくれました。
P.S.
0m24s-0m25sの「ズーズズドッドン」がどうしても歪んでしまいます、歪まず出されている方がおられましたらご一報いただけると幸いです。


5.Forever to me ~終わりなき悲しみ~
この曲を主題歌にしていたドラマ(はまってました)を見ていたため、唯一事前に知っていた曲です。
やや暗め曲調でスケールの大きなバラードです。
冒頭のリズムを刻むハイハットにエフェクトを掛けているようで、ィィィィンと独特の余韻を残し、エコー感のないパイプオルガン風のシンセサイザーと絡み合いながら幕を開けます。

ヴォーカルや演奏はサビまでは音に伸びを与えず、サビになると演奏に伸びを出してくる構成で、サビまで(特にサビ前のメロディ)の音のアクセントや立ち上がりがきれいに出るとサビのドラマチック感がより出てくるようでした。
サビ中は音数とレベルが高くなるため音割れに、サビ後はクローズ・オープンで微妙に音色を変化し、変則的なリズム変わるハイハットに注目しました。
ミニコンポではクローズ・オープンがあまり感じ取れず、分かった上で聴いていなければ気付かないかもしれません。

オーディオ的なポイントは・・・奥行きのある音作りがポイントです。
特にスピーカーの背中側から壁までの距離を取ることによって前後の深さを出したり、インシュレータの置き方ひとつでもやや後方に定位させる事が可能で、奥方向に音場を伸ばせるとよりスケール感が出せます。
クローズ・オープンの変化は全体の解像度を上げる事によって微弱音が聴き取れるようになり、分かりやすくなると思います。


7.The night has pleasant time
アルバム中もっとも生々しい声を堪能できる曲です。
比較的音数も少なく、一見どんなシステムでも出しやすい印象ですが奥深さもある曲です。
そこで歌ってるかのような...と思うのは大抵のオーディオで味わえると思いますが、唇の位置が動いたり、ぶれたりするとちょっと興醒めする(?)ので、定位・解像度を上げて音像をハッキリ出せると、唇の動きと息づかいをすぐそこに感じられ、(ファンにはたまらないのではないでしょうか...)ちょっと嫌な目(耳)の付け方ですが口の中が鳴る音ですらリアルに聴こえます。

その他、ストリングス・ヴァイオリンをメインにして、全編に渡りかすかな「ピーピーピピー」というエフェクト音(ラストに流れている音)が入っているくらいで、かなりシンプルな構成のため一音一音がきちんと出てくれないと締まらない曲になりやすいようです。
ミニコンポではヴォーカル以外の音が埋もれ過ぎている印象でした。

オーディオ的なポイントは・・・とにかく音像(唇)をよりリアルにするのがポイントです。
具体的には中域の厚みを出しながらも適度に締めていくのですが、やはりスタンド・ブロック・インシュレータ等で各機器を制(整)振する事が最課題となります。
また、最近多く見られる傾向の高域を出し過ぎなスピーカーや低域を無理して出すためにダブツいてるスピーカーなどは特に中域が薄くなりやすく、ボイスレンジが痩せたり声の潤いが落ちますので中域の減衰が少ないケーブル選びなども大切です。
更に、この曲のように音数が少ない曲ほど余計にノイズが目立ちやすく声のかすれにも繋がります、ケーブルの対策を筆頭にノイズ対策が有用です。


9.Rainy days never stays
印象的なイントロから始まる爽快なナンバー。
アルバム中においては疾走感のある曲で、静と動、速と遅のコントラストを上手く出せるかがポイントになりそうです。
バックの演奏はバスドラの重さとタイトさという相反する課題と、"バン"と"ジャン"の中間点的なサウンドで湿り気を帯びたスネア(?)ドラムの再現に、ヴォーカルは歌詞に英語と日本語が交互に使用されており、全体的に滑らかな口調ですが英語の微妙な音階と日本語の歌い出しの音に注目して聴いて欲しいです。

サビに入ると一気に音が重なり合い音の嵐になります、さすがにミニコンポでは上手く再生出来ずグシャグシャになってしまい、ピュアオーディオの良さを感じる瞬間でした。
また、2s13m-2s24mの間奏に入るストリングスは解像度の高いシステムでは非常に細かく再現され、ちょっと変わったところでは2m58s-2m59sの「ピョーピョロピョピョピョ」がシステムによって粒立ちが変わり再現されていました。

オーディオ的なポイントは・・・とりあえずはサビの音の嵐を鳴らしきれれば合格点だと思いますが、ピュアオーディオシステムでも中型のスピーカー使用時には低域のかぶりやダブツキがひどく、なかなか上手く鳴らせませんでした。
スタンドの重量化やスピーカーの上に重りを乗せたりしての低域のコントロールが改善効果が良く、併せて低域の量感を落としたりする事によってすっきりと鳴らせれば良いと思います。


総合的な感想として、全体的にシック、とは言ってもPOP的要素も勿論あるし、とっても良い曲揃い(個人的ですが)で、まずは「うーん、なかなかいいアルバムだなあ」と思いました。
音質面も通して鮮明に録音されている印象で、非常にヴォーカルを尊重した(バンド的にも)イメージに感じました。
基本は明るく鮮度感高く、やはり声をより良く出せるオーディオで聴いて頂くのが良いと思いますが、全体的にシャープなため、あえてPOP的でない少し潤いや温もりのあるシステムで聴くのも良さそうです。
総じてのポイントとしてはこの透明度の高い録音ですが、逆に高域がややきつく感じられる傾向も見受けられました。

余談ですが...
現在、録音現場のモニターとしてYAMAHA[NS-10M]が多用されています。
確かに非常にコンパクトで秀逸なモニターではありますが、世代的にもやや古く、現在主流のモニターに比べると少し温もった音に聴こえ、帯域特性がフラットだとも良く耳にしますが、個人的には「決してフラットでは無いし、低域は出ず高域も伸びきらないモニター」だと感じています。

更に個人的な主観ですが、このNS-10Mモニターで音源を作るとモニターから高域が出づらいために無理やり高域を差し込み、低域も必要以上に入れるか、バッサリと切り落とし、このためJ-POPをピュアオーディオでリスニングするときつく(悪く言えばうるさく)聴こえやすいのではないかと思うのです。

最近は明るくフレッシュなスピーカーが多く、メタルツイーターが主流になりつつあるオーディオではこの現象は特に顕著です。
多くの録音現場のNS-10Mが入れ替われば(または今時のスピーカーを追加してくれれば)それだけで録音のクオリティが上がるのではないかと思っています。
(実際、録音現場の方からスピーカーのインプレッションを依頼されるケースは多くなってきています。)
(全国のレコーディング関係者の方、ご相談ください。)
...余談でした。

さて、このアルバムを取り上げたオチですが、実は当店「ザ・ステレオ屋(Digital SideはWeb上の店舗名)」がこのアルバムthe brilliant green[THE WINTER ALBUM]のSpecial thanksにクレジットされているからなのです。
クレジットの理由は「レコーディング機材の(格安)提供」とだけ、述べさせて頂きます。
(念のため...当店よりメンバーなどへは連絡等取れません。)

この機材によって、クオリティ(多分ですが、クリア感・解像度・低域の切れ等が主だった点だと思います)が1クラスも2クラスも向上したようです。
既に欧米を中心にレコーディング現場やミキシング、マスタリングの現場でも実力の有るピュアオーディオはシェアを拡大しつつあって、逆にホームオーディオ側では当店のElectro-Voice[CinemaSystems]に代表されるようにプロオーディオ(業務機)ブランドが入って来ています。

これからも、どんどん相互の交流が深まり、本当に良い物が評価される事をピュアオーディオ代表(大袈裟ですが)として応援したいと思います。
←ザ・ステレオ屋Special thanksクレジット
  がのっている歌詞カードの裏面です。
  (クリックで拡大します。)
18/12/2002