このレポート内で紹介している電源関連の工作品は、間違った組み立て方や使い方をすると機材の損傷・火災・感電・停電などの多くの損害を発生させる可能性も含まれます。
実際の工作はあらゆる面において個人で責任を負える方のみ行って下さい。
また、このレポートの内容に基づき上記のような損害を被ったとしても、レポート作成に関わるすべての個人・団体・会社では一切責任を負いません。

電源アクセ自作のススメ。
Step1を(意図的にじゃなく)読み飛ばしている方はStep1を先にご覧頂いたくと、より分かり易いと思います。
一度Topページに戻って読んでみて下さい。

Step2
付属の電源ケーブル(ACケーブル)に替えて市販・自作品の電源ケーブルに交換する。
電源ケーブルを付属品から交換するだけなので、特筆して書く事はありませんが、
始めてのチャレンジの方で既製品への交換の場合、実売価で1万円以上(定価\15,000前後)を目安に購入する事をお奨めします。

経験上、数千円の比較的安価なACケーブルは外れが多い事、音色傾向や改善される度合いの関係で(良い意味での「あっ、変わった!」と)変化を感じ取る事が難しいモノが多い事、タップ同様に自作した方がコストパフォーマンスが良いと思われる事です。
そこで、電源ケーブルをどうやって作るのかというと...
1.
ケーブルの皮剥き(スピーカーケーブルと同様)。
2.
コンセントプラグのネジ留め(稀にはんだ)。
3.
インレットプラグのネジ留め(稀にはんだ)。
と至って簡単です。

ケーブルは電源用の切り売りケーブルが(色んな意味で)最も奨めやすいのですが、意外と手に入り辛く、価格も決して安くはありません、ある程度の条件に見合えばスピーカーコード(本来はスピーカーケーブル)でも充分に代用は可能です。
例えば、買い替えてしまった為に余しているようなスピーカーケーブルを有効利用して作ればコストは充分に抑えられ、使用効果は充分に得られるので「試しに作ってみよう」といった程度でやってみて頂けるとよいと思います。

ある程度の条件は...
◆導体直径は1m以上(ケーブル全体で直径10mm・導体直径2mm以上を推奨)
◆極力ビニール系(透明で導体が見えるタイプ)の被覆以外
◆出来れば多重被覆構造のモノ
◆あまり硬すぎないモノ

といった感じです。
これらに加え、音質面に関連される導体の純度などを加味すると、目安としては1mあたりの定価が\1,000以上のモノをお奨めします。
当店では現在...
NEOTECH[KS-1224]
FURUKAWA[μ-T22]
ortofon[SPK-3100 SILVER]
をローコストの入門ケーブルとして奨めています。
作り方は上記の通り皮を剥いて繋ぐだけです。
と、これだけでは何ですから、線の色やマークの見方だけふれておきます。

スピーカーケーブルに多く見られる配色での+−の決め方
基本的には「有色ホット」という言葉があり、色の付いた方が+となります。

この組み合わせは余りにもポピュラーですが、この場合は当然赤+白−となります。
この組み合わせも多く、この場合も当然赤+黒−となります。
これをベースに難しい(というより忘れやすい配色)を挙げてみますと...

その他
これはセオリー通りでその他をプラス、白をマイナスにしています。
その他
色にもよりますがその他をプラス、黒をマイナスにしています。
同色
(透明も含む)
同士に字or線
このパターンが最も意見が分かれそうですが、個人的には透明のみをプラス、透明に文字やラインの入った方をマイナスにしています。
(メーカーによっては文字やラインの入った方をプラスと明記していますのでこちらの方が多数意見かもしれません。)
個人的に特殊と思っているパターンで、この場合は黒をマイナス、白をプラスにしています。
※あくまで個人的(+周囲の方の多数意見)で書いていますので全国的に常識(このこと自体に常識も非常識もないかもしれませんが)ってワケではありません。
※念のため書き加えておきますが、基本的には入口出口が揃っていれば何の問題もありません。

皮を剥いたら接続です。
まず方向性を確かめます。

ケーブルの方向性について・・・ここでは簡単な説明のみになりますがケーブルには電気の通りやすい方向があります。
一般的なケーブルの生産方法は銅(など)の塊を溶かしながら線を作って絞り出していき、更に皮を被せながらニュルニュルと作っています。

この時(順逆はともかく)一定の方向に目(木目などの目)が出来ると考えて頂ければよいと思います。
矢印が付いているモノは素直にそのまま従えば良いと思います。
矢印が付いていないもので文字が書いてあるモノは文字の流れている方向「"DigitalSide"の場合」"→"に順方向と捉えます。

全く表示の無いもの(透明な被覆の場合はもう一度よーく目を凝らして見て下さい、小さく文字が書かれているモノもあります。)は、基本的に方向性を持たないと言われていますが、ケーブルによっては反対にするだけで随分と変わりの出るものもありますので試しに片方ずつスピーカーに繋いだりして聴いてみるのも良いと思います。

一般的には順方向の方が基本的な音質は良くクリアで抜けのよい音で、逆方向では少しボヤけてふくらみのある音になり低域の量感が少し上がる傾向のようですが、ケーブルによっては逆方向の方が感覚的にイイ音と感じるので、固執しすぎない方が良いと思います。

ただし、ピンケーブルやスピーカーなどは右が順方向、左が逆方向と確認せず繋げている方も多くいらっしゃる様なので気を付けて下さい。
これも+−と同じく左右が揃っていれば特に問題はありません。
文字の印字方向によるケーブルの方向性例 (この場合は→こちらに向かっています。)



少し寄り道しましたが、方向と+−を確認した上で基本的にはコンセントプラグは順方向の入口、インレットプラグは順方向の出口に取り付けます。

各種プラグには+−を表すアルファベットが記入されています。
[H]ot・・・ホット(+)
[L]ive・・・ライブ(+)
[C]old・・・コールド(−)
[N]eutral・・・ニュートラル(−)
[W]hite・・・ホワイト(−)

となっており、
松下のWF5018とFURUTECHのFI-15Eの例では、WF5018には"W"のマークがありますのでこちらに−側の線、反対側(アースじゃない所)に+の線を入れ、FI-15Eには"L"と"N"がありますので"L"に+の線、"N"に−の線を入れます。
HUBBELL等、印の無い物もありますが、ビスの色に注目してみて下さい。
下の写真のようにアースピンを下にしてよく見ると向かって右側が金色(有色)、向かって左側が銀色(無色)となっているので判別出来ると思います。

また、国外ブランドのプラグに多く見られるINSUL、WIREの文字ですが
INSULはInsulating Tape(絶縁体)・WIREはWire(電線)の通り、線と被覆をどのくらい剥き出せば良いかの目安のようです。
とは言ってもINSULは少し短いように感じますし、WIREは少し長いように感じるためあまりアテにはしておりません。
「この通りにカットすればしっかり固定出来てキャップを閉めた後も見た目がキレイに仕上がりますよ。」といった程度に覚えておいて下さい。

それぞれクリックで拡大します。↑


プラグがツーピースのタイプはプラグのボディを通すのを忘れないようにして、各ネジをしっかりと締めて下さい。
充分に締め付けたらある程度の力で引っ張って、固定の具合を確認してみる事をお奨めいたします。
太くてケーブルが上手く入らない場合は、無理をせず導体を少し切ってください。
また、細く柔らかいタイプの導体は先っぽ(または全体)をはんだで固めた方がしっかりと固定できます。
これで完成です。

テスターをお持ちであれば、ショートしていないかを充分に確かめて下さい。
また、検電ドライバーを持っている方はコンセントに差し込んだ状態でインレットプラグを
検電ドライバー:DIYショップなどで数百円で購入可能です。

←クリックでグリップ拡大
交流電気の+側に挿し込んでドライバーの最後尾の金属部に触れると微小な電流が体を伝わりドライバー内の小さな電球が光ります。
マイナス側では光らないので交流電源の+側のチェックに使います。
この様に見て
 
←ここをチェック
した時に光る事を確認出来ると尚良いと思います。
反対側が光った場合はコンセント側かインレット側が+−逆に接続されているはずです。
一度外して付け直して下さい。
←クリックで拡大

これで完成です。
聴いてみればすぐに分かると思いますが、やはり高S/N・高解像度・クリアという印象で(タップから順にやっていれば更に)モヤモヤ・モワモワが取れ、加えて高域と低域が今までより幅広く出ている事も実感出来て、結構な感動を覚えると同時に「付属のケーブルがいかに悪いか」と感じてしまう事と思います。


電源ケーブル作成ダイジェスト
コンセントプラグ・・・松下電工 WF5018
インレットプラグ・・・FURUTECH FI-15E R
ケーブル・・・古河電工(FURUKAWA) μ-T22
(今回は初心者向けという事でシールドやチューブ等は使用しておりません。)
 
1.
コンセントプラグ、インレットプラグ、ケーブルを用意します。
 
2.
忘れやすいので先にコンセントキャップを通しておきます。
ケーブルの方向性に充分注意して通して下さい。
(文字が逆さまで見辛いですがコンセントプラグは上流側に取り付けています。)
 
3.
+−の線をしっかりとネジ留めします。
Wの文字側が−で、アースピン以外の反対側が+側です。
(+−を一度に入れた方がキレイに収まります。)
接点のネジ留めはきつめに締めて下さい。
締め終わったら適度な力で数回引っ張り、しっかりと固定されている事を確認します。
 
4.
キャップをしっかりと閉め、ケーブルに負担が掛からないようにケーブルストッパーもしっかりと締め付けます。
 
5.
最後にインレット側の結線です。
LがLiveで+側、NがNeutralで−側になります。
間違いの無いようによく確認して下さい。
(コンセントプラグ同様+−を一度に入れた方がキレイに収まります。)
接点のネジ留めはきつめに締めて下さい。
締め終わったら適度な力で数回引っ張り、しっかりと固定されている事を確認します。
プラグを閉じて継ぎ目が閉じるまでしっかりとネジを締めて下さい。
(このFI-15等はプラグをしっかりと留める事によってケーブルも固定されます。)
 
6.

これで完成です。
テスターや検電ドライバーをお持ちであれば使用前に点検しておきましょう。
また、機械を先に入れてからコンセントを入れず、コンセントにゆっくり挿してショートが無いことを確認してから使って下さい。


01/05/2003