ザ・ステレオ屋基準:オーディオ用語集

はじめに...
オーディオや音楽・音の事を話したり、書いたりする上で一番気がかりな事は「相手の解釈と自分の表現が一致しているだろうか。」という点です。
辛党な方が甘党な方に、激辛や大辛の食べ物を口にして「さほど辛くないよ」と言っても分かり合えないからです。

そんなオーディオを話す上で知っておきたい言葉や表現を「ザ・ステレオ屋の基準」としてご紹介したいと思いますので、多少の足しにして下さい。
(あくまで当店の表現方法ですから、これが全国共通だとは思わないようにお願い致します。)
用語は逐次増加して行くつもりです。
多くの方より同様の意見を頂いたりして必要性を感じた事には変更・修正・補足をさせて頂きますので、ご意見がありましたらメール等でご連絡ください。


高域/中域/低域
あるいは高音(域)/中音(域)/低音(域)と書いた方が分かり易いかもしれません。
要は音程・音階の高低の事でオーディオ的に最も良く使われる言葉ですが、やや一般的なイメージ通りでない事もありますので少し補足をしながら紹介させて頂きます。

高域は主に甲高い部分の事で、ピッコロのように細く小さい金管楽器やギターやヴァイオリンの高音弦の倍音成分(ハーモニクス)、シンバルやピアノの高音弦あたりをさします。

よく間違われるのは女性のヴォーカルは高域と思われがちな点ですが、声は中域帯と考えて頂いた方が良いと思います。
※もともと高域まで出る女性ヴォーカリストのファルセット(裏声)は高域に入ります。

中域は主要な音(楽器)をほぼカバーしている帯域で、一般的な範疇であればヴォーカル・ヴァイオリン・ピアノ・ドラム(スネア・タム)・サックス・トランペット・ギターなど主旋律を演奏する事の多い楽器は全てと言っても過言で無いと思います。

低域は主に和太鼓・バスドラム・ベース・コントラバスなど呼び名そのものの楽器が主で、楽器自体も大きなモノが多く金管楽器ではチューバ(多くは中域帯)が主に低音域を演奏しています。

これらの分類はあくまで、各楽器の音階の平均値(ピアノならば中心にある鍵盤の音。)を指していて
殆どの楽器は1音以上の音階を持っていますので、中域を軸とする声・楽器でも演奏の内容(ピアノの高域・ギターのハイフレット・ヴォーカルのファルセット)などで高域や低域に分類される音階を出す事があるため一概に定められたものではありません。

また、これらの音階を3分割にするのでは足りず、更に中高域(中域と高域の間:声域の高めな女性ヴォーカルやギターの高音弦等)、中低域(中域と低域の間:声域の低めな男性ヴォーカルやチェロやホルン等)と各帯域の中間が表現される事も多くあります。
ミッドハイ・ミッドローも中高域・中低域と同義です。

S/N(比)
Signal(信号)に対するNoise(雑音)の比率。
単位はdB(デシベル)で大きいほど混入するノイズが少ない事になります。
水の中の微生物・空気中の埃といった例えが適しているでしょうか、
(良質な成分はかえって多く含まれますが)ミネラルウォーターや浄水器、山の空気や空気清浄機のように
S/Nが良く余計な混ざり物が無いと澄んだ音(画)=美しい音(画)となります。

逆にS/Nが悪い状態では、スピーカーより「シーorスー」といった音がわずかに明らかに聴こえたり、全体的にざらついた音になる傾向で、
S/Nが改善されると余計な音が聴こえなくなったり、ざらつきが取れて明瞭な音になるため結果的に今まで聴こえなかった音が聴こえるようになったり、微弱音がしっかりと聴こえるようになったりします。

オーディオにおいて非常に重要な要素であり性能の基本とされることも多く高価な機器ほど高い数値を誇ります。
最近では一般的なミニコンポなどでも90dB以上(ならほぼノイズ0)は当たり前になっていますが、これら(スピーカー・アンプ・プレーヤー)は相互関係にあり、ひとつの個体数値が高くても接続されている配線の質、長さや方法、外来ノイズへの対策によって最終的な聴感上でのS/N(感)は変わってきます。

つまり、あくまで一個体の持つ理論的な数値であるため、他の機器よりずば抜けて高くても最終的な音が絶対的に高S/Nであるとは限りません。

解像度
(≒分解能)
端的に言えば「音の数」や「音の細かさ」でしょうか。
特に解像度という言葉はコンピュータのディスプレイ・モニターでよく使用されており、
「(物理的に)定められた画面内に描くことの出来るドットの(最大)数」という定義です。

これはオーディオにおいてもほぼ同じような解釈で、特に部屋に広がる音場内に対しての音の粒の数や細かさを指すのが解像度、そして、特に一音中における音の粒の数や細かさを指すのが分解能と使い分けています。

S/Nや情報量、音の太さや細さ密度感と相互関係にあり、解像度が上がれば分解能も比例して向上する傾向ですが一概には言えず、聴感上において解像度の向上が比較的に際立つタイプを音場型(ケーブル等)、分解能の向上が比較的に際立つタイプを音像型(ケーブル等)と解釈する事があります。

音場
読んで字の如く、音によって作り出される(3D)空間の事。
音場性(能)が高い(優れている)状態では音が部屋の隅々まで広がり、大きなステージを描き出します。
スピーカーの特徴とスピーカーの設置状況による影響が強く、アンプやプレーヤーにも音場性(能)の高いモノが存在します。

音場と一口に言っても、上下・左右(ステレオ感)・奥行きとあり、一般的には左右と上下の組み合わせが主な基準です。
(奥行きは単独の項目になりやすいためです。)

一般的には音場性(能)が高い事は優れていると表現されがちですが、音場を広く(高く)しすぎるとエコー感が出るケースが考えられ、広ければ良いという事ではなく部屋の大きさや反響特性に対して適度な音場が得られている事が大切です。
音場感と表現される事もあります。(読み方は、オンジョウ・オンバと2種類あります。)

音像
読んで字の如く、音によって作り出される偶像(画像イメージ)の事。
音像性(能)の良い状態はユニット間の位相や左右の位相のブレやズレが少なく、そこで歌って(弾いて)いるかのような錯覚を起こします。
音のスピードや硬さ・輪郭(シャープさ)によって向上しやすく、副作用として音がきつくなるケースが考えられます。
音像感と表現される事もあります。

定位感
各楽器やヴォーカルの立ち位置などの正確さや安定性の事。
定位感の良い状態では各パートごとに適当な距離を保ち、音の分離感や立体感にも繋がります。

音像性や奥行き感との兼ね合いも強く、定位感が悪いと楽器の音は強弱によって位置がずれたり、ヴォーカルの真上にシンバルが重なったりと、左右と奥行きの不自然さが出やすい傾向です。

また、定位感は強音と弱音の関係に影響されやすく、(音量)レベルの高い高域や低域がずれやすい為、ミニコンポなどでは弱音・可聴範囲の超高域や超低域の再生が出来ないため、定位そのものが出来ていないケースが殆どです。

スピーカーの能力とスピーカーの設置状況による影響が最も強いが、アンプ・プレーヤーによる影響も多く、
且つ、好み次第の問題ではないことからも個人的には最も難しい課題と言えると思います。

余韻
音が微弱になり、消えてゆく過程の音。
時間軸に対する長さと響きや聴感レベルに対する大きさがあり、余韻が長く大きいとエコー気味に聴こえ、余韻が短く小さいと機械的な音に聴こえます。
ギター・ベースやピアノの弦が震え続ける音やシンバルが揺れながら出す音などが代表的です。

立ち上がり
音が目的の音階(音量)に到達するまでの早さや強さを表現しており、ピアノなどを想像すると分かり易い(鍵盤を押してハンマーが弦を叩きハンマーが離れて本来の音になる瞬間)と思います。
声・管楽器は息を吐き出す瞬間、弦楽器・打楽器は弾いたり、(スティック等で)叩いたモノが離れる瞬間をさします。

アタック感などとも表現され、立ち上がりが早い(強い)とメリハリが良くしっかり・ハッキリとした聴こえになり、立ち上がりが遅い(弱い)とスムーズで繋がりが軟らかく、ふんわり・しっとりとした聴こえになります。
総じて、スピード感にも繋がりやすくジャンルによって好まれ方が異なる傾向です。

スピード
読んで字の如く...ではなく聴感上の感覚的な速度の事。
ひとつは高域の明快さがポイントになり、低音域に比べて高音域をより出すと早くなったように聴こえ高音域に比べて低音域をより出すと遅くなったように聴こえます。
(トーンコントロール等がある方は実践してみて下さい。)

しかし、この状態ではウェルバランスでは無いことが多く、一般的に「シャカシャカ・ドンシャリ」といったミニコンポ的な音になりがちな為、実際にスピード感のある音であってもあまり関心の出来るハイスピードではありません。

アナログやクラシックソース等が多く、常にほぼ一定の位相特性や再生を実現するデジタルなCDソースで当店のようにロックやポップスをソースに用いる事が最近まで無かった為か、しっかりとした定義が難しい要素ですがオーディオにおいての本来のスピード感とは極めて高いS/Nと極めて少ない付帯音の両立によって高められる要素です。

加えて、立ち上がりや余韻、分解能(解像度)とも密接な関係で音の切れや抜け、と(併せたり同義に)解釈される事もあります。

スピード感が向上すると、音が耳や部屋に溜まる事なく聴こえるようになりスッと出てスッと消えるスッキリとしたサウンドになります。

また、歌や楽器の滑舌が良くなり音数の多いロックや場面でもそれぞれのパートが団子にならず、見通しの良い状態にも繋がります。

アクセサリー等の影響も強く、構造や理論によってスピード感が上げる傾向のアクセサリーやケーブルも多く存在します。

機器も高級になるほど一般的にはS/Nが良くなり、ハイスピードと思われがちですが、実際はブランド独自の美学や音楽的理論に基づいた癖を付加価値としている事が多いため、反して言えば「独特な付帯音」を持っている場合があり高価な機材=ハイスピードとは言えず、
100万円の機器よりも3万円程度の機器の方がハイスピードに感じられることは珍しくありません。

デッド
オーディオ用語としては防音・吸音が良く出来ており、反響の少ない(無い)部屋の事。
有名すぎるのは学校の音楽室(本当はさほどデッドじゃないのですが)で、(録音)スタジオなどが代表的で、音楽室で定番の穴の空いた壁などが使用され、吸音パネル・2重扉なども定番です。

言葉上で使われているのは"比較的"という感覚で当然完全(に近い)なデッドは個人宅ではあまり見受けられません。
何も置いてなければ洋室より和室(畳・障子)の方が断然デッドです。
また、デッドの方が音が良いと言われがちの様ですがこれには限らないと思います。

ライブ
オーディオ用語としては防音・吸音がしっかりと出来ておらず、反響の多い(強い)部屋の事。
有名すぎるのはお風呂(エコー効きまくりですね)で、ホールや教会も比較的ライブな部類だと思います。

コンサートホールなどは客席が人で埋まると人間が吸音効果を果たし、ちょうど良い加減になるように考えられている(?)トコロもあるようです。
何も置いてなければ和室より洋室(フローリング)の方が断然ライブです。
部屋で手をパンッと強く高い音が出るように叩いた時の(例えば)「ィィィン」残響具合とを確認すると簡単です。

位相
オーディオ的には左右のステレオ感のずれ(ぶれ)をさす事がほとんどで、スピーカーの置き方や音源の精度が取り上げられ易いが、ネットワークの設計上の特性や精度・各ユニットの位相特性がアンバランスなため音の高域成分と中域・低域成分が微妙に遅れる・ずれるなどのユニット間のずれやスピードに関係するケースもあります。

2wayスピーカー等で高域が突っ込み過ぎたりして聴こえるモノは再生環境において位相が良好でない可能性があります。
(スピーカーの位相特性を示す波形や数値はデッド気味なオーディオルームでの測定値が多く、一般家庭での再生時に約束されるスペックではありません。)

逆相
(主にスピーカー)ケーブルの接続ミスで左右のスピーカーの極性が反転している状態。
明らかに音が前後左右にぶれるので、(その機材において)正常な音像を描き出すことが出来ず抜けが悪くつまったような音になります。
05/11/2003